2016年01月30日

指の骨 高橋弘希

指の骨 高橋弘希 新潮社

 書評がいい。戦地での戦闘記述が鋭いという称賛でした。
 読み始める。第二次世界大戦。南洋。敵は、オーストラリア兵。
死者の指を切って集める。背嚢(はいのう、リュック)に入れる。不気味でもある。指は、遺族へ届ける。
 38ページ付近から、今度は、対戦相手のオーストラリア人の告白みたいになりました。(勘違いでした。若い日本兵の語りでした。)

 読めなかった、あるいは、意味がとれなかった言葉です。「尤:もっとも」、「槓桿こうかん:銃の握り」、「遊底:銃身の後部にあるスライド部分」、「繃帯:ほうたい」、「キニーネ:マラリアの特効薬」、「アクリナミン:体内にいる虫を殺す薬」、「アンペラを捲って(めくって):アンペラという植物で編んだ筵(むしろ)」

 舞台は、赤道のやや下、幅300kmの巨大な島。地名を知りたいとは思わない。この物語の中にある島ということでいい。カタカナ地名が出てくるけれど興味は湧かない。

 「カナカ」というのが現地人らしい。カナカの通貨はシェルマネーとある。貝殻がお金か。

(つづく)

 読み終えました。
 強烈な描写力で、死期を鬼気迫る文章で表現してありました。ただ、ストーリーの展開がありません。

 戦死者の年齢は若い。21才古谷、田辺分隊長が24才、眞田が21才、絵描きの清水と藤木、そして語り手の人物(名は不明かと)も同年齢ぐらいであろう。

 空間に浮いた「過去」という風景画の一場面を見ているようでした。

 むずかしい漢字の多用は、風格が出るのでしょうが、読み手にとっては迷惑です。感動を生む効果にはつながってきません。
 「ロッキード」という単語は、世代のせいか、戦争というよりも「汚職とか賄賂(わいろ)」を想像します。

 絵描きの清水の死はおごそかでした。心に響く記述でした。その後に続く、<死んだ。哀しみはなかった。>がよかった。救いようがないくらい暗い。

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