2024年09月09日

運命じゃない人 邦画 2005年

運命じゃない人 邦画 2005年(平成17年) 1時間37分 動画配信サービス

 中村靖日(なかむら・やすひ)さんという俳優さんが7月10日に急性心不全のため51歳で亡くなって、わたしは知らない俳優さんだったのですが、いくつかのコメントを読んで、いい俳優さんだったということだったので、コメントのなかで、作品『運命じゃない人』がいい演技だったという記述を読んで、映画を観たくなりました。
 観終えて、中村靖日さんの演技がとても良かった。

宮田武(中村靖日):優しい。人を信じすぎる。お人よし。だまされていても、だましている相手を信じてしまうタイプ。サラリーマン。

神田:宮田武の中学時代からの親友。探偵をしている。なんというか、ふつう、この異なるタイプの人間同士が親友になるとは思えないのですが、演劇の設定です。
 宮田武が結婚詐欺師あゆみという女性にだまされたあと出会って付き合いたくなる女性も、宮田武のキャラクターに合うような女性のタイプではないのですが、それもまた演劇の設定なのでしょう。

 宮田武が結婚後のために購入したマンションを自分がつき合う女と使いたいから貸してくれと神田が言います。
 洋画、『アパートの鍵貸します』を思い出しました。1960年(昭和35年)ビリー・ワイルダー監督、ジャック・レモン、シャーリー・マクレーンのいい映画でした。

 こちらの映画にはいろいろ仕掛けがしてあります。最初は見ているほうもだまされます。最後は、ほうそうかいなと、やれやれという気持ちになりますが、まっイイカ!で終わりました。

 冒頭付近の婚約解消をされた桑田真紀のひとり語りに説得力があります。
 『知らない星にひとりぼっちでいるようだ……』から始まります。
 婚約指輪を古物商にもっていったら、わずか3500円の引き取り価格だった。
 桑田真紀の気持ちです。『自分の幸せをほかの人に託すから(男にたくすから)こんなふうになるんだ。もう誰も頼らない。(これから)ひとりで生きていくんだ』

 2005年(平成17年)なので、スマホはまだ世の中に登場していません。ガラ携(がらけい)の携帯電話です。

 始まってしばらくは、男女の会話がぎくしゃくしている感じがありました。
 
 ときおり、時間が戻ります。不思議なつくりの映画です。
 舞台劇のようでもあります。
 その後も何度か、時間が戻ります。伊坂幸太郎小説作品みたいです。

 宮田武を演じる中村靖日(なかむら・やすひ)さんは、限りなく心が優しい。優しいけれど、女性にもてるタイプではありません。だから、女性にとって結婚相手になる『運命の人』とは思えない。映画のタイトルにある『運命じゃない人』扱いなのです。されど現実には、こういう人と結婚することが、平和な人生につながります。

 宮田武はまじめです。まじめすぎて、魅力のない人です。
 中村靖日(なかむら・やすひ)さん、演技がうまいなあ。本人の地(じ。本来の姿)ではないと思いますが、うまいなあ。

 女の人同士が、がちあいます。おもしろい。
 女が女をののしります。
 『(あなたは)勝手すぎる!裏切り者(みたいに言う)。(あなたは)自分の都合だけで生きているのね!』(すごい! いい脚本です)
 自分がカップルになる相手は、だれでもいいとういうわけにはいきません。
 走る! 走る! 走る! 自分にとって、失ってはいけないと思う異性を追いかける。

 伏線として、『(あなたの)電話番号を教えてください!』(いいなあ)

 宮田武(中村靖日(なかむら・やすひ))は、純粋です。純真です。不純な気持ちや、私欲がありません。

 タクシーの運転手さんもおもしろい。

 恋愛において、異性の見た目やスタイルに、だまされてはいけない。

 ときおり、ウソが判明します。
 このあと、どんなどんでん返しの大ウソがあるのだろうかという気持ちになります。

 戦争地帯と平和が同じ空間に同居しています。
 宮田武(中村靖日(なかむら・やすひ)さん)の空間が、『平和』で、彼以外の人たちがいる空間が、『戦地』です。
 
 時空間移動もあります。
 ヤクザである組長の携帯電話の呼び出し音が、『組長!電話です』だったのが良かった。

 宮田武(中村靖日(なかむら・やすひ)さん)は、人を信じすぎるお人よしですが、幸せな人です。これでいい。人間は、正直に生きたほうがいい。
 いい映画でした。

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