妻に捧げた1778話 眉村卓(まゆむら・たく) 新潮新書

 文芸つながりで結婚した高校の同級生である妻が癌になって亡くなる5年間の間、妻の病気の気分をまぎらわせるために、ショートショートを毎日書き続ける。せつない愛妻物語、夫婦の歴史物語です。著者はSF作家です。
 奥さんは60代で亡くなっています。ご本人は現在83歳で、同級生ですから67歳のときに配偶者を亡くされています。
 ほかの方の実名も入っていますので、ノンフィクションの側面があります。

 平均400字詰め原稿用紙6枚ぐらいの作品群です。この本では1778話全部が紹介されているのではなく、著者の感想や思いと作品10数篇が掲載されています。

 美しい文章です。
 お金のことも含めて正直に書いてあります。
 1778話はすごい量でとても真似できません。執念もあるでしょうし、習慣もあるのでしょう。作中にもありますが、それが仕事で給料がもらえるというものでなければなかなか続きません。
 「14騒音吸収板」は防音室とか防音工事を思い浮かべました。
 「101作りものの夏」では、60代になると20代の頃の半分も光を感じなくなるとあり、実感があります。
 
 発想の訓練です。すべての作品が心に響いてくるわけではありません。オチがなくて、これはどうかと思うものもあります。(作中では、戸惑いが感じられるという他者の評価があります)

 73ページ付近、妻から「わたしの葬式はどうするの?」あたりの記述はつらい。小説家の妻というポジションに奥さんは満足しておられた。

 もう14年前に出た本ですが、ロングセラーを重ねています。

 「1449書斎」はGoodです。途中、話をどうおとすのか気になりました。

 心の面で、俳句で毎日の生活を支える。

 「次のバスまで20分もある」という部分では都会の人という印象をもちました。田舎の人にとってはたった20分です。

 1778日ふたりで生きた。
 文中にあるのですが、「そんなことをして(一日一話つくって)、どうなるんだ?」それしかできないからということもあるし、妻のためだけではなくて、自分のためにということもあります。
 日記替わりということもあろうかと。
 
 204ページの記述は力強い。夫婦だからと言ってなにも相手の心の隅々まで知る必要はない。めざす方向が同じであればいい。

 印象に残った文節は、「端的に答えるのはむずかしい(はっきり答える)」

 調べた言葉として、「ジュブナイル小説:少年少女向き小説」、「星間文明:宇宙における文明?」  

Posted by 熊太郎 at 05:32Comments(0)TrackBack(0)読書感想文