2018年01月15日

殺人出産 村田紗耶香

殺人出産 村田紗耶香 講談社文庫

 「コンビニ人間」の著者である。くわばたりえさんの子育て本からこの物語につながった。不気味なつながり方でくわばたさんには申し訳ないが、しかたがない。本屋の中を歩いていたら、この本にぶちあたってしまった。

 短編4本です。

「殺人出産」
 半分ぐらいのページ数を読んだところです。すごいなァ。
 怖さを与えてくれる才能があります。魅力があります。

 100年後の日本です。少子化です。
 10人のこどもを産むと、1人の人間を殺せます。恨み、憎しみの対象としてのひとりです。
 女性も男性も子どもを産むことができますが、人工授精です。男子の場合は人口子宮がとりつけられます。

(つづく)

 100年後これだけ世界が変化すると、「盆正月」というものはないと思うのですが、書中ではあります。まあ、なんでもありの世界です。

 だれかを殺すという強い思いがあります。
 10人産むのに20年間ぐらいかかる。
 20年間は、特定のだれかを殺したいと思い続ける。
 生まれながらに殺人をしたい衝動をもつ姉がいる。

 殺人を肯定するオソロシイ未来社会です。
 女性の裏社会でもあります。

 書き言葉は明瞭でわかりやすい。

(つづく)

 読み終えました。
 文才ある文章と独特の世界観です。恐れ入りました。たいしたものです。

 うまいなあと思った部分です。「殺人出産システム」、「恋愛とセックスは別、種の保存法も別」、
「殺したいなあ」、「体温の高い手」、「殺人シーンはグロテスク」

 終わり方はこういう終わり方か、うまくできていると感心しました。「愛」があります。


つづけて、他の短編の感想も付記します。

「トリプル」
 すごい発想です。常に未来志向で、未来にはなんでもあるのです。
 カップルではなく、トリプルで交際するのです。
 良かった表現として、「私は、傍観者ではなく参加者になった」
 不道徳、倫理無視のようで、そうではない。未来のルールにのっとっているし、節度もある。(ゆきすぎない。)

 どうなんだろう。作者は虐待でも受けていたのだろうか。そして、パワフルです。なにか、満たされないものがあって、想像がふくらんでいく。

調べた言葉として、「タピオカ:でんぷん」

「清潔な結婚」
 これもまた、100年後のことです。
 繁殖するのにすることをしないのです。
 人工授精ばかりのお話です。
 行為は、こっけいでもあります。(滑稽:笑い、突然に起こるような笑い)
 
「余命」
 わたしは好みです。
 未来、死がない。人は死なないのです。だから、自死を選択します。
 4ページと2行しかありません。短いけれど、中身は濃い。

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