2016年09月27日

マチネの終わりに 平野啓一郎

マチネの終わりに 平野啓一郎 毎日新聞出版

 女性向けのLOVE小説です。115ページあたりまで読んで気づきました。自分には合わないので速読に入ります。
 なお、「マチネ」は、昼公演です。夜公演が「ソワレ」

 40歳ぐらいの男女のお話です。男性は、天才クラッシクギタリストで蒔野聡史、ヨーロッパやニューヨークでコンサートをしているそうです。女性は小峰洋子、男性より2歳年上で、フランス・パリに本社がある雑誌の記者をしているそうで、イラクバクダッドでイラク戦争後の取材をしています。どうして、そんな職業のふたりが愛し合うようになるのか、あまり、結びつきを感じません。されど、男子は女子を好きになってしまったのです。そして、女子には、すでにアメリカ人の婚約者がいるのです。でも、女子も、アメリカ人の婚約者よりも日本人天才ギタリストを好きになってしまったようです。婚約者を愛せない理由というのが、ギタリストに出会う前に、もうそろそろ結婚しないと、子どもが産めなくなるからとあせったせいなのです。恋愛よりも出産年齢を気にして婚約したのです。なお女子は美貌の持ち主、スタイルがいいハーフ、父親は有名な外国人映画監督で2番目の日本人妻(長崎出身)の娘という設定です。
 時代背景はイラクのフセイン大統領が死刑に処された頃です。(2006年12月30日。平成18年)
 読んでいて、単純に、婚約破棄して、謝って、本当に好きなもの同士が一緒になればいいと断じてしまう自分です。

 文章の運びにこだわりがあります。たいしたものだと思います。文章表現のうまさにひたれます。ギターの演奏テクニック部分の記述がぶあつい。かなり、ぐっとくる内容です。
 男と女のあれやこれは源氏物語のようでもあります。会えない時間が、愛、育てるのさ、という昔の歌謡曲のフレーズもよみがえりました。
男を独り占めしたい女の執念はすごい。そして、きみだけだと言っていた男の浮気がそらぞらしい。

 「アランフェス協奏曲」は、就寝時に何度も聴きました。オーケストラをバックにしたギター曲で、とてもきれいで、壮大です。

 小峰洋子はバクダッドで爆弾テロに遭遇します。もう少しタイミングがずれていたら爆死していました。

 後半のユーゴスラビア紛争みたいな記事内容はちょっと日本人にはわかりにくかった。

わからなかった単語などです。「750ミリリットルのエビアンの瓶(びん):フレンチアルプスの水。ナチュラル・ミネラル・ウォーター」、「人は過去を変えられる:変えられないと思う」、「阿諛する:あゆする。顔色を見て相手に合わせる」、「パルチザン:正規軍ではない兵隊の集まり」、「映画ヴェニスに死す:1971年イタリア映画」、「PTSD:心的外傷後ストレス障害」

印象に残った記述の要旨などです。「6週間の勤務と2週間の休暇という労働条件」、「笑っていないと不安になる」、「アラブ系移民を見るとテロリストと思う」、「みんな自分の人生の主役になりたい」、「正しく生きることがわたしの人生の目的ではない」

 フランス・パリ、東京、クロアチア、スペイン・マドリード、ユーゴスラヴィア、オーストリア、ブラームス、バッハ、ヴェニスに死す、ラフマニノフ、ジュネーブ、国際的な内容なので、読んでいると、自分が日本人であることを忘れそうになります。

 思うところあって、ここに落としておきます。「10月14日生まれ 優希(ゆき)」

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