2023年01月05日

硝子の塔の殺人 知念実希人

硝子の塔の殺人(がらすのとうのさつじん) 知念実希人(ちねん・みきと) 実業之日本社

 34ページまで読みました。
 登場人物がたくさんです。
 長野県北アルプス南部蝶ヶ岳中腹に建つ『硝子の塔(がらすのとう)』で殺人事件があるそうです。蝶ヶ岳は実在します。
 硝子の塔:11階建て、地下1階あり。円錐(えんすい。とがった角みたい)の形をしている。11階に展望室がある。以下、壱の部屋から拾の部屋までが、各フロアーに順番にある。拾の(じゅうの)部屋は、2階にある。
 午後10時に、硝子の館(ガラスのやかた)の館長が重大な発表をすると告知して、関係者が硝子の塔に招待されたという設定です。

 一条遊馬(いちじょう・ゆうま):硝子の塔の館長である神津島太郎の専属医師。いきなり、一条遊馬が犯人だという記述から始まります。刑事コロンボ方式です。犯人ありきから推理が始まるのでしょう。(読み続けていたら、82ページに刑事コロンボのことが出てきました。偶然です。びっくりしました)
一条遊馬は、身長175cm。20代後半の年齢です。一条は家族の介護をしているそうです。車いすの少女の存在あり。(あとで、妹が、ALS(筋萎縮性側索硬化症。きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)を患っていることが(わずらっていることが)わかりました)

 神津島太郎(こうづしま・たろう):硝子の館の館長。70代の年齢。一条遊馬に命を狙われた。(一条は神津の主治医であり、なんだか変な設定です)重度のミステリフリーク(ミステリーに熱狂している人)。
神津島太郎は、薬がらみの製品『トライデント』を発明した。薬剤を適切な場所、量、作用時間で届けるドラッグデリバリーシステムが『トライデント』。遺伝子治療に使う(むずかしくてわたしには理解できません)トライデントのことで潮田製薬と新薬差し止め訴訟となっている。ALS(筋萎縮性側索硬化症。きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)の患者の治療がからむ。神津島太郎の父親はガラス職人。

 碧月夜(あおい・つきよ):女性。二十代なかば。公称(世間で通用している)『名探偵』だそうです。身長170cmちょい越えぐらい。薄いブラウン英国風スリーピーススーツ。ネクタイの男装。胸ポケットにハンカチ。ヒールの無い靴。ショートカットでメッシュの髪、細くて高い鼻、薄いくちびる、化粧っけなし。たれた二重の目。シャーロックホームズとか名探偵コナンみたいです。資産家の娘だった。こどものころ、いじめにあっていた。父親がミステリマニアだったので、父親の本を読んでいた。両親は殺されている。

 九流間行進(くるま・こうしん):73歳。小説家。ミステリー作家。一級建築士だった42歳のときに小説新人賞を受賞した。本人の作品中の名探偵が、戸塚開(とつか・かい)。
 (建築士という前歴から、この物語の硝子の塔の建築になにか関わりをもっているのかもしれません)

 加々見剛(かがみ・つよし):長野県警捜査一課刑事。喫煙者。

 巴円香(ともえ・まどか):硝子館のメイド。20代後半、童顔(どうがん)。

 老田真三(おいた・しんぞう):硝子館長神津島太郎の執事(しつじ。家事監督職)

 酒泉大樹(さかいずみ・だいき):茶髪の若者

 左京公介(さきょう・こうすけ):「月刊超ミステリ」の編集長

 夢読水晶(ゆめよむ・すいしょう):自称霊能者。『霊能探偵事件ファイル』というテレビ番組に出演している。

 不思議な事件を次々と解決している女医(天医会総合病院勤務)がいる。

 シニカル:冷笑的、皮肉っぽい。相手を傷つける言動。
 トライデント:先がみっつに分かれた矛(ほこ)。
 ギムレット:ジンベースのカクテル。ライムジュースを入れる。

 雰囲気として、娯楽小説です。

 来月第四週の週末に集まりがある。
 
 ナチスは、医学の発展に貢献した。(戦争で使用する薬物開発)

 医療推理小説という分野の作品です。

 ALS(筋萎縮性側索硬化症。きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)は、現実に起きた医師による嘱託殺人事件を思い出します。

 潮田製薬が、ALSの遺伝子治療薬をつくった。
 神津島太郎(こうづしま・たろう)が、潮田製薬の国への申請にストップをかけた。
 特許侵害があるそうです。申請について、承認差し止め訴訟となっている。
 神津島太郎は、憎まれる対象になりました。
 神津島太郎は、自分の利益のことしか考えない人間です。他人への思いやりはありません。
 一条遊馬は、神津島太郎を殺害することにした。

 読んでいて、なんというか、薬剤を扱う仕事は怖い仕事だという印象をもちました。
 薬物依存とか、薬物の転売で金もうけをしようとする怖い人間が、恐喝めいて、薬剤師に薬物を要求しそうです。現実にありそうな話です。

 作者は読者に、密室完全殺人犯罪の完成経過を紹介しています。
 ただ、それは、仕掛けでしょうから、これから複雑なミステリー話に発展するのでしょう。
 (読んでいて)ほら、ほころびが出ました。

 すべてが芝居だとしたらどうだろう。(先日読んだ伊坂幸太郎作品『ペッパーズ・ゴースト』を思い出します。

 ダイイングメッセージが『Y』
 (読み手である自分は『トライデント』が関係あるだろうとピンとくる)

(つづく)

 94ページまで読みました。
 この本は殺人事件を『一日目』『二日目』『三日目』と区切って進行していきます。
 最初は、一日ごとにだれかが殺されて、それぞれが解決されていく方式だろうかと予想しましたが違っていました。話は続いていきます。

 殺人の動機が判明しました。それなりの正義があります。

 読んでいて思ったことです。
 どうして、エレベーターがないのだろう。
 いくら建築主がミステリー好きだといっても、11階建ての建物にエレベーターがないのは理解できません。(現実的な話ではない。そう思ったら読書を中止する人がいるかもしれません)建築主はお金持ちです。エレベーターを設置できないことはありません。

 現地は長野県のアルプス山奥であり、雪景色になりました。

 推理小説通(マニア)が読む本です。古今東西の推理作品の名作のことが書いてあります。ちょっとわたしには、理解できない部分が多い。

 以下部屋番ごとの各自の部屋です。なにか秘密とヒントがあるにちがいない。
 1:神津島太郎  2:加々見剛  3:酒泉大樹  4:一条遊馬  5:碧月夜  6:巴円香
 7:夢読水晶  8:九流間行進  9:左京公介  10:老田真三

(つづく)

 第二の殺人が発生しました。
 また、ダイイングメッセージがあります。
 
 洋画『ゴースト(死にきれない夫の霊が現存する)』のシーンが出てきたと思ったら、悪夢でした。だれかさんがみた夢です。

 推理を楽しむ推理小説です。
 殺人事件が起きたというのに、みなさんは、ふだんどおり、朝ごはんを食べることができます。
 人が殺されていて、殺された遺体が、みんながいる同じ建物の中にあって、犯人が、自分たちの中にいるだろうという状態の中にあっても、平然と日常生活が送れる人たちです。
 登場人物のひとりが言います。『魅力的な事件が起こったので、……テンションが上がってしまって……(嬉しそうです)』

 学者というのは偏屈者です。(へんくつもの。ひねくれている。自分以外の人の言うことを信じようとしない。一点集中視点の行動で、自己中心的。思考や言動に偏りあり(かたよりあり))。「学者」という職だから食べていけるということはありそうです。業績は残せても人望はないというパターンがあります。本書では、登場する学者は、遺産を相続する身内もいない。(亡くなることで、恩恵がある方面はある)ゆえに、学者の死を悲しむ関係者がいないのか。

 なんだか、犯人は明らかに見えるのに、次はどうなるのか。(そして、第二の殺人事件が起きました。犯人像はわかりません)

 消去法で犯人を特定していく。
 だれだったら、殺害が可能だったか。

 最初は毒殺、次いで刺殺。
 最初は『Y』の字、次いで『蝶ヶ岳神隠し』ダイイングメッセージの意味はわかりません。(あとでわかりますが、13年前に起きた連続殺人事件だそうです。犯人は冬樹大介。現在も行方不明。雪崩で死んでるかも)長野県出身、高卒後東京の工場で働くも会社が倒産。その後、ペンションの経営者となる。
 
(つづく)
 
 雪の中の孤島状態にある硝子の塔に出入りした人間がいないという情報を読者であるわたしは信用しません。
 寒いとはいえ、ふたりの遺体が傷まないのか(いたまないのか。不信感あり)(331ページに、遺体が腐らないための手法が出てきました。遺体の保管場所にしている部屋は窓を開けて、氷点下の室温を保っているとあります。話は脱線するのですが、昨年から今年にかけて、自分は、複数の親族の葬儀等で複数の葬儀社を利用しているのですが、遺体の保存期間は、ドライアイスだと二泊三日か三泊四日ぐらいで、それ以上になると、遺体に処置をして、長期間もたせる。たしかそこの会社は「エバーキープ」という処置で、税込み15万円ぐらいでした)
 
 電話は通じない。スマホも通じない。
 車はパンクしている。(修理はできないのか)
 アテンザ:マツダの車種。
 
 フラグ:危険を避けるために自分の部屋にこもると言った人間が殺される。(これからが予想できる演出)

 ひとりめの殺人の犯人はわかるけれど、ふたりめの殺人の犯人はわからない。

 なぜ、20センチもあるような大きなネズミが酷寒の地にいるのか。

 『俺は刑事』(職業肩書きは、信用を判断する目安にはならない)

 ふたりが殺されて、犯人はふたり以上いるはずで、されど、ひとりの犯人がお互いに、ふたりともの犯人をひとりがやったことにするという設定が推理小説らしい。
 
 閂:かんぬき。
 エキセントリック:普通ではない。奇妙。
 扼殺(やくさつ):道具を使わずに手や腕を使って絞め殺す。絞殺(こうさつ)はひもやロープなどの道具を使用して絞め殺す。(今、同時進行で読んでいる本が『完全自殺マニュアル 鶴見済(つるみ・わたる)太田出版で、死に方の内容記述がかぶりました)
 
 殺された推理小説好きの硝子館の館長神津島(こうずしま)が発表したかったことがある。

 191ページで、テレビ番組『相棒』が目に浮かびました。杉下右京刑事の相棒です。(その後、192ページで「相棒」という言葉が出てきました。びっくりしました。読書の楽しみがあります)本書にもありますが、名探偵には相棒が必要なのです。
 
 納得する言葉の趣旨として『警察の捜査というものは基本的に……人海戦術なんだ(じんかいせんじゅつ。おおぜいの人間でやる。人が海の波のようになって押し寄せる)』
 
 モルグ街の殺人:史上初の推理小説。1841年発表。作者エドガー・アラン・ポー。

 3人目の犠牲者が出ました。
 登場人物10人中、3人が殺害されました。
 だれかを殺した人間が殺されているかもしれません。
 
 冬樹大介:蝶ヶ岳殺人事件の犯人。雪崩(なだれ)で遺体は見つからず(どうして見つからないのだろう。雪崩の雪は夏には溶ける)
 偽物らしきペンション経営者の冬樹大介は、年齢不詳で、ふちの太いメガネをかけていた。
 生き残っている7人のうちのだれかが冬樹大介で、だれかに変装、変身している可能性あり。性別は関係ないと読んでいる自分は思う。

 蝶ヶ岳殺人事件の被害者摩周真珠(ましゅう・しんじゅ)OLが行方不明。(生き残りの7人のうちにいるかもしれない。それとも犠牲者の中にいたのか)

 253ページから『三日目』がスタートです。
 エラリー・クイーンの「エジプト十字架の秘密」
 バーナビー・ロスの「Yの悲劇」
 1932年出版(昭和7年)ふたつの作品の著者の秘密が紹介されています。

 ホワイトブリム:メイドの頭飾り。
 スケープゴート:身代わり。いけにえ。
 
 中村青司(なかむら・せいじ):推理小説の中の登場人物。1939年5月5日生まれ(昭和14年)建築家。奇妙な館を複数建築する。そこで連続殺人が起こる。
 島田潔(しまだ・きよし):推理小説の主人公。
 
 遺体がごろごろ。
 人体実験。

 動機は『復讐』。テレビ番組『相棒』で、よくある動機です。

 殺人犯人の視点で物語が進行していくという珍しい形式に見えます。

 名探偵碧月夜の心の中で葛藤(かっとう。争い。迷い。不安。消化不能な思い)があります。
 
 天啓(てんけい):天からの啓示。神さまのお告げ。
 スタンガン:防犯グッズ。電撃銃。
 
 338ページの人の小さな絵のページは絵本のようです。

 343ページ『最終日』
 名探偵碧月夜の事件解決説明が始まりました。謎解き開始です。
 まだあと60ページぐらいはあります。
 349ページ。読みながら思う。人間はこんなふうにはしゃべらない。言葉が長い。
 
 『灰』か。なるほど。鋭い。

 密室へのこだわりがあります。

 368ページあたりからトリック(だますしかけ)が判明していきます。
 ほーっとうなります。なるほど。
 手品のようです。
 シンプル・イズ・ベスト(単純素朴(そぼく)が一番)
 381ページにサッカー・ワールドカップで話題になった言葉が出てきたのでびっくりしました。『ブラボーー』

 ブリム:帽子のひさし部分。

 読みながらふと思いついたのです。『硝子の塔』自体が殺人のための凶器なのではないか。硝子の塔の構造です。円錐形(えんすいけい)をしています。
 386ページ、そういうことか。
 おそろしい。人間殺人の実験場です。
 
 知っているから殺した。動機は復讐です。(ふくしゅう:しかえし。報復。かたきうち)

 ピンときた自分の推理があります。変な発想が脳内に浮かんできました。(しかし、もしかして、加害者だと断定をした人間が探偵やその周囲の人間とグルだとしたら、この小説は読者をまんまとだますことができる)あと残り100ページぐらい。さて、どうなる。(違っていました)

 なんとなく、真実の気配の雰囲気が伝わってきた403ページ付近です。(すごいなあ)
 
 モリアーティ:教授。アーサー・コナン・ドイルの推理小説「シャーロックホームズシリーズ」に登場する人物。悪役。

 作者はこのままでは終わらないつもりです。最後のページまでまだあと90ページも残っています。
 『なにか重要なことを見落としている』
 いいなあと思った文節です。『つぶやくことで思考をまとめつつ……』

 434ページ以降、種明かしの部分は自分が予想した内容になるだろう。(基本部分はあっていましたが、さらに展開がありました)

 メタミステリイ:高次の視点に立った見方をするミステリー(推理小説)
 小説の中の人間、先日読んだ伊坂幸太郎作品『ペッパーズ・ゴースト 朝日新聞出版』を思い出しました。小説の中に小説があって、その小説の中の登場人物が小説から現実社会に出てきます。
 こちらの硝子の塔の殺人では、小説の中に小説が存在するようにした殺人事件ミステリーが入っています。
 プロット:企画。企て。企画書。

 そういうことか。自分の予想の下地はあっていましたが、作品はその上をいっています。
 仕組まれている。
 弄ばれる:もてあそばれる。
 犯人になる動機をもつ人間を犯人とする。
 筋書はある人物の登場で筋書き通りにいかなくなる。怪物(モンスター)の登場です。
 先日読み終えた本の内容を思い出しました。『完全自殺マニュアル 鶴見済(つるみ・わたる) 太田出版』自殺するためのテキストですが、殺しの犯行でも使えてしまう。その本に書いてあったことがこちらの本にも書いてあります。
 人間は、やろうと思えば、何だってできるということか。
 おもしろかった。
 種明かしの内容は、ここには書けません。本を買って読んでください。
 こちらの本に書いてあったこととして、綾辻行人(あやつじゆきと):小説家。推理作家。「十角館の殺人(じゅっかくかんのさつじん)」
 477ページ、うむ。そういうことってあるだろうな。うむ。なんでもありだ。
 おもしろい。
 ライヘンバッハの滝:スイスにある落差250mの滝。コナンドイル作品でシャーロックホームズと宿敵悪役モリアーティ教授が落下した。
 膂力(りょりょく):腕力。
 終わりました。
 やっぱり自殺はしちゃだめです。

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