2021年04月12日

どしゃぶりのひに 木村裕一・作 あべ弘士・絵

どしゃぶりのひに 木村裕一・作 あべ弘士・絵 講談社

 「あらしのよるにシリーズ」5巻目です。
 ヤギとオオカミが親友です。読んでいると男女の恋愛にも思えます。周囲に反対があります。食べられる者と食べる者との間に芽生えた愛情です。
 最初にあり得ないと思ったら続きを読むことができないでしょう。あり得ない者と思う人とあり得るかもしれないと思う人に二分化される物語です。
 
 ヤギがメイ、オオカミがガブです。
 またもピンチです。
 人間には、同じ動物でも、その動物を食べる人とペットにする人とがいます。この世のことを理屈ですべてを説明できないのは、人間が感情をもつ生き物だからでしょう。
 今回のオオカミ集団のボスは「ギロ」です。彼に責任はありません。むしろ忠実に仲間のために働いています。ヤギはオオカミの食糧なのです。ヤギを食べなければ自分が死んでしまいます。
 ガブがなんとかメイを守り切りますが、オオカミ集団には、ガブがひとりでメイを食べたと思われるのではないか。
 予想をくつがえして、オオカミのほうで、もめるのではなく、ヤギのメイのほうで、もめごとが始まりました。メイは正直でした。オオカミのガブは自分の親友だとヤギ仲間に意思表示をします。だからメイは、ヤギ集団から抗議を受けて攻撃されました。まあ、うそをついてもばれることです。
 ふたりの別れ時なのか。
 あらまあ。オオカミのガブのほうでもふたりの秘密がばれていました。
 ふたりは、もう駆け落ちするしかないのだろうか。(駆け落ち(かけおち):愛し合っている男女が親の反対を押し切って行方をくらまして別の場所に行き、ふたりで生活していくこと)
 ふたりは「いくところまで いってみますか」と合意しました。
 次の巻が楽しみな終わり方でした。  

Posted by 熊太郎 at 06:58Comments(0)TrackBack(0)読書感想文