生命とは何だろう? 長沼毅 2014課題図書

2014年05月03日

Posted by 熊太郎 at 09:39│Comments(0)TrackBack(0)読書感想文
生命とは何だろう? 長沼毅 集英社インターナショナル 2014課題図書

 生物の進化の経過を太古からたどりながら、最終的には、人類について、将来、絶滅するのか、あるいは、進化した人類の過去の姿として形を残すのか、想像をめぐらせながら、平和な世の中を希求する内容となっています。
 著者は、生物学者です。まえがきにおいては、著者が幼稚園ですべり台遊びをしていた頃をふりかえり、自分はどこから来て、どこへいくのか、という疑問が頭の中を占めたことを、1961年生まれ50才過ぎの著者が提示しています。答のでない質問です。鏡を見て、自分はだれなんだと思う幼児期があったそうです。自分の両親はだれで、自分はそのふたりのこどもで、自分が何者であるかを肯定して自信をもって生きる。まえがきの後半では、もしかしたら、人間の未来にあるのは「絶滅」かもしれないという不安が書いてあります。実感としては、自分が生きている今ではなく、遠い何万年も先と答をはぐらかす自分がいます。
 わたしがこどもの頃、人類は核戦争で滅亡するというお話が、テレビ番組とか、マンガとか、雑誌の記事で一般的なこととして情報提供がありました。米国とソ連が対立していた頃です。現在では、あまり聞かなくなったお話です。
 46億年前、宇宙に地球が誕生した。38億年前、地球に生命が誕生した。途中何度も、生命が絶える危機があったのですが、全生物が死に絶えたのではなく、何パーセントかの生物が生き延びてきたように記述からは推し量れ(おしはかれ)ます。
 生命体の材料となる物質は濃縮された炭素であるから始まります。ここから先は、生物学者ではないわたしが本を読んでわかったような気になった説明ですので、正確性に欠けるでしょう。アミノ酸がつながった高分子化合物がタンパク質です。地球は自然の実験室でした。海底火山の熱水循環によって、海底火山のそばから「原始のスープ」が出ていました。スープの中にたんぱく質の元となるアミノ酸が生まれました。アミノ酸が50個以上正しい順番でつながったときに「タンパク質」が生まれました。スープはクレープ状の形状になったものもありました。やがて、海中にあった鉱物の表面で、生命の素(もと)ができました。
 他の推測として、生命の素は宇宙から来たという説が有力です。ノーベル化学賞を受賞したスェーデンのスヴァンテ・アレニウスによる「パンスペルミア説」です。ここまで読んできて、なんだか教科書を読んでいるようです。
 「物質代謝」のお話が出てきました。古い細胞を捨て、新しい細胞を得る代謝がなければ、生物は命と形状を持続できない。
 エルヴィン・シュレーディンガー、1933年ノーベル物理学賞受賞者は「シュレティンガーの猫」という説をとなえています。染色体が生物の「設計図」です。この本は将来研究者を目指す理系の学生さん向けです。染色体には、「遺伝子」と「DNA]が含まれている。負のエントロピー(たとえとして水に落とした一滴の赤い液体)を絶えず食べていないと生命を維持できない。
 宇宙はいずれ崩壊してのっぺらぼうになるという末恐ろしい考えが紹介されています。卵子には、「ゲノム」があって、ゲノムは遺伝子情報の総体を指す。人類は卵子をもつ女性のみが存在していれば種の保存・継続が可能とも書いてあります。卵子はつくれないけれど、精子の役割を果たす物質があれば受精は可能です。人工生命のお話も出てきました。
 地球環境の変化によって、ミトコンドリアが増えて、酸素が増加した。細胞の中にミトコンドリアがいる。 コラーゲンが、細胞と細胞をくっつけるのりの役目を果たす。
 以上、自分でも何を書いたのか理解できません。あたまの中に言葉のチリがただよっている状態です。さらに続けると、突然変異が何度も起こって、人類が生まれた。他の動物も同様に進化した。(以前読んだ小説ジェノサイド(アフリカでの大量虐殺という意味です。)を思い出しました。アフリカで新種の超人類が誕生しています。)
 人類が人類であるためには、まず「記憶力」が必要と読みとりました。記憶できることによって、比較や類推、関連づけができるのです。
 146ページ付近にあるアフリカで生息していた人類の出始めの生き物が(ホモ・サピエンス)、全地球規模で「移住」を始めたお話がおもしろかった。
 さて、理屈を整理するために、もう一度最初から要点を拾いながら読み直してみます。

(もう一度読んだあと)
 38億年前に生命誕生、20億年前に真核生物誕生、12億年前に多細胞生物誕生、4億年ぐらい前に魚類登場、続けて、植物が上陸、両生類・爬虫類登場、2億年ぐらい前に恐竜登場、6500年ぐらい前に恐竜絶滅、あわせて、2300万年ぐらい前ほにゅう類繁栄、259万年ぐらい前にヒトの祖先出現、以降人類の時代となるのが経過です。
 タンパク質は、有機物(炭素を含む化合物)であるアミノ酸がたくさんつながった高分子化合物である。地球上の生物の体は基本的にタンパク質でできている。
 38億年前、化学進化でタンパク質ができた。タンパク質合成の経過は未だにわからない。
 著者は、宇宙起源説を推(お)している。1906年スェーデンのノーベル化学賞スヴァンテ・アレニウスが宇宙起源説を「パンスペルミア説」と名付けた。タンパク質の材料であるアミノ酸などの有機物が隕石や彗星にのって地球にデリバリー(配達)された。1984年に南極大陸で隕石「ALH84001」が発見された。火星起源の隕石だった。1976年にアメリカの火星探査機「バイキング」が分析した火星の大気の組成が隕石「ALH84001」に含まれていたガスの成分と一致した。さらに、その隕石を割って内部を調べたら、シアノバクテリアにそっくりな化石が出てきた。シアノバクテリアは、地球における生命誕生の鍵を握っていた物質だった。
(ここでひと休み)
 第ニ章「生命とは何か」です。
 生命の本質は「代謝」とあります。新しいものを取り入れ、古いものを捨てることで、自分の体をつくり変えながら生きていく。体の構成要素を入れ替えていくことを専門的には「物質代謝」という。人間は毎日5000億個の細胞が入れ替わっている。著者はこのことを「渦」と表現している。
 以降何ページも解説が続きますが、むずかしくて、理解する気になれないので省略します。
 第三章「進化の歴史を旅する」18世紀から19世紀にかけて、進化論があった。生物の進化には目的があって、目的に向かって進化が必然的に生じた。現代では、この説は、否定されているそうです。著者は、進化は目的ではなく、「結果」であったと表現しています。また、生まれたあとに努力して得た能力は遺伝しないとしています。
 現在の生物学者が指す「進化」は、チャールズ・ダーウィンの進化論に基づくものとあります。1859年に刊行した「種の起源」は現代も否定されていない。DNAの突然変異によって、形態が異なる生物が誕生する。突然変異をした個体から始まって、やがて新種の祖先になる。
 細菌シアノバクテリアは、植物のように二酸化炭素から炭水化物を合成し、酸素を排出する生物です。酸素が大量に供給される環境に至った地球にミトコンドリアの祖先となる生物が誕生した。ミトコンドリアは、有機物から電子を引きはがして留めこみ、それによって、エネルギーを産生する機能(電子伝達系)がある。わたしには何のことかわかりません。ともかくミトコンドリアが生まれたのです。
 その後、映画や小説でよくいうところの氷河期が何度かあって、それでも生物が絶滅したわけではなく、長い氷河期の間にあっても生き延びた生物はいたそうです。地球の自然環境が変化して、酸素量が増大して、酸素に強い生物と酸素に弱い生物がコラーゲン(のりの役割)でくっついた。多細胞生物が誕生した。体のサイズが大きくなり、多彩なデザインの体が出てくるようになった。
 第四章「何が生物の多様化をもたらしたのか」ここでは、目の進化について重点的に説明があります。その後、海の生物が陸へあがるときのこと、恐竜のことなどが書いてあります。
 第五章「人類の未来は進化か絶滅か」この部分の趣旨は、この感想文の冒頭に書きましたので、再掲出は省略します。
 その他、全体をとおしておもしろかった部分は次のとおりです。
・114ページ、目の進化解説部分にある太古の生物が海中にうじゃうじゃいる絵は、グロテスクで夢に出てきそうです。
・133ページに、地球の磁場(南北磁石)は、100万年に1.5回逆転する。びっくりしました。これまでに何百回も地磁気が入れ替わっているそうです。でも、南北が逆になることは問題ない。ただし、反転の途中で磁場が消える瞬間があり、そのときに地球の外から放射線が大量に飛び込んでくるそうです。わたしは、引力が消えて地球上のすべてのものが宇宙へ放り出されると勘違いしました。
・ホモ・サピエンスは地球上で初めて「遊び」を覚えた生物だそうです。ふつう、生物は、食べる、寝る、繁殖する行為しかしない。
・ホモ・サピエンスは好戦的。それを制御するだけの知性も兼ね備えている。脳の神経回路に「ミラーニューロン」という特殊な細胞がある。他人の心の中を「鏡」に映すようにおもんばかる細胞である。ヒトには、他人と結びつくことで集団を形成する性質がある。絶滅を回避するために「信頼」と「理解」が必要です。7万年~5万年前にアフリカを出て、世界中に移住を始めた小集団が協調性遺伝子をもっていたことは幸運だった。戦争を回避するために、その遺伝子が必要です。(これは著者の考えです。)
 以上のことを踏まえると、交戦状態を想定して備えようとしている現在の地球上の様相は危険な状態であると自分は考えました。


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