2008年11月09日

海街diary1 蝉時雨のやむ頃(せみしぐれ)

海街diary1 蝉時雨のやむ頃(せみしぐれ) 海街diary2 真昼の月 吉田秋生(あきみ) 小学館

 マンガのコミック本になります。書評のページを見て読みたくなりました。2冊に分かれています。読み出す前にまず、作者さんは女性です。
 出だしの4ページで感じたことは、絵にある男女関係はまるで虫のようです。どちらが男性でどちらが女性なのかわかりません。その後の展開を考えると、この4ページは必要だったのか疑問をもちました。
 鎌倉住まいの3人姉妹がいます。上から香田さちさん(看護師)、佳乃さん(よしのさん、地元の信用金庫職員)、ちかさん(店員)です。そこへ異母妹の浅野すずさん13歳が入ってきます。
 さちさんのものの考え方はわたしに似ています。ただ、彼女の言葉は大切な言葉ですが、ひとつひとつが重くて、読んでいて疲れます。マンガの場合は、気持ちを言葉ではなく絵で伝えてほしい。
 だれにでもふりかかる葬式時の相続話です。多用されている言葉として「煮詰まる」があります。最後の章「二階堂の鬼」、多田君の病気話はいただけない。理屈っぽい。とってつけたような病気話で無理があります。
 物語の展開を離れてみると、ローカル(田舎)感がとてもいい。舞台は鎌倉でなくてもいい。読み手がそれぞれのふるさとを思い浮かべることができます。そして、自分の中学時代を思い出します。郷愁に誘われます。
 次に、diary2真昼の月に移ってみます。
 章「花底蛇(かていのじゃ)」は中身が濃い。いい出来です。ただ最後のPS(追伸)の意味がわかりません。PSはだれに向けて書いてあるのか。読者ではなく、亡くなった4人姉妹の父親に対してのメッセージのような気がするのです。
 章「二人静(ふたりしずか)」に登場する多田君の義足姿から、藤原紀香撮影「カンダクゥ(アフガニスタン語で笑顔でね)」の写真集を思い出しました。香田家の4人姉妹は、みんなまじめで品行方正な善人です。そんな家庭ってあまりない。大船観音はわたしの好きな仏像です。とても美しい。以前山の上までのぼって観音様の周りを歩いて、その中に入ったことがあります。パソコンのハードディスクを探したら1枚だけ写真が出てきたのでここに掲載しておきます。





 読みながら尾崎風太郎くんはいい男(ヤツ)だとほめたくなりました。
 章「桜の花の満開の下」ここまで読んでみてなんだか違和感があります。この本を読み始める前の予想や期待と実際が異なるのです。物語全体は海というよりも山です。そして違和感の原因は、登場する人物全員が善良な人たちばかりなのです。こうあってほしいという作者の願望でしょうか。

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