2022年10月13日

たろうのおでかけ 村山桂子・さく 堀内誠一・え

たろうのおでかけ 村山桂子・さく 堀内誠一・え 福音館

 1966年(昭和41年)の絵本です。
 昔をなつかしむ読書です。
 たろうくん、5さいぐらいが、まみちゃんのたんじょうびいわいにいきます。
 たろうくんといっしょにいくのが、つぎのメンバーです。
 いぬの、ちろー
 ねこの、みーや
 あひるの、があこ
 にわとりの、こっこ
 どうぶつは、ちびっこの友だち、仲間です。

 まみちゃんへのたんじょうびプレゼントは、すみれの鉢植えとアイスクリームです。

 時代背景は、昭和30年代後半でしょう。
 いなかでは、テレビはまだ各家庭に普及していませんでした。
 加入電話があるうちも、それほど多くはなかった。
 令和の今と比較すると、こどもをとりまく環境は、ずいぶん違います。

 個人商店が並ぶ商店街があります。
 パン屋、くだもの屋、魚屋。
 たばこ屋は、昔はたくさんありましたが、最近は見かけません。

 道を走る「おーとさんりん」が出てきました。
 タイヤが3本ある車です。前に1本、後ろに2本。回転するときにひっくりかえりやすいと聞いたことがあります。
 今は見かけません。

 人と人との気持ちの距離が近い時代でした。
 たろうが歩いていると、おとなたちが声をかけてきます。
 
 消防署とガソリンスタンドが出てきました。
 絵本に描いてあるガソリンスタンドは、MobilとESSOです。ガソリンスタンドは合併が進みました。いまはどこもたいていENEOS(エネオス)です。

 信号機が出てきました。
 昔は、信号機の数は少なかった。
 自家用車が少なかった。
 たろうくんは、信号の色が黄色で交差点を渡ろうとしたので、警察官に止められました。
 わたしも7歳のときに、いなかから都会に引っ越して、信号機というものを知らずに、ひとりで交差点を渡ろうとして、婦人警官につかまって、自宅のアパートまで連れていかれて、母親が婦人警官に指導を受けたことがあります。
 たしか去年の今頃、もう90歳近くなった母親にそんな話をしたことがありますが、母親は、もうそこに住んでいたことすら覚えていませんでした。
 
 この絵本は、お年寄りが読むとなつかしい気持ちにひたれる絵本です。

 たろうくんは、まみちゃんへのたんじょうびプレゼントにアイスクリームをもっています。
 いそがないと、アイスクリームがとけてしまいます。
 されど、この絵本は『交通安全啓発絵本』の側面をもっています。
 アイスクリームがとけることよりも、たろうの命のほうがだいじです。
 アイスクリームは、とけてもいいのです。
 そもそも、たろうのおかあさんは、なぜ、たろうにとけるアイスクリームをもたせたのだろう。
 読み進むたびに疑問が大きくなる絵本です。

 郵便屋さんが自転車で配達をしています。
 いまどきは、電動バイクで静かな動力音を流しながら、配達員さんは、郵便の配達をされています。
 出川哲朗さんの充電バイクの旅『充電させてもらえませんか?』を思い出しました。スイカヘルメットです。
 それから、昔、長嶋一茂さんが主役をした『ポストマン』という自転車で郵便配達をすることにこだわる郵便局配達職員さんの映画を思い出しました。長嶋一茂さんは、がんこな郵便配達員さんでした。

 絵本の絵には、馬を乗せたトラックが描いてあります。
 九州の熊本県とか宮崎県あたりに行くと、和牛をのせたトラックを見かけます。
 馬だと、今は、競馬馬の移送ぐらいしか思いつきません。

 市街地を抜けると、はらっぱです。
 思い出すと、昔は、こどもが安全に遊べる空き地や原っぱがいっぱいありました。
 植物や虫がたくさんいました。
 広がっていた原野は宅地開発されて、道路や店舗、住宅地に変わりました。

 原っぱまで来るまでは、おとなたちから、あれだめ、これだめと言われ続けた、登場人物のたろうです。
 原っぱは、車が来ないので安全です。
 そうか、こどもがのびのび移動できた時代がありました。
 ページの右奥で、まみちゃんが両手をふって、出迎えてくれています。
 この絵本には、60年ぐらい前の日本の風景があります。

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