2011年04月05日

東京暮色 小津安二郎監督

東京暮色 小津安二郎監督 DVD

 美しい白黒映画です。先日三重県松阪市を訪れた折に「小津安二郎青春館」に入ってみました。映画の冒頭シーン、飲み屋で、三重県賢島(かしこじま)の話題が出ますが、以降は東京一色です。昔の東京の風景が残されています。この映画を見ていて気づいたことをいくつか書いてみます。
 映写機の視点が低い。床や畳にはいつくばって撮影をしたか、低い位置に映写機を設置して撮影したのでしょう。ワンシーンの時間が長く、構図ともあいまって安定感があります。
 俳優さんたちが演技をしています。女優さんが太っているのが意外です。いまどきの女優さんはガリガリにやせています。
 父親役の笠智衆(りゅうちしゅう)氏はこの頃から老(ふ)けている。わたしが生まれる前から老けていてわたしが高校生になった頃も老けていた。年齢不詳である。
 悲しいシーン、淋しいシーンなのに、バックでは、小さな音で明るい音楽が流れている。
 セリフは早口で聞き取れないときがある。東京言葉が瞬間的に理解できない。
 物語のことに突っ込んでみます。父親は銀行の監査役です。事務員さんたちが、今度の監査役は、日計表をちゃんとチェックするところが面白いというような会話を交わします。普通の監査役は、職場に来て、お茶を飲むことだけが仕事だったように受け取れます。家系と学歴で採用されて昇進していく。この時代は、そういうものだったのかもしれない。家庭環境は、中流の上となっています。
 母親は、父親の出張中に会社の上司とできて、それが原因で夫婦は離婚しています。娘がふたりいて、姉は学者さんのようなあるいは作家のような人と結婚してみちこちゃん2歳をもうけていますが、夫がノイローゼになって、婚家を出て実家へ戻ってきています。妹は、短大を出て英文速記を習っています。妹は恋人の子を身ごもりますが、相手の男から自分のこどもではないかもしれないと言われ、堕胎後、鉄道自殺のような形態で命を失います。暗い結末でした。
 父親はまじめですが、堅苦しい。次女は家に帰りたくないと周囲に訴える。映画には、浮気をするとバチがあたる。だから、配偶者ひとりを愛しましょうというメッセージがあります。姉妹の母親が徹底的に責められるのですが、原因をつくったのは男子です。人間の欲望とか悪を普段の出来事で表現した作品と受け取りました。


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