2025年03月08日

丘の上の本屋さん イタリア映画 2023年

丘の上の本屋さん イタリア映画 2023年(令和5年) 1時間24分 動画配信サービス

 古本屋、古書店です。本を仕入れて販売する場所です。

リベロ:店主。おじいさんです。(リベロは、イタリア語で、「自由」)

エシエン:アフリカ難民の少年です、わたしが見た限りでは14歳ぐらいに見えます。出身地であるブルキナファソは、以前、別の本で目にしたことがあります。そのときの読書メモです。

『みずをくむプリンセス スーザン・ヴァーデ・文 ピーター・H・レイノルズ・絵 さくまゆみこ・訳 さ・え・ら書房』
 アフリカで水道設備がないので、水がある場所まで水をくみにいく不便さを教えてくれる絵本です。ジョージ・バディエルさんという女性の体験がもとになってできたお話だそうです。ジョージ・バディエルさんは、現在は世界で活躍するファッションモデルですが、こどものころは、西アフリカのブルキナファソという国で、水くみの体験をしたことがあるそうです。
 ジョージ・バディエルさんは、水くみの作業がたいへんだったので、いまは、『井戸』をつくる運動をしているそうです。この絵本では、主人公がプリンセス・ジージーという女の子です。主人公のモデルになっているのが、ジョージ・バディエルさんなのでしょう。

 もう一冊あります。
『ミルクこぼしちゃだめよ スティーヴン・ディヴィーズ ほるぷ出版』
 カバーの絵を見ました。『ミルクこぼしちゃだめよ』の意味は、頭の上にのせたミルクの入ったうつわから、ミルクをこぼしてはいけないということがわかりました。アフリカの風景です。
 カバーの裏に書いてあった作者紹介記事を読みました。いいなあと思いました。作者はイギリス人です。2001年からアフリカのブルキナファソというところにある小さな村で奥さんとたくさんの動物たちと暮らしているそうです。あこがれのスローライフ(ゆったりした生活)です。
 この絵本の舞台は、ブルキナファソのお隣にあるニジェールという国のお話だそうです。絵を見ると田舎風景です。

 映画に戻ります。
ニコラ:男性。古本屋のお隣にあるレストランで給仕として働いている。
キアラ:ニコラが好きな女性。家政婦をしている。

 柔らかい陽ざしとBGM(バックグランドミュージック)にイタリア語の会話がのっかります。

 本を愛する店主です。
 店主は、現実の出来事の合間に、若い女性が書いた古い日記を少しずつ読み進めます。
 日付は、1957年(日本だと昭和32年)1月9日から始まりました。(最終的には、彼女は、夢と希望をもってイタリアをあとにします。行き先は、アメリカ合衆国です)

 店主のおじいさんは、古本を買うお金がないブルキナファソから来た少年に本を一冊ずつ、無料で貸し出します。みかえりは、読んだ感想をおじいさんに話すことです。
 本が、人と人をつなぎます。少年が必ず本を返してくれるという、『信頼関係』があります。
 『ミッキーマウス』、『ピノキオ』、『イソップがつくった話(肉をくわえた犬が、橋から水面を見たら、自分が写っているのを見て、その犬が口にくわえている肉がほしくて、ワンとほえたら、口から肉が川に落ちたという話)』、『星の王子さま』、『白鯨(はくげい)』、『シュバイツァー』、『ロビンソンクルーソー』、『ドン・キホーテ』、『世界人権宣言』など。

 映像が美しい。画面がきめ細かい。

 生き方を本に学びます。
 世の中には、人をだます人間がたくさんいる。だまされるな。そんなことを本から学ぶ。
 人あたりがいい人間ほど怪しい(あやしい)。笑顔で近づいて来る人間は要警戒です。下心があります。したごころ:悪だくみ
 世の中の、『現実』を教える映画です。味わう映画でもあります。
 
 舞台劇のようです。

 古書店経営者の高齢者男性からアフリカ人少年へのアドバイスです。
 『君には時間がたっぷりある』
 店主は亡くなってしまいました。老いた店主には、寿命という時間が長くはなかった
 少年にとって店主は大切な人でした。

 人を、『育てる』ことがテーマの映画です。
 店主の意思を少年に引き継いでもらいたい。じゅんぐりに人を育てていく。本を介して、人を育てていく。

 店主からのメッセージです。『君には、幸せになる権利がある』
 昨年のNHK朝ドラ、『虎に翼』を思い出します。
 『日本国憲法にある法の下(もと)の平等』です。
 日本国憲法第14条、『すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない』
 人はだれしも、幸せになる権利を有しているのです。この映画では、本が、そのことを教えてくれます。  

2025年03月07日

東京サラダボウル エピソード9最終回

NHKドラマ10 火曜日午後10時 東京サラダボウル 国際捜査事件簿 エピソード9最終回

俳優:奈緒(鴻田麻里こうだ・まり)、松田龍平(有木野了ありきの・りょう。アリキーノと呼ばれる)、中村蒼(なかむら・あおい。織田覚おだ・さとる)、武田玲奈(今井もみじ。ベトナム語通訳)、関口メンディー(黒須雄介。英語通訳)、 阿部進之介(八柳隆太やなぎ・りゅうた。警視庁捜査一課)、平原テツ(太良尾保たらお・たもつ。元暴力団担当の係長)、イモトアヤコ(清宮百合。シンハラ語通訳。通訳の総括)、皆川猿時(飯山修・総括係長)、阿川博也警部補(警部補は、巡査部長のひとつ上)

『エピソード9 Love and lettuce!(ラブ アンド レタス)』
 終わってしまいましたが、続編があるような布石(ふせき。将来に備えての準備)の置き方で終わりました。たぶんあるであろう次回作が楽しみです。
 ラストシーンの街歩きでは、頭からフード付きの白い服で体を隠した殺し屋が、鴻田麻里とアリキーノの後ろのほうを歩いていきました。
 別のこととして、人事異動で、皆川猿時さんが演じる飯山修総括係長と鴻田麻里が、新宿の所轄署から本庁(警視庁)の有木野了と同じ部署に異動しました。警視庁組織犯罪対策部国際犯罪対策課です。
 加えて、犯罪組織、『ボランティア』の手先だった阿川博也警部補の手紙(供述書扱い)が、警察幹部職員の手に渡り、対応は、同職員の責任においての預かりとなりました。

①秘密の映像が録画されたSDカードは、わたしが予想したとおり、ジッポーのライターの中に隠されていました。(予想が当たってうれしい。亡くなった織田覚(おださとる)がこの世に残した、『カケラ』です)

②真剣味に満ちたいいドラマでした。

③こぢんまりと、うまく、まとまっていました。

④外国人との共生(これまであまりふれられてこなかった部分に光をあてた内容でした)。あわせて、男性同性愛者(アリキーノいわく、「結婚という展望がない自分はどう生きていったらいいのかわからずに悩む」)に関する苦悩が表現されていました。

 奈緒さんは熱演でした。みなさんおつかれさまです。

 世間から無視されて生きている人たちの声があります。
 かわいそうだと片付けられてきた人間がたくさんいるそうです。
 それに対するアリキーノの答えは、『続けるだけ。(人身売買をする犯罪組織「ボランティア」のメンバーを逮捕する』です。

 ドラマに出てくる犯罪組織『ボランティア』の活動を観ていて、『ボランティア』の活動が、最近、現実社会で大きな事件となっている、ミャンマーでの大規模詐欺組織の活動と同じで、タイミングの良さに驚かされました。両組織において、人間の臓器売買もあるというところは共通点でした。たしか、そんなシーンがこちらのドラマにもあった記憶です。特殊詐欺の仕事で役に立たない人間は、臓器を売られるのです。オソロシイ。  

2025年03月06日

トイレ 立ってするか座ってするか

トイレ 立ってするか座ってするか

 先日雀友(じゃんゆう。マージャン友だち。じいさんたちです)とマージャン卓(たく)を囲んでいたら、家のトイレでおしっこをするときに、立ってするか座ってするかという話題になりました。

 4人のうち、立ってするのはひとりだけでした。あとの3人は座ってします。理由は、飛び散るおしっこで、トイレ付近を汚さないためです。
 おしっこを立ってする男子の理由は、『男の威厳を保つため(座ってするのは女がすること。女々しい(めめしい。差別言葉ですな。いくじなし)』だそうです。ばかだなあと思いましたが、口にはしませんでした。

 熊太郎じいさんは、もうずいぶん前から座っておしっこをしています。
 五十代になってから、それまでのストレス解消のための暴飲暴食で、体がぼろぼろになってしまいました。病気になって、入院体験も数回しました。いろいろ後悔しました。反省して、体をいたわるための無理をしない生活に切り替えました。

 座ってのおしっこは楽です。おしっこを立ってすると、おしっこがどこへ飛んでいくかわかりません。自分でコントロールできない年齢になりました。若い時は、あんなに元気よく、大量のおしっこがびゅーんと飛び出ていました。コントロールも良かった。ところが老いた今は、じわじわポトポトよろよろです。なかなか終わりません。

 雀友(じゃんゆう)たちとの話題は、そのあと、おしっこをちびる話に発展しましたが、ここに書くことはやめておきます。たぶん女子も同じようなものだと思います。なるべくまわりにいる人たちに、迷惑をかけないように老いていきたいものです。  

Posted by 熊太郎 at 07:56Comments(0)TrackBack(0)熊太郎の語り

2025年03月05日

いやよいやよも旅のうち 北大路公子

いやよいやよも旅のうち 北大路公子(きたおおじ・きみこ) 集英社文庫

 『わたしの、本のある日々 小林聡美(こばやし・さとみ) 毎日文庫』で紹介されていた本です。
 旅の本だと思って読み始めました。
 ところが、著者である北大路公子さんは、旅好きではないのです。
 旅はめんどくさいそうです。ご自身を、『留守番人』と称しておられます。自宅に居たい人です。
 まあ、旅行へ行けば、トラブルはつきものです。旅はめんどくさいものです。
 それでも行きたいのは、新しい世界の発見があるからです。知らないことを知る楽しみがあります。景色、食べ物、人、興味は尽きません。
 著者の場合は、雑誌の企画です。物書きは、文章を書いてお金をもらって生活していかねばなりません。2017年(平成29年)から2019年(令和元年)まで、『小説すばる』に連載されています。
 なんというか、旅行記というものは、行った本人は盛り上がりますが、ほかの人にとっては、よそ事です。なにか、ユニークさがないと読まれません。お役立ち情報がないと横を向かれます。

 本の内容を見てみると、熊太郎じいさんも行ったことがある場所です。
 札幌、富士急、盛岡、伊勢神宮、高松、こんぴらさん、那覇などの場所です。
 さて、読み始めます。

『北海道編 札幌・恵庭(えにわ)』
 埴輪(はにわ)の話です。埼玉県行田市(ぎょうだ市)に行った。古墳のまちだった。オリジナル埴輪をつくった。著者は北海道民です。そんなことがあれこれ書いてあります。

(札幌)
 う~む。旅の参考にはならないような内容です。
 そんな感想をもちながら読んでいたら、偶然がふたつ発生しました。びっくりしました。
 この本を読んでいたときの朝のネットニュースで、札幌市内にある私立の動物園が、管理内容がひどいので、市が閉園命令を出すというような記事が出ました。その動物園が、本の中に出てきたのでびっくりしました。本の記述にもありましたが、私設動物園は相当ひどい状態です。動物がひどいめにあっています。管理者は開き直っていて、どこが悪いという態度だそうです。そんな動物園があるのか。わたしが感ずる動物園は、世界で一番平和な場所、子ども連れで、安心して行ける場所というものですが、そうではないようです。びっくりしました。
 本では、動物園の入口にこう表示があるそうです。『当園は普通の動物園ではありません。危険です。ケガや物損は保障できません!全て自己責任です……』(おそろしいところです)

 もうひとつの偶然は、わたしは、電子書籍で週刊誌を読んでいるのですが、この本を途中まで読んだあと、電子書籍の週刊誌を見たら、こちらの著者さんの本の紹介記事が載っていて、びっくりしました。
 『キミコのよろよろ養生日記 北大路公子 集英社』です。偶然が重なりました。とにかく、びっくりしました。

 文章にはリズムがあります。読みやすい。文章に勢いもあります。
 されど、旅の役には立たない内容です。
 イヤイヤながらの旅行です。文章を書いて、オゼゼをもらうための旅行です。記事のネタのために体験にチャレンジします。もはや、余暇とか趣味ではなく、仕事ですな。

 北海道ですから、雪です。大雪です。
 それから温泉です。
 アルパカ飼育体験にも参加します。訪れた場所は、『えこりん村』というところだそうです。
 
 なんというか、全体的に、地味ですなあ。

『山梨編 富士急・青木ヶ原樹海』
 成田離婚:新婚旅行でケンカして、成田空港で離婚を決意すること。

 ジェットコースターを楽しみます。
 熊太郎じいさんは、『ドドンパ(現在は営業終了)』と『FUJIYAMA』は、同じジェットコースターだと思っていました。
 著者さんたちが行ったときは、『ドドンバ』がリニューアルのため工事中で、著者さんたちは、『FUJIYAMA』に乗ったそうです。
 66ページあたりに、じょうずに、乗車体験が記述してあります。スリリングです。(ヒヤヒヤする)。おもしろい。『FYJIYAMA』の乗車時間は、3分36秒だそうです。
 ジェットコースターは、最後尾が一番こわいという話は初めて聞きました。うちの小学生の孫たちは、一番前に乗りたがります。そして、何度も何度も乗ります。名古屋の東山動物園にあるジェットコースターです。そうか、一番後ろが一番こわいのか。ちびたちに教えてあげよう。
 
 青木ヶ原樹海で冒険コースです。プレミアムBコースというアクティビティ(活動)です。
 富士山もいつかは噴火します。いつ噴火するのか、『今でしょ』がおもしろかった。今、噴火してもおかしくはない時期なのです。
 洞窟見学があります。(熊太郎じいさんは、福岡県の平尾台というとこで、鍾乳洞(しょうにゅうどう)見学をしたことがあります。夏なのに寒かった。そんなことを思い出しました)。本の中では、『富士風穴(ふじふうけつ)』の見学です。
 なかなかおもしろい記述でした。

『岩手編 花巻・遠野・盛岡』
 座敷わらしの話が出ます。
 水谷豊さんの主演で、『HOME 愛しの座敷わらし』がありました。原作小説は、『愛しの座敷わらし(いとしの)上・下 荻原浩 朝日文庫』です。なかなかいいお話でした。
 
 読んでいて思うのは、旅というものは、若いうちにしておいたほうがいい。歳をとると、感性が枯れています。思考や感情に潤い(うるおい)がありません。現実主義になってしまうのです。

 本に書いてある、『カッパ』の部分を読んでいると、出川哲朗さんの充電バイクの旅で、たしかロケがあったと、そのときのシーンが思い出されるのです。東野・岡村の旅猿でもロケがあったかもしれません。ちょっと記憶がおぼろげです。

 尾崎放哉(おざき・ほうさい):俳人。1926年(大正15年)41歳没

 わんこそばの記事があります。熊太郎じいさんは、わんこそばは食べません。どうしてあんなにいそいで、そばを口の中に、ほおりこまなければならないのだろうか。そばは、ゆっくり味わって食べたい。

 この本は、日記形式のエッセイです。
 なんというか、記録をすることが好きな人は、こどものころから、コツコツと日記をつけています。生まれながらにコツコツ記録することが、苦にならないのです。
 おそらく、古代邪馬台国の時代からそういう人っていたのだと思います。だから、過去の歴史が未来においてもある程度わかるのでしょう。

『三重県 伊勢神宮』
 伊勢神宮あたりは何度か行ったことがあります。
 記事には伊勢市のそばにある鳥羽市(とば市)もあります。そちらも何度か訪れました。
 お伊勢参りです。休日はかなり混雑します。平日はそうでもなかった記憶ですが、今はどうかわかりません。
 著者は、札幌の人ですから、新千歳空港から中部セントレア空港へ飛行機移動をして、名古屋駅からJR電車利用です。
 最初に、『夫婦岩(めおといわ)』へ行かれています。その後、その日の宿泊地、鳥羽市へ移動されています。駅からホテルまで、ホテルが用意してくれたリムジンカーを利用されています。
 熊太郎じいさんはリムジンには乗ったことがないので、乗り方・座り方が本に書いてありおもしろいなあと思いました。中に段差があるので、まず座ってから段差を乗り越えないと、足が段差に当たってころんでしまうそうです。外から見るのと中のようすは違うようです。
 翌日が伊勢神宮参拝です。伊勢神宮の正式名称は、『神宮』です。
 外宮(げくう)と内宮(ないくう)が離れた場所にあります。まず、外宮をお参りしてから、内宮へ行くのが正式な順序です。外宮には大きな樹木がたくさんあって、神秘的です。落ち着いた雰囲気が広がっています。
 本には、著者が書いたイラストマンガがのっています。それほどおじょうずでもありませんが、雰囲気は伝わってきます。

 赤福餅(あかふくもち)の記述がおもしろかった。餅とあんこが逆ではないかと指摘されています。(なるほど、そのとおりです。もちのまわりにあんこがあります。赤福はそういうものだという思い込みが熊太郎じいさんにはあったので、逆じゃないかという発想が生まれてきませんでした)

 記事にはありませんでしたが、『伊勢うどん』という土地の名物もあります。お汁がなくて、黒いつゆを麺(めん)にからめて食べます。独特ですが、熊太郎じいさんは好きです。麺は太いです。

 お寺さんで、『写経(しゃきょう。お経を書く)』をされています。
 熊太郎じいさんは、その部分を読んだ時に、自分が京都の苔寺(こけでら。西芳寺(さいほうじ))で写経をしたときのことを思い出しました。感想メモが残っています。人間って、けっこういいかげんなのです。
 『般若心経(はんにゃしんぎょう)の写経をしていたとき、広間に100人ぐらいでしょうか、年配の人が多いのですが、あらかじめうすく書かれているお経(おきょう)を筆でなぞっていくのです。『左側から書けばいいよ(筆を持った右手に墨がつかないから。本来は漢字の縦書きなので右から左へ書く)』というささやき声が聞こえたり、『(見学時間がないから)書いてあとから送ればいい』とか、そんな声にそれはいけないと思うと首をかしげていたら、10人ぐらいが並んでいたわたしの列はわたしたち夫婦を残していつのまにか、だれもいなくなっていました。うーむ、自分で自分の快適な世界をつくるという技(わざ)もありだなとみなさんを責める気にはなれませんでした。(狭い場所だったので、自分が楽になったこともあります。ちなみにわたしも正座をすると足がしびれるのはわかっていたので、最初からあぐらをかいて書きました。)
 
 『名古屋めし』のことが書いてあります。ギョーザ、サラダ、ビールは、ちがうんじゃないかと思いました。熊太郎じいさんが思いつくのは、味噌カツ、手羽先、エビフライ、ひつまぶし、台湾ラーメン、味噌煮込みうどん、きしめん、てんむす、鉄板にのったスパゲティ(イタリアンとかミートとか)、モーニングセット、そんな感じです。

『香川県 高松・こんぴらさん』
 高松駅あたりとか、小豆島(しょうどしま)、金毘羅山(こんぴらさん)には、熊太郎じいさんも行きました。
 本では、いやいや旅をしているという記述が続きます。
 そんなに無理をしてまで旅をしなくてもいいのにと、疑問をもちました。(お金のための旅体験です。旅体験を文章にして出版社から原稿料をもらいます)
 新千歳空港から、高松空港まで飛ぶのです。著者はめんどくさがりやです。
 同行者は雑誌社の方のようです。
 彼女が言います。『大丈夫ですよ!「いやよ旅」ですから……』(へんなの)
 
 初めて見た、『瀬戸内海』の感想が書いてあります。熊太郎と同じ感想が書いてあります。静かなのです。海面はおだやかで、海とは思えないのです。湖のようです。

 水族館の紹介記事があります。
 そのあと、源平合戦の話があります。歴史が好きでないと楽しめないかも。
 以前、太川陽介さんとえびすよしかずさんの路線バス乗り継ぎの旅で、長野県にある川中島の合戦があったあたりを路線バスで通りかかったときに、えびすさんが、『(川中島の合戦って)源氏と平家だったよね(戦った両者は、武田信玄と上杉謙信です)』と言ったので笑ったことを思い出しました。

 延々と書いてある著者のつぶやきは、自問自答形式です。
 
 同著者で、この本を読む前に読んだ本があります。
 『ぐうたら旅日記 恐山・知床をゆく 北大路公子(きたおおじ・きみこ) PHP文芸文庫』
 そちらの旅日記は、なんの役にも立ちませんでした。エッセイというよりも、雑記(ざっき)でした。正式な原稿になる前の荒い文章のかたまりに感じました。
 されど、こちらの、『いやよいやよも旅のうち』は、けっこうおもしろい。
 こちらの本は、2020年(令和2年)の発行ですから、ちゃんとしたのでしょう。
 ぐうたら旅日記のほうは、2012年(平成24年)に単行本が発行されています。文庫本は、2016年(平成28年)に発行されています。
 
 やる気のない旅人である著者です。
 高松市内のタクシーの中で、北海道から来ていると言ったら、運転手が、自分がバイクで北海道を回った時の思い出話をします。ところが、著者は、北海道札幌居住者なのに、タクシー運転手が話す北海道内観光地へ行ったことがありません。たいていの人の人生って、そんなものなのかも。
 
 下ネタがおもしろい。
 四国高松ですから、讃岐うどん(さぬきうどん)の食堂を探します。
 『ぽんぽん』というお店を探しているはずが、スマホで、『ぽこぽこ』と検索してしまい、『ち〇ぽこ』が出てきてしまいます。
 文章にリズムがあって読みやすい。

 2019年(平成31年)3月に、すでに閉館したそうですが、『高松平家物語歴史館』での、蝋人形(ろうにんぎょう)見学レポートがあります。まるで、遊園地にある幽霊屋敷の中を歩いているようなレポートで、おそろしいものがありましたが、歴史話にからめた文章で、なかなかいい感じでした。秀逸な記述です。

 高松城跡の、『玉藻公園(たまもこうえん)』で、お城の内堀を周遊する、『城舟体験(じょうせんたいけん)』に参加します。わたしも訪問したことがある場所なので、そのときのことを思い出しながら文章を読みました。わたしが訪問したときは、城舟体験というものは見なかったのですが、じっさいに行ったことがある場所だと、文章を読んでいると、自分もそこにいるようで、なかなかいい感じでした。
 2013年(平成25年)から城舟体験が始まったそうです。わたしが、現地を訪れたのは、2008年(平成20年)でした。

 こんぴらさんに登ります。かなり高い山の上に社(やしろ)があります。わたしは、19歳のときに登りました。かすかに頂上風景が脳裏に残っています。たくさんの階段がありました。こちらの本には、『1368段』と書いてあります。
 
 260ページに、著者は、麻雀(マージャン)のルールを亡くなった父親に教えてもらったと書いてあります。
 わたしは、囲碁将棋を習っている孫たちには囲碁将棋では勝てないので、自分が若い時から楽しんでいるマージャンなら勝てるだろうと思い、小学生の孫たちにマージャンを教えています。じじばばと孫たち4人で卓を囲みます。

 二泊三日の讃岐旅が終わりました。

『沖縄編 那覇』
 わたしが沖縄に行ったときは、わたしはまだ二十歳すぎだったと思います。友人たちと行きました。
 当時の感想として、沖縄で暮らす現地の人たちは、心がとても優しいと思いました。
 泊まったホテルで、今はもう亡くなってしまいましたが、谷村新司さんを見ました。わたしがロビーのソファーセットに座って友だちが来るのを待っていたら、谷村新司さんが来て、お向かいのソファーセットに座られました。びっくりしました。そのあと、スタッフの人と打ち合わせをされていました。谷村新司さんはたいそう胸板の厚い、がっちりした体をされていました。あんな丈夫そうな人だったのに、まだ若いのに亡くなって残念です。

 さて、こちらの本を読みます。
 
 う~む。また、行きたくないから始まります。こんなに行きたくない沖縄ってある?! というのが項目です。(なら、やめればいいのに)

 ふと、自分が若い頃もっていた夢を思い出しました。
 定年退職をしたら、北海道で一時的に暮らしてみたい。
 秋から暮らし始めて、雪深い寒い冬を越して、春を迎える喜びを体全体で味わってみたい。
 そして、定年退職をしました。
 行きたくありません。寒いのはいやです。寒いのはだめです。
 著者の気持ちもそんな感じだろうか。
 (274ページに、「(沖縄に旅行へ行ったら)そのまま半年ぐらい沖縄に住んでみたいなあ……」と書いてあります)
 著者は、沖縄の海で、セパレートタイプの水着姿になるという企画にのれないという気持ちです。腹が出ているらしい。
 シュノーケリングもやるらしい。
 海中で熱帯魚に囲まれてエサやりをした影響もあって、船酔いでふらふらになって、あんまり楽しくない、もうやりたくないそうです。
 
 行きたくない沖縄の話が続きます。
 
 おきなわワールドというところへ行って、セグウェイ(電動立ち乗り二輪車。1台100万円ぐらいする)に乗って移動して、雨が降り始めました。
 
 なんだかさえない沖縄旅のリポートでした。何しに行ったのだろう。

『あとがき』
 富士急ハイランドで入らなかったお化け屋敷に入っておけばよかったというようなことが書いてあります。
 旅では、チャンスを見送ると、もう二度と人生で同じことを体験することができなくなったりもします。後悔するのがイヤなら、とりあえず、やっておいたほうがいい。  

Posted by 熊太郎 at 07:29Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2025年03月03日

Cloud(クラウド) 邦画 2024年

Cloud(クラウド) 邦画 2024年(令和6年) 2時間4分 動画配信サービス

監督:黒澤清
俳優:菅田将暉(すだ・まさき)、古川琴音(ふるかわ・ことね)、奥平大兼(おくだいら・だいけん)、岡山天音(おかやま・あまね)、松重豊、荒川良々(あらかわ・よしよし)、窪田正孝

 ネットのどこかのページで紹介文を読みました。
 わたしの好みの俳優さんたちが出ているので観てみることにしました。
 ただ、観る前の予想として、内容が難解ではないかという心配があります。
 人間の深層心理にあるものをえぐりだして、芸術的に人間がもつ、『悪』を表現する作品ではなかろうか。ゆえに、わかりにくちとか、残虐性がありそうです。(観終えて、まあ、そんな感じでした)
 観念的です。(頭の中で考える抽象的な理屈や形態)

 主人公が、転売ヤーという仕事をしています。転売ヤーとはなんぞやですが、映像を見ていると、原価40万円の品物を、9万円で仕入れて(まあ、倒産するような会社から仕入れて)、20万円の値付けをしてインターネット上で売る。21台売れて、仕入れとの差額11万円×21台=231万円が儲かる(もうかる)という仕組みの商売です。
 ただ、問題があるのは、不良品とか、偽物ブランド品を販売しているというところです。違法行為、不法行為(故意過失、損害発生、法令違反)があります。仕入れ先からも販売先からも恨まれます。(うらまれます)

 人から恨まれた(うらまれた)人間が、攻撃のターゲット(目標)にされます。攻撃するのは、今どきの闇サイトみたいな感じで、お互いに名前も知らない者同士が、ネット上で集まってターゲットの命を狙うのです。

 人間の復讐心を浮き彫りにする映画です。
 映画の特徴として、セリフというよりも、『言葉』の映画です。言葉がとても、『美しい』映画です。

 命を狙われることから、『スリラー(ヒヤヒヤする)』の面があります。
 狙われる理由も、転売被害だけではありません。ターゲットとなる相手からなにかしらさまざまな不快な言動をされた得体のしれない人たちが集まってきます。武器ももってきます。発砲もあります。リンチっぽくもなります。なんだか、ホラー(恐怖)映画の面もあります。

 演劇みたいです。舞台劇を観ているようでもあります。
 わたしは、映画監督になったつもりで観ています。このシーンをどんなふうにスクリーンに映そうという気持ちで見るので、残酷なシーンが出てきても怖くはありません。(こわくはありません)

 主人公のまわりにいる人間は、いろいろです。
 味方のようで実は敵だったり、敵のようで実は味方だったりします。映画は、人間と人間の、『信頼』をテーマにしています。人間関係においては、お互いを『信頼』する気持ちがだいじなのです。

 タイトルのCloud(クラウド。英語で「雲」)の意味とは:空の雲みたいに(おまえを)恨んでいる(うらんでいる)人たちが湧き(わき)上がってきている。

 人の死よりも、商品の管理状態とか、販売状況のほうが心配な主人公です。命より商売を優先する意識があります。(ちょっと理解できません)

 仕返しの映画です。なんというか、職場でパワハラ行為をやった上司は気をつけなさいよという警告映画のようでもあります。あなたに、迷惑をかけられた人たちが、集団になって(雲になって)あなたに仕返しをしに来たのです。人殺しをする映画です。
 厳しい声が飛びます。<謝れ(あやまれ)>
 言葉がナイフの切っ先(きっさき。とがった先)のように鋭い。<苦しみながら死ね!>
 
 まともな意識をもちながら観てみると、次のような言葉が頭に浮かびました。
 『法令は(法令に従っていれば)、自分の身を守るためにある』
 だれかが言っていました。この世で、とりかえしがつかないことは、自殺と殺人であると。
 生きている人間は、お迎えが来るまでは、生きていたほうがいいのです。無理に死んだり、殺したりは、しないほうがいい。

 うまい撮影です。銃弾が体に撃ち込まれたという手ごたえがあります。

 決め言葉です。
 『おまえは、今から地獄に堕ちろ(おちろ)』
 
 へんな感想ですが、地獄というところがあれば、そうでしょうが、地獄というところはありません。
 死んだら、『無』の状態になるだけです。この世のことは、この世で決着をつけるのです。  

2025年03月02日

バニラな毎日 NHK夜ドラ 21話から24話

バニラな毎日 NHK夜ドラ 21話から24話 月曜日~金曜日夜10時45分~11時 NHKとかNHK+とか

『21話』
 ????の回でした。疑問発生です。
 これまで:白井葵は、自分の洋菓子店をたたんで、大企業の商品開発部へ転職する。借りていた店は、次に借りた人がドーナツ店を開く。
 今回:大企業への転職は決定していない。採用のための面接はまだしていない。さらに終盤では、同じお店で洋菓子店を再開する。
 話の流れが、つながるようで、つながらないような……

 白井葵は、大企業の中で歯車の役割を果たすことができない性分です。しょうぶん:生まれつきの性質
 商品のアイデア出しだけの仕事はイヤなのです。
 洋菓子を自分でつくって、お客さまに提供したい。
 目の前の相手に喜んでもらうことが生きがいです。
 大企業の商品開発部は、洋菓子のつくりかたのマニュアルを現場に提供することが仕事です。
 洋菓子を買う人の顔は見えません。
 どちらかといえば、社員がお金を(給料を)もらうための仕事です。あわせて、会社の利潤の追求が大きな組織目標です。
 そういう形態の仕事は、白井葵がやりたい仕事ではないのです。
 『自分の店をもって、自分の店で、自分がつくった洋菓子をお客さまに手渡ししたい』
 はっきりした人=白井葵です。ステキです。
 『今回のお話は(就職の話)、お断りします』
 (まるで、結婚の申し込みを断るようでした)

 洋菓子店、『パティスリーベル・ブランシュ』の復活へ向けて、Go!(ゴー)です。

『22話』
 白井葵の心というか、能力とか、そういったものが、抜けています。しっかり者に見えるけれど、じっさいはそうではない。そういう性格だったのか。洋菓子づくりに関しては、全力集中ですが、契約ごとに関しては無知で、社会生活を送るうえでの考えが浅い。
 まあ、作者の立場に立てば、どうにでも話をもっていけるキャラクター設定です。おもしろい手法です。
 白井葵が、いったん手離すと決めた店舗です。次の借り手も決まっています。
 店舗の家主が、漫才師の海原はるか(うなばら・はるか)さんです。頭髪が薄いことを売りものにされているハゲ頭のお人です。最初はだれだろう?と家族と見ていましたが、やがて気づきました。おもしろい。
 次の借り手とは、契約書はかわしていないそうですが、わたしが思うに、口約束でも契約は成立します。それをこちらの都合でやめるのであれば、通常の紙で交わした契約なら、手付金の倍返しとかになると思うのですが、さあ、どうなのでしょう。わかりません。

 土居志央梨さんの再登場です。歓迎します。

 洋菓子店を黒字にするためにというプランです。
 週二日開店する。
 焼き菓子のオンライン販売をする。
 以前の店舗で出していた生菓子13種類を5種類に減らす。
 お菓子教室を実施する。

 創業理念は変えない。(根本的な考え方は、味へのこだわりです。おいしい味をつくる)
 
 おいしいお菓子には、魔法がある。
 五感が刺激されて、心があたたまる。
 『空間』の話が出ます。
 たまたまなのですが、今わたしが読んでいる本にある短編と同じ趣旨の話が出ました。
 『猫のお告げは樹の下で 青山美智子 宝島文庫』(いい本です。心が洗われます。お勧めします。神社にいる猫が、悩める人にメッセージを渡してくれるのです。葉っぱに、単語がひとつかかれているのが、メッセージです)
 短編の6本目のメッセージが、『スペース』です。
 幸せになるために、スペース(空間)をつくる。
 そんなお話です。

『23話』
 再開するお店の商品です。
フレジエ・ジャポネ(新作ケーキの名称。新作が誕生しました):イチゴのショートケーキから発想を発展させました。フランス版イチゴのショートケーキだそうです。フランス洋菓子クレームムースリーヌを変化させたものだそうです。

タルトレット・オ・フリュイ:フルーツタルト

タルトタタン:三角形に切ったケーキ

ミルフィーユ:生地を重ねてある。

オペラ:高級感のあるツルツル面をしたチョコレート菓子

 追加として、焼き菓子、イートンメス(メレンゲをテイクアウトで食べてもらう。クレープ的な感じで食べてもらう。
 それから、お菓子教室もやってます。
 まあ、人間関係はだいじです。

 自分に合った仕事を見つけて取り組む。
 自分がやりたいことを仕事にする。
 自分ができること(得意なこと)を仕事にする。
 このドラマは、『お仕事ドラマ』です。
 つくり手の気持ち(ケーキという作品)をお客さんに買っていただく。

 すごいなあ、蓮佛美沙子さん(れんぶつ・みさこさん)という女優さんを育てるドラマでもあります。

 音楽 jizue ジズーバンド 京都を拠点にするインストゥルメンタルバンド(歌がない。楽器だけ)

 主題歌:涙の正体 SUPER BEAVER スーパービーバー ロックバンド

『24話』
 しあわせ感満載で始まりましたが、最後は波乱でした。
 う~む。
 しあわせなまま、ドラマは、今回で終わったほうが良かったような……

 おいしい洋菓子をつくって、お客さまに喜んでもらう。お客さまに生まれる笑顔が、働く喜びです。

 佐渡谷真奈美さんがメンタルをやられた理由が披露されます。
 料理研究家として、好評を得ていたけれど、チョンボをやってしまった。
 多くの批判にさらされた。
 自分に落ち度があった。相手に迷惑をかけてしまった。気持ちが落ち込んだ。
 人生に失敗はつきものです。
 再起するためにはエネルギーがいりますが、再起できないことはない。

 話の展開はマンガ的です。
 最後のシーン、今回の映像では明らかではありませんが、たぶん交通事故でしょう。
 (交通事故が起きるような映像には見えませんでしたが……)

 来週放送されるであろう、秋山静(あきやま・しずか)と白井葵の恋愛話には興味が湧きません。
 わたしがおじいちゃんだからでしょう。
 なんというか、恋愛のあとにある結婚は、結婚してからがたいへんです。
 お互いに、こんなはずじゃなかったと思うのです。
 そこから、お互いにお互いを気づかって、がんばらねばなりません。
 試練、修練(しゅうれん)、修行(しゅぎょう)なのです。
 テレビで、『徹子の部屋』を観ていたら、先週は、高田純次さんが、妻との会話はない。そして翌日は、林真理子さんが、夫とはなるべく口をきかないようにしていると、お話しされていました。