2017年12月02日

孤独のすすめ 五木寛之

孤独のすすめ 五木寛之 中公新書ラクレ

 年寄り向けの癒しの書です。老化していくあなたへのアドバイスとメッセージです。

 社会にとっての自分の必要性が低下していくあたりから始まります。
 自分がいなくてもいい。

 年寄りから受ける老害、圧力、下の世代にとっての迷惑な行為。そういったことについて書いてある本です。
 あきらめなさいと教示があります。
 運転をやめてタクシーにしなさい。(これはわたしの意見も入っています。)若い人を車でひいてはいけません。ましてや道路を逆走してなんて、ひかれたほうは泣くに泣けません。

 作者自身の体力がこれほど落ちているとは知りませんでした。
 40年から50年前、福岡県が舞台の小説とか、モスクワなんとかとか、エッセイ、風に吹かれてだったか、たくさん読みました。当然、元気な人だった。
 今は下山のときとあります。間違っても、また登山しようと思ってはいけないのです。ひたひたと降りるだけでいいのです。

 少子化。そういえば、昭和30年代から、こどもはふたりが基準みたいになっていた。
 こどもをつくらない。結婚もしない。
 種の保存の本能がなくなったら、なにがどうなってしまうのだろう。
 残念な生き物という本に人間も滅びることはあるとあった。この場合、日本人という民族が滅びるのが先だろう。

 人生五十年の時代が確かに過去にありました。
 おじいちゃん長生きしてねというセリフを孫が口にしていました。
 今はそういう孫は少なくなった。

 いかに逝くか。宗教の力をお借りしなければなりません。

 労働力確保のために、働けるうちは働かねばなりません。

 途中まで読んで、タイトル「孤独のすすめ」は本書の内容を示していないのではという疑問にぶつかりました。病気予防に努めなさい。体が動くうちは短時間でもいいから働きなさい。善意に頼りすぎない。

 「嫌老感」あたりからの記述は、言いにくいことをはっきり書いてあります。
 現役世代の収入が、高齢者層の医療費や年金に吸い取られる。
 現役層は、車も買えない、子もつくれない、結婚すらできない。
 高齢者への風当たりは強い。「嫌老社会」という新語のような単語が置かれています。

 マスコミが世論を誘導するようなことは無理と断言してあります。
 大衆の群がる方向に記事の方向が決まっていくそうです。
 意外でした。

 国の借金(おそらく国民への借金。国債のこと)は、1000兆円を超えている。国民一人あたり800万円以上。なのに、好景気と浮かれている。(このへんの正確な判断と理解がわたしにはむずかしい)

 断捨離に対抗して「捨てなくていい」というメッセージがあります。回想の憑代(よりしろ:神霊がとりつく対象物)だからという理由だそうです。
 わたしは、捨てた方がいいと思います。理由を書くと怒られるので書きません。

 以前100年法という小説を読みました。100年以上生きるのは罪なのです。長生きが罪になるのはおかしい。だけど高齢化問題はそこまで深刻になってきている。

最後のほうのアイデア出しは、おまけ記事のようであり、あまりよくわかりませんでした。

 「無聊をかこつ:ぶりょう。することがなくて退屈な生活をなげく」、「アニミズム:すべてのものに例が宿っている」、「ルサンチマン:弱いものが強いものに対してうらみをもつ」、「盛者必衰:じょうしゃひっすい。栄えた者は必ず滅びる」

 今年読んで良かった1冊でした。

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