2014年08月17日

破門 黒川博行

破門 黒川博行 角川書店

 直木賞受賞作品です。暴力団ものなので抵抗感がありましたが、新聞の選考経過の記事を読んで、読んでみる気になりました。
 すきま時間を利用しながら読み続け、かれこれ1か月をかけて読み終わりました。1行流しの文章が469ページまで続きます。ハードボイルド系で映像化を意識しているのか、脚本を読んでいるようでした。筆致は、井上靖風で、客観的事実をつなげて、感情表現をしないやり方で記述していく方式でした。後半の桑山と二宮啓之けいすけ(30代)コンビのやりとりは、関西吉本風の漫才のようでした。Vシネという映画のジャンルを自分は知らないのですが、知っている人たちが読んだら面白いのでしょう。
 映画「フローズン・ムーン(凍れる月)」製作のための複数の法人・個人から集めた出資金を小清水プロデューサー(60代なかば。愛人あり)が持ち逃げしたところから始まります。手形のこととか、マカオでのルーレットをはじめとしたギャンブル、それらを自分は知らないので、意味をとれない部分が多かった。お金のやりとり経過と組織構成は別途、メモをしながら拾いました。何のことかわからない部分もあって、やはり、わたしには向いていない小説でした。映画の出資金に応じて配当がある。仲良しこよしで映画をつくっているわけではないことに今頃になって気づきました。
 オカメインコだったか、二宮啓之のペットマキが何度も登場してしゃべります。何の暗示だろう。ペットを超えて恋人扱いです。また、彼がひとり社長である建設コンサルタント事務所の手伝いは従妹の渡辺悠紀です。ここに何か意味があると思うのですがつかめません。
 車でのロングドライブシーンは気に入りました。自分も共通体験があると興味が湧きます。
 外車やブランド商品、洋酒にプライドが反映されています。これもまた自分にとっては異世界でした。
 登場人物の中では、佐々木セツオくんが好みのキャラクターでした。地味で目立たないけれど指令されたことはやりとげるという強い意志をもっていました。
 お金獲得のための暴力ざんまいです。ケガの程度は深く、治療の経過は非現実的です。
 大騒動のきっかけが、通りすがりに起きた偶然の言いがかりと意地の張り合い、ぶつかりあいという設定は、全体を構築していくうえで弱いのではないか。愛とか夢とか希望とか幸福とかベースになるものがない。他の人の書評もあとで読んでみます。あと、 「破門」と「絶縁」の違いを始めて知りました。


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