2017年06月22日

円周率の謎を追う 2017課題図書

円周率の謎を追う 鳴海風(なるみ・ふう) くもん出版 2017課題図書

円周率=円周と円の直径との比。3.141592…。直径の3.14倍が円周
円周=直径×3.14
円の面積=半径×半径×3.14

下地として、それぐらいを思い出して、読み始めましたが、わたしには、むずかしい本でした。
なにかと西洋の数学のほうが日本よりも早く、優れていたと考えがちですが、江戸時代の数学者たちは、優秀だったということがわかる本でした。

主人公は、徳川幕府の侍で、内山孝和(のち関孝和)、16歳。彼を支えるのが、柴村塾(江戸幕府勘定役、数学者柴村盛之)の娘、柴村香奈(知的な美しさあり。のちに桜井一右衛門の妻)です。
佐賀藩の侍、沢口一之。大坂(いまの大阪で学ぶ、先生は橋本正数)。円周率は「3.16」ではないことを知っている。

時代は、1600年代。
円周率は、「3.16」から始まりました。

単位もむずかしい。
「1尺(しゃく)」=約30cm
「1間(けん)」=約1.8m

木製コンパス=ぶんまわし。(おもしろかった)

12歳年上の兄永貞も数学が好きだったがお家のためにあきらめた。兄と弟の数学を巡る関係があります。

大阪にて、5人の門徒のうちのひとりと出会う。沢口一之の先生橋本正数(まさかず)の息子吉隆(京都で医者)
その弟子が、田中吉真(たなか・よしざね。数学の天才10歳)

成長に連れ、家を継ぐとか、結婚するとか、仕事優先、お家の存続優先のため、「円周率の解明」からは、遠ざかる運命にある内山ですが、男女の身分とかをからめながら、香奈が女数学者として、円周率に挑んでいきます。

関孝和がしたことで、画期的なこととして、数式を縦書きで日本風に編み出したことです。172ページに記事があります。

建部賢明(たけべ・かたあきら)16歳・賢弘13歳。関孝和の弟子。

数学に関する書物として、
「塵劫記(じんこうき)」江戸時代初めに出版された有名な数学の本。筆者は吉田光由。京都嵯峨野で隠遁生活(いんとんせいかつ。変わり者)。「新篇塵劫記」答えのない12問の登載あり。
「格致算書(かくちさんしょ)」柴山盛之作
「傍書法」
「竪亥録(じゅがいろく)」今村知商(いまむら・ともあき)
「天元術」:「算学啓蒙(さんがくけいもう)」の中にある。道具(算木(約6cm赤・黒2種類)と算版マス目)
「算法闕疑抄(さんぽうけつぎしょう)」磯村吉徳
「楊輝算法(ようきさんぽう)全7巻」内山孝和が奈良の寺で発見した。方程式の記述あり。
「算法統宗」吉田光由が勉強して、塵劫記を書いた。内山たちは、算法統宗に書かれた円周率を知りたい。
「算俎さんそ」円周率の計算掲載あり。赤穂藩に勤務する村松重清が書いた本。
「古今算法記7巻」沢口一之著。遺題(問題)を天元術で解いた本
「発微算法はつびさんぽう」関孝和著。「古今算法記」の解答書

本によって、情報が伝達され、世界が広がる。

長い人生の流れがあります。
常々数学ができる時間があったわけではありませんが、途切れず継続していった結果、偉大な業績にまでたどりついています。

良かったところとして、「関孝和が求めた円周率 3.14159265359微弱 割り切れない数のような気がしてきた。」  

Posted by 熊太郎 at 19:07Comments(0)TrackBack(0)読書感想文