2015年11月05日

掟上今日子の挑戦状 西尾維新

掟上今日子の挑戦状 西尾維新 講談社

 作者を主人公が女性だから女性だろうと決めつけながら読んでいました。調べたら男性だったので驚きました。
 記憶が1日しかもたない探偵さんです。彼女の名前が掟上今日子(おきてがみきょうこ)です。
 「博士の愛した数式」記憶が数時間しかもたない博士がいました。その探偵版です。発想がいい。しかし、どうやって推理を完結させるのか。
 3編の推理小説が収められた本です。1編目の「掟上今日子のアリバイ証言」をもうすぐ読み終えます。本は昔の帳面のような装丁(そうてい)です。古めかしい。良くも悪くもない。ちょっと、とっつきにくい。
 電気の感電殺人事件のようです。まだ、最後の謎解きは読んでいません。完全犯罪をもくろむという犯人の野望は最初から崩れました。アリバイの相手が、記憶が消滅する掟上今日子さん、白髪だが若くて美人だからです。
 面白い出だしの文章です。記憶を失う博士の話は悲しみに満ちていましたが、忘却探偵さんのほうは、強気です。どんな事件でも1日以内で解決できる最速探偵です。1日経つと記憶が消えてしまうからです。まるで、大昔にテレビに登場した地球に3分間しかいられないウルトラマンのようです。
 文章の固まりは適度に区切りがあって読みやすい。残りあと10ページ程度です。

(つづく)

 種明かしには拍子抜けしました。

「掟上今日子の密室講義」
 前回の警部の名前は「肘折(ひじおり)」でしたが、今回は「遠浅(とおあさ)」です。毎回同じ人だという先入観がありました。
 今回の事件は、アパレルショップ「ナースホール」にある試着室で店の常連屋根井刺子が死体で発見されます。試着室が密室扱いです。
 25才らしき、忘却探偵掟上今日子についての解説記述が長い。毎回、こうして彼女の紹介で字数を稼ぐのだろうかと勘ぐってしまいます。くどいかなあと読み進めましたが、最後はお見事でした。
 もし、彼女が記憶が消えない人だったら、どれだけ優秀なのだろう。外見的には、こういう風貌の女性を何人か見たことがあります。でも25才の若さではありませんでした。お嬢さま育ちで未婚、いつまでも少女のような人です。
 わからなかった言葉がひとつありました。「フェイズ」とは「段階」、この場合、犯罪行使の段階でしょう

「掟上今日子の暗号表」
 今度の警部さんの名前は「鈍磨(どんま)」さんです。そして、加害者は結納坂仲人、被害者は、共同経営者の縁淵良寿(ふちぶちよしとし)。縁淵さんが残した暗号を解きます。なかなか面白かった。暗号の文章もいい。加害者が被害者を殺そうとするにあたっていろいろ迷うのですが、そこで読み手は、もしかしたら、相手も加害者を殺そうとしているのではないだろうかと錯覚に陥ります。掟上今日子さんのキャラクターは、親しみやすい人ではなく、冷徹です。お金に対して貪欲。記憶が一日しかもたないことから、他者とのつながりを保てない孤独が底辺にあります。


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