おしりたんてい トロル ポプラ社

 人気の絵本ですが、読むのは初めてです。後日孫たちに、読み聞かせをしてみるつもりです。
 最初に発行された絵本にしました。2012年発行です。「どんなじけんも ププッと かいけついたします」がキャッチフレーズです。

 お尻の形が顔という斬新というか、ふつうは、発想しても思いとどまるというか、ただ、こどもさんは、「おしり」とか、「おなら」とか、「うんこ」という言葉が大好きです。
 絵本化された勇気を評価します。

 おしりたんていが使用する電話機は、昔ながらのダイヤル式黒電話です。今の子は見たこともないのでしょうが、わたしには、今もその電話を使用している友人がいます。当然のごとく、携帯電話は持っていません。
 
 コマ割りのレイアウトが、ところどころ3分割になっていて珍しい。色使いは同系色でまとめてあって柔らかい。動物ベースのキャラがいっぱいです。

 おしりたんていが、犯人を捕まえる瞬間が強烈です。爆笑です。

 「報酬は、『笑顔』でけっこうです」は気がきいています。

(その後)
 孫に読んだところ、クライマックスシーンで驚いて、「こわい」と、ひいてしまいました。  

Posted by 熊太郎 at 05:44Comments(0)TrackBack(0)読書感想文
彦一とんちばなし 上・下 小山勝清 偕成社文庫

 小学2年生のころ、給食の時間帯に学校放送で流れていました。当時、学校嫌いでしたが、給食を食べながらその放送を聴くことがとても楽しみで、嫌でも学校へ登校していた記憶があります。物語に感謝です。時代設定は江戸時代で、場所は現在の熊本県八代市です。ひとつの物語は、原稿用紙に2・3枚程度で短い。上下巻通じて99話あります。長編よりも短編のほうが書くのにむずかしいという話を読んだことがあります。
 とりあえず、上巻の32ページまで読みましたが、学校放送当時の内容までは覚えていません。今思うに、話の中身と同時に、黒板の上のスピーカーから聞こえる朗読の雰囲気が好きだったのだろうと。

 1896年明治29年生まれ、1965年昭和40年69歳没の小山勝清(こやま・かつきよ)さんという熊本県出身の方が作者です。
 
 彦一は熊本のヒーロー扱いです。村一番の知恵者で、働き者。
 「キッチョン」が出てきます。「吉四六きっちょむ」で、同じく知恵者として昔の物語に出てくる人物です。
 毎回、きれいな決着があるわけでもありません。それはそれでいい。
 「ひげの長者」は、なんだか、胸がすーっとしました。自分が一番とうぬぼれると、人にだまされるというお話しでした。
 今も昔も同じく、威張る男のバカさ加減が記されています。
 昔の人のその時代の知恵話は愉快です。
 お伊勢参りの話も不朽で今なお継続しています。
 彦一はなかなかの切れ者、知恵者です。頭の回転が速い。当然作者自身の発想が豊かです。悪人をだます。さすがです。受け止め方によっては彦一が詐欺師です。
 彦一は正義感があり『もみ消し』を嫌います。
 第27話「にらめっこ」は、こどもの頃に学校放送で聴いた記憶がかすかにあります。
 第30話「飛行術」は、そういうことかと納得しました。
 奉納では、昔、博多の櫛田神社を訪ねたおり、歴代力士がもちあげた巨石があったことを思い出しました。相撲は神事です。
 歴史を感じる作品群でもあります。江戸時代の人たちは善人です。身の丈に合った枠の中で暮らしています。
 彦一のとんちの切れ味はさすがです。子どもさん向けのなぞなぞとしてもおもしろい。「さすが」としか、言いようがありません。うまいことを言います。彦一の「モデル」がいるような気がします。
 第36話「犬のけんか」は、ちょっと無理がありますが、江戸時代の人は対立しても互いに善人です。他の物語も含めて、基本的に、ハッピーエンドです。
 第40話「昼ちょうちん」は、珍しく、殺人事件の推理です。彦一は、現場主義の立場に立って事件発生の経過を再現します。名探偵です。
 熊本から江戸まで参勤交代をする。徳川家康の政策は、全国の文化交流と経済活性化に役立っています。
 201ページまで読んできて、ようやく気づいたことがあります。「彦一」とは、青年だと思い込んでいましたが、「百姓の小僧、百姓のこそがれ」、青年ではなくて、子どもでした。
 生き残るための「知恵」があります。
 子どもさん向けの短文ですが、読むのには時間がかかります。
 上巻を読み終えました。最後は、「ほー、そうか」でした。

 巻末付近に、「偕成社文庫発刊に際して」という宣言文があったので読んでみました。昭和50年、1975年の記事です。設立の主旨がよく伝わってきます。
 時代は変わりました。文書出版の衰退は著しい。書籍に限らず、過去作品の使いまわし、リバイバル、お金も物も前世代の貯えを消費しています。いつかは限界に達するときがくるのでしょう。静かな社会が待っています。

 下巻を読み始めます。
 第53話「名人のこころがけ」では、横綱の品格を思わせてくれます。勝っていばらずです。
 第54話「あの道この道」では、道徳(社会生活における倫理、規範)を考えます。
 熊本は細川家、鹿児島は島津家。下巻はサムライ社会を中心とした公務員の世界を描いているようです。
 第59話「盆栽さばき」は、おもしろい。お気に入りの1本です。不注意で盆栽を壊されて、その相手を手打ちにするという盆栽の所有者であるサムライを上手に収めます。
 発想の手段の一つとして、「区域を拡大して考える」
 上巻と違って、彦一に陰険さ(表面に出さず腹のうちに悪意あり)があります。おびきだしは、おとり捜査的です。
 ここまできて、まだ先が長いこともあって、「あとがきにかえて」を先に読みました。
 読んでみると、全部が作者のオリジナルとうことではなく、昔話の蓄積です。代々語り継がれてきた口述文化の集大成です。
 解説を読むと、作者は地元愛が強い。熊本県人吉市の病院に最後は転入院して亡くなっています。
 第68話「三太のてがら」では、手話が解決の手法として出てきます。すごい。このほかの話でも、障害者が物事の解決で活躍します。
 後半は、東海道中膝栗毛のパターンで、彦一と庄屋さんが、熊本―大分―福岡―長崎と道中を楽しみます。
 対立ではなく、「共存」が下地にある物語です。

 調べたことがらなどとして、「貨幣の単位としての文(もん)作中ではカラスが1羽90文:1文12円だから1080円」、「かたはらいたい:ばかばかしい」、「ごまのはい:江戸時代の盗人。甘い言葉で近づいて来る」、「鎮守の森:神社の境内にある森」、「ちんむるい:変わっている。こっけい」、「奉納:神仏に物品を供えたり、芸能・競技をしたりすること」、「1両:10万円~20万円」、「名代:みょうだい。ある人の代わり」、「荒木又右衛門:江戸時代初期の武士。剣客」、「武者窓:武家屋敷の太い縦格子の入った窓」、「弱り目にたたり目:弱ったときにさらに災難にあうこと。不運が重なること」、「宰領役:監督する。取り仕切る」、「熊襲:くまそ。古代の九州南部に住んでいたとされる民族。他の地方だと思っていました」、「はんじもの:絵画に隠された意味をあてる」、「あわせ鏡:2枚の鏡をあわせること。向かい合わせに設置する」、「讃:さん。ほめたたえる文」、「ふしおもしろい:メロディーとリズムがおもしいろい」、「ろんよりしょうこ:あれこれ論じるよりも証拠を示して事実を明らかにすること」、「こわ談判:強硬なかけあい」、「五穀:米、麦、粟、キビ、豆」

 気に入った表現として、「計略」、「証拠がないからいつまでも争いが続く」、「剣を抜いて敵を切ることだけが武術ではない。場合によっては、敵の襲撃から逃れなければならないときもある」、「勝ち負けをさばく」、「彦一の水ぶろ」、「目標は、庶民のロマン(あこがれ)を文学の世界に表現すること」、「人は食べないでいると、仕事もできず、はては、乞食になったり、泥棒になったりする(だから、領主は人々に食べることができるようにしなければならない)」  

Posted by 熊太郎 at 05:47Comments(0)TrackBack(0)読書感想文
雲をつかむ話 多和田葉子 講談社

 幻想的です。ページ全体に文字があるので、かなりの文字量です。
 作者はドイツで暮らしていて、内容は、日記をもとにした一人称の物語のようです。刑務所で服役中の死刑囚が、仮出所中に小説家である作者のもとを偶然たずねてくるところから始まります。
 囚人は、作者が書いた本を売ってくれと言うのですがそれは空き巣に入ろうとして失敗した口実です。
 本がもたらす有益性が書いてあります。刑務所内図書館もあります。
 
 ベルリンとか、ハンブルグとか(ドイツ北部貿易都市)、エルベ川、ふだんなじみのない地名です。スイス、オーストリア、ヴォルフスブルグの駅。

 セリフの「 」の行変えがなく、文章中に「 」がある筆記スタイルです。ゆえに大量の文字数です。

 「家元制度反対」とは、昔あった1980年の切り付け事件がヒントなのでしょう。

 「終身刑」というのは、一生涯だと思っていましたが、作中では、終身刑で15年は、普通は8年で出られるとあり、そういうものかと。

 印象に残った表現の趣旨として、ケチを表すために、「洗濯を重ねて木の皮のようになった風呂場のタオル」

 「思い出の記」そういうイメージです。むずかしい漢字は使用されていません。外国文学(翻訳)を読んでいるようです。「つぶやき文学」です。

 「監獄に入れられている人のことが自分のことのように思える」という発想は、ふつう思いつきません。

 脳の研究書のようでした。

 「人生は退屈で幸福であればいい」は、説得力があります。

「鱒男:ブレーメンの青年」「マボロシさん」「亡命詩人」「双子のひとりがオズワルド」「ブリッタ」「あやこ」「フライムート」「紅田(ハンブルグ生まれ)」「「マヤ(フライブルグ生まれ)」

(再読)
 ゆっくり読みなおすことにしました。

 かなり時間をかけて読み終えましたが、わたしには理解できませんでした。
 事実とは違う虚構の世界です。
 上質なエッセイ(思索をまとめた散文)なのでしょうか。
 作者の日常生活が半分、虚構が半分という成り立ちで、収監者との関わりが書いてあります。
 
 心に残ったのは、詐欺的な「電話族」による勧誘。彼らは信用できない。  

Posted by 熊太郎 at 06:11Comments(0)TrackBack(0)読書感想文
すぐ死ぬんだから 内館牧子 講談社

 100ページまで読みました。
 78歳の奥さんで忍ハナ(おし・はな)さんがいます。ご主人が79歳岩造さんですが、ここまで読んで、ご主人が突然死のように亡くなります。その病名が自分もり患したことがある病名だったので身近に感じました。
 
 高齢者がファッショナブルにして生きがいを満足させるという内容でスタートします。そうやって自分を高めつつ周囲のありさまを否定します。
 ハナさんの一人称でひとり語りです。いささか、世界が狭い雰囲気で100ページまでが終了しました。姑の嫁攻撃があります。(許容しなければならない世代間の感覚の差をはらんでいます)
 ハナさんは、お金の苦労がない立場です。

(つづく)

 読み終えました。
 人生の最後をどんな状況で迎えるのか。死んだら終わりです。
 不安定な設定に立っている物語なので一般的ではありません。
 身なりをきれいにしようというメッセージには賛成です。

 先日テレビで放映していた「死後離婚」のお話が登場します。「姻族関係終了届」は、具体的な効果を伴わない場合は、精神的な問題であり、届を出しても出さなくても変わらない気がします。

 良かった表現の趣旨などとして、「(歳をとると)孫自慢、病気自慢に元気自慢」、「(歳をとると外見が)汚く、緩く、退化」、「(年寄りがお金がないというのは)貯金するから」、「言霊(ことだま)」、「男ならだれでもいい女と、女ならだれでもいい男が結婚した」、「外見を磨く」、「人は生きることに飽きる」、「生まれ方は不幸でも、育ちかたは幸せだった」、「老人にいつまでも主導権はない」、「衰退を受け入れる」、「先のない人生」

 調べた単語として、「些少:さしょう。読めませんでした」、「手下:てか。てした」、「アスコットタイ:幅広のネクタイ」、「糟糠の妻:そうこうのつま。貧しい時から苦労をともにしてきた妻」、「ポルカドットのセーター:水玉もようの。普通の大きさの水玉」、「ボルドーの長いコート:赤ワインのような赤紫色」、「パラッツォパンツ:ゆるいズボン。ぱっと見、スカートみたい」、「フリースのトレーナー:厚地の生地」、「ハイボール:ウィスキー炭酸水割り」  

Posted by 熊太郎 at 05:23Comments(0)TrackBack(0)読書感想文
最愛の子ども 松浦梨英子 文藝春秋

 20ページまで読みました。高校生の話で、生徒が多いので、登場人物が多い。このページにくるまでにメモを繰り返して疲れました。ひと休みします。

 女子高生同士を夫婦と見立て、また、別の女子高生をその夫婦の子どもと見立てる。疑似家族です。

 神奈川県下の私立玉藻学園、女子高かと思いましたが、男女共学校です。ただし、女子クラスと男子クラスに別れています。お金持ちの家の子どもたちです。

 北海道への修学旅行があります。ちょっと、思い出したくもない自分の修学旅行、学生時代がよみがえってきて、フラッシュバックです。

 女子高生の生態が描かれています。今年読んだ、三浦しおん作「のの花通信」と共通する雰囲気があります。

 女子同士の同性愛の話です。女子向きの本です。

 物語の進行役、語り手がだれなのか、最後までわかりませんでした。主語が「わたしたち」と表記されています。そして、ときおり、作者が登場人物にのり移ってその心情を語るのです。不思議な感覚がありました。

 調べた単語として、「混淆:こんこう。様々なものが入り混じる」、「憫笑:びんしょう。あわれみのこもった笑い」、「フィクサー:資金、政治力、人脈をもった人物で正規の手続きを経ずに調整をする」、「リアーナ似:女性シンガーソングライター。中米の島の出身」、「鑑:かがみ。お手本。模範」、「挿む:はさむ」

 心に響いた表現として、「うちは、家族仲が悪い」、「生きるのって面倒臭い」、「手下連中が、さぁっと離れた」  

Posted by 熊太郎 at 05:33Comments(0)TrackBack(0)読書感想文
ルルル動物病院 後藤みわ子 岩崎書店

1巻 走れドクターカー
 「まゆこ先生」は、小学校の先生ではなくて、学習塾「牧原塾」の先生。
 主人公は、小坂井輝(こざかい・てる)小学4年生。
 ドクターカーは、ペット動物を扱う獣医の車。獣医は、犬吠埼太郎という獣医3年目の若者。

 鳥の話が最初に出てきます。もうおとなになった息子が主人公と同じく小学4年生だった頃、里山で飛べなくなったセキセイインコを拾ってきて長いこと育てたことがあるのを思い出しました。
 
 動物好きなこどもさん、動物好きなおとなのための本です。
 犬吠埼太郎の「犬、犬」がおもしろい。「ルルル」の由来も愉快です。タマル・アニマル・ホスピタルで、タマルは多丸で地名です。
 「大」の字、「犬」の字もおもしろい。犬の命名もおもしろい。

 木に登って降りることができなくなった猫の救出は、猫をどうやっておろすのだろうかとオチが気になりました。

 10才小4の小坂井輝と獣医犬吠埼太郎の出会いと過去は秘密でありドラマでもあります。人の縁が感じられます。

 こどもさんにとっての将来の仕事探しの本という側面ももっています。

 調べた単語として、「サバトラの猫:明るい灰色に黒っぽいしま模様」、「コーギー:犬種。イギリス産。胴長、短足、牧畜犬」


2巻
 小坂井輝の妹がだいぶ歳は離れていますが、「りん」で1才です。ふたりのパパは単身赴任中、ママは育児休業中です。
 井野原百合さんの年齢は80代で、もと書道の先生です。「あらあらのおばあさん」がニックネームです。
 同級生の尾田恭輔と遠藤マコトがうまくいっていません。理由は、マコトが友達付き合いよりもペットのネコである「ミルク」の世話を優先するからです。友達同士の気持ちの交流を図れません。
 
 「友犬:犬を通じての人間の友だち。友達のいない人が犬を友達にすることかと思いました」

 お花である「ゆり」が、猫には毒だと、初めて聞きました。

 調べた単語として、「アビシニアン:猫の品種」、「キャリー:小動物用運搬かご」


3巻
 3巻では、最初のうち、獣医の犬吠埼太郎は休日で登場しません。
 主人公小坂井輝の妹りんちゃんは2才になります。
 妊娠している捨て犬の登場です。
 ペット禁止のマンションのことがでます。最近は条件付きでペット可のマンションが増えました。
 去勢の話。ペットもたいへんです。猫の名づけがおもしろい。「クツシタ」、「サーモン」
 動物が好きなだけでは獣医はできない。獣医は動物の飼い主も好きでなければならない。

 あとがきに、一生の間に出会える人間の数について記述があります。なにかしらの関係をもつ人の数は、わたしは、5000人ぐらいだと思っています。地球上には70億人以上いますがそれぐらいの人としか交流しないという感じです。
作者は続けて、ペットとのふれあいの期間は長くはないと記します。だからその期間を大切にしましょうというメッセージです。人間同士も同じです。

 調べた単語として、「エリザベスカラー:円錐台形状態の保護具。ロートのような形状で動物の首に巻く。外傷をなめることができないようにする」  

Posted by 熊太郎 at 06:29Comments(0)TrackBack(0)読書感想文