2019年01月01日

いつか深い穴に落ちるまで 山野辺太郎

いつか深い穴に落ちるまで 山野辺太郎 第55回文藝賞 2018文藝冬号

 読み終わりましたが、趣旨が理解できません。どんなしかけがあったのか「?」、そして、どんなメッセージがあったのか。受賞理由はどこにあるのか。全部が妄想のなかの夢なのか。とりあえず、記憶をたどります。

 歴史書形式です。東京大空襲1945年3月10日から現代のブラジル・リオでジャネイロオリンピックあたりまで。主人公は運輸省のちに国土交通省の官僚である鈴木一夫という人物なのですが、「僕」と分離するときがあります。(あとで気づきましたが、語り手が変更されていくのです)
 まずは、鈴木氏のひとり語りで物語は続いていきます。彼の仕事は、公共事業として、日本からブラジルまで穴を掘ることです。実は、わたしも小学生の頃、地球の裏側までトンネルを掘れないかと考えたことがあり、今回、久しぶりにその発想を思い出しました。(あとでわかったことですが、こどものだれもが、こどものころに、そう考えつくそうです)
 地球を貫通するトンネルを掘ることは、現実には実行不可能なことです。されど、これは、「創作」です。とはいえ、仮想科学小説ではありません。
 
 海外からの移民の受け入れをイメージする部分がありました。

 半分以上読んでも「穴」の意味がわかりません。

 北朝鮮トップのこと。

 結論の予想がつきません。

 穴掘り工事の従事者がすでに貫通した穴を通過済みなのに、なぜ、鈴木一夫が穴を通過する最初の人になるのか。

 「鈴木一夫」を観ている「僕」はだれ?(第2の広報係大森慎司でした。視点者が随時変更していることに後刻気づきました)

 結局、鈴木一夫は、鈴木一夫が眠っているときにみた夢のとおりになります。それは、何を意味するのか。あるいは、何も意味しないのか。

 調べた単語などとして、「瓦解:がかい。総崩れ」、「意想外:いそうがい。予想外」、「拮抗:互いに張り合って優劣がない」、「疑獄:犯罪事実がはっきりしない。有罪・無罪を判断しにくい」、「省庁再編:2001年。平成13年」、「敏捷:びんしょう。刺激に対してすみやかに反応する」

(その後)
 選評を読んで、そういうことかと腹に落ちました。

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