2015年12月31日

2015年 今年読んでよかった本

2015年 今年読んでよかった本

貘の檻(ばくのおり) 道尾秀介 新潮社
 力作です。時代設定は、昭和59年です。舞台は長野県の山村。昭和50年代にはやった金田一耕助シリーズ「八つ墓村」とか「犬神家の一族」などの流れをくむホラー、怪奇を帯びた推理小説だと受け取りました。

信さん 辻内智貴 小学館文庫
 本の検索をしているときに、なにかをしていてのきっかけでこの本を知りました。こういう小説があるのかとちょっと驚いて興味をもち、読み始めました。今年巡り合った良書です。心が洗われるいい小説です。涙がにじみます。優しい。

どこから行っても遠い町 川上弘美 新潮文庫
 11篇の短編集です。互いの短編に多少のからみがありますが、大勢に大きな影響を与えるものではありません。舞台は「遠い町」です。
 同作者の「センセイの鞄」同様、年齢差のある男女の淡い恋がしたためられている作品集です。恋には、体の関係も含まれます。
 風情(ふぜい)を文章化してあります。道徳とか、倫理とか、それらを否定するところまではいかないのですが、常識にとらわれない、いい世界を描く才能が作者にあります。
 それぞれの能力、学力、環境に応じた暮らしがある。法令等の決め事から少しずれた位置にある生活です。しみじみしました。穏当に暮らす人もいれば、そうでない人もいる。1編は短く、それぞれ20分もあれば読めます。

流(りゅう) 東山彰良(ひがしやまあきら) 講談社
 直木賞受賞作です。
 まだ読み始めていないけれど、台湾生まれ、日本育ちの主人公葉秋生(台北高等中学17才、イエチョウシエン)は、同じく直木賞受賞作「サラバ!」の主人公圷歩(あくつあゆむ、エジプト育ち)と重なるのだろうか。
 とてもおもしろい。主人公秋生は昭和50年当時で17才です。雑然とした台北の町の様子、荒くれ者の人の様子が続きます。熱気と勢いがあります。

人間の分際(ぶんざい) 曽野綾子 幻冬舎新書
 癒しと救いの1冊です。今年読んで良かった本です。
 前半半分ぐらいの内容が心に響きました。気持ちが安らかになりました。中盤は、宗教(キリスト教)関連のお話、哲学っぽいものもありましたが、難しくて理解しにくい解釈でした。後半は寿命で、「死」を身近に感じるようになったときのお話でした。共感をもつ部分が多かった。

傘をもたない蟻たちは(ありたちは) 加藤シゲアキ 角川書店
 短編集で6本あります。
「Undress」タイトル英語は「裸」という意味だろうかと読み始めました。すごい筆力です。ストーリー構成が魅力的です。裸になるのは、脱サラ営業セールスマンの大西勝彦、年齢は32歳ぐらいです。男女関係の性、煙草、アルコールと不純なものに囲まれながら、策略、転落、どんでんがえしが続きます。

ちょっと今から仕事やめてくる 北川恵海(きたがわ・えみ) メディアワークス文庫
 若い人向けの「救い」の書です。自殺防止の願いがこめられています。
 主人公俺(青山隆)は仕事のことでとても悩んでいます。職場の人間関係であったり、長時間労働であったりです。そこへ「ヤマモト」が登場します。まるで、幽霊のような存在です。

娘になった妻、のぶ代へ 砂川啓介 双葉社
 読み手は、最初の5ページを読んだぐらいで、もう涙ぐんできます。今年読んで良かった1冊です。
 ドラえもんの声優大山のぶ代さんが認知症です。だんなさんの手記(体験記)です。ドラえもんを知る世代としてはショックです。2012年秋にアルツハイマー型認知症と診断されましたから始まります。こどもさんがいないとか、生後3か月で亡くされたとかは、今回これを読んで始めて知りました。ドラえもんらしく幸せいっぱいの人生だと勘違いしていました。

雨の降る日は学校に行かない 相沢紗呼(あいざわ・さこ 男性) 集英社
 登校拒否の女子中学生14歳ぐらいが読者の対象者です。
 非常に不安定で繊細な心理です。心が傷つきやすく、もろい。
 読んでいると悲しくなってくる。
 短編6本です。
 時空間移動があります。最後の短編が最初の短編につながります。わたしの好きなパターンです。

我が家のヒミツ 奥田英朗 集英社
 短編6本です。
「虫歯とピアニスト」自然体で生きるということです。クラシックの知識がある人が読んだほうが、実感が湧きます。こどもができるかできないかの葛藤があります。結婚したから必ず子どもが生まれるわけはありません。「ぼくの30代は寝ていた」という表現がいい。


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