2012年11月09日

死神の精度 伊坂幸太郎


死神の精度 伊坂幸太郎 文春文庫

6作品です。
「死神の精度」読み進めるうちになんとなくオチがわかってきます。ところが、違っていました。
「死神と藤田」日本語の構造について考えました。いや日本語でなくともいい。外国語でも記号でも。要は表記の構造について考えさせられました。
「吹雪に死神」死神物語の背景は何だろう。作者はなぜ「死神」を選んだのか。だれかはだれかの死を望んでいる。必殺仕置き人とか仕事人みたいです。死神は何でもできる。しかも、この物語では死神が複数います。読み終えました。この作品はとても重い。
「恋愛で死神」死神=疫病神で、死神は空中を飛んでいる。あたりまえのことをあたりまえにしていないところをみつけて、パッととりつく。本を読んでいる自分のそばに死神がいるような気になってきました。
「旅路を死神」現実の出来事のようでもある。死神はターミネーターのようです。被害者は周囲との意思疎通に欠ける。動機は誤解です。
「死神対老女」こういうシリーズはワンパターンに陥りがちですが、多様かつ機敏に変化しています。作者の才能と努力を感じます。音楽へのこだわりは何を意味しているのかは、最後までわかりませんでした。作者はどうしてこんなに老人の気持ちがわかるのだろうか。読んでいてうっすらと涙がにじんでくる。文章は
どんな世界でもつくることができる。全体をとおして、十分堪能させていただきました。


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