2025年03月25日

猫のお告げは樹の下で 青山美智子

猫のお告げは樹の下で 青山美智子 宝島文庫

 神社に猫がいて、猫が人間にお告げをする。お告げを受けた人間は幸せになる。そんなお話でした。
 短編が7本あります。
 お告げは、『タラヨウ(モチノキ科の常緑高木。葉につまようじなどで傷を付けることで文字が書ける。)』という植物の葉っぱで行われます。この物語では、神社にいる猫が、爪で文字を書くのです。
 そんなわけで、短編1本ずつに、「(タラヨウの葉が)一枚目、二枚目……」と、順番が付けられています。

『一枚目 ニシムキ』
ミハル:主人公女性。21歳。美容院で、美容師をしている。佐久間に恋をしている。

佐久間:ミハルの美容院で働いている5歳年上の男性。26歳

時子:ミハルのおば(母の妹)45歳。離婚歴あり。2LDKの中古マンションを買った(これが、タイトルの「ニシムキ」につながります)

バリトンボイス(佐久間の声質):あたたかみと力強さをもつ声

 ミハルは、佐久間に、告白めいたことをするのですが、振られます。
 佐久間は、近々、結婚するのです。そして、佐久間は、別の支店へ異動してしまいました。
 ミハルは、失恋してしまいました。

(ミハル)『走ったら忘れる』(ミハルは、中学・高校と陸上部でした。ミハルは走ります)
 この部分を読んで、はたと立ち止まりました。
 この本の前に読み終えた本が、『我が家の問題 奥田英朗(おくだ・ひでお) 集英社文庫』でした。短編集で、最後の作品が、『妻とマラソン』でした。奥さんが、ストレスをかかえていたのですが、ストレス解消のために走り始めて、ご家族の励ましで、東京マラソンに参加されたのです。
 なんだか、前に読んだ本と話がつながって、楽しい気分になりました。

 ミハルは、走っている途中で、たまたまお告げをする猫がいる神社に入っていったのです。

 詩的な文章です。うまいなあ。

『二十一歳にして初めての、失恋。』(ミハルは、かなり落ち込んでいます。人は、良かれと思ってやったことが、相手にとっては迷惑だったことがわかるとしょんぼりします)

手水舎(ちょうずや):神社や寺院で、手や口を清める場所

 猫がいます。黒と白の模様です。全体的に黒い。
 ハチワレ:物語に出てくる猫は、額(ひたい)から鼻にかけて、八の字を描くように白い。瞳は透き(すき)通るような金色をしている。おなかと足が白い。左側のお尻に、白い星のマークがある。
 人間と意思疎通ができる猫です。猫は、爪で、タラヨウの葉っぱに字を書きます。その猫を、『ミクジ(おみくじからきているらしい由来の名前)』と呼ぶ。ミクジは、人間に、『お告げ(おつげ)』をする猫なのです。

 タイトルにある、『ニシムキ』の意味は、分譲マンションの部屋が西向きであることにやがてつながります。
 
クロノグラフの時計:ストップウオッチ機能を備えた高精度の腕時計

 『…… 誰かを好きになるって、その人が自分に混ざるってっことだもの』
 『まあ、失恋には時薬(ときぐすり)が必要だよ』(いいセリフです)

 つらい気持ちを、『お金に助けてもらう』
 (そのために、コツコツ節約してお金を貯めておく)

 以前、東京のホテルの部屋で見た、夕映えを思い出しました。
 西向きの部屋は、夏は暑くて苦手ですが、ほかの季節ならだいじょうぶです。


『二枚目 チケット』
 なかなか良かった。良質です。ドラマ化されるといいのに。
 今回は、父と娘(中学二年生)のうまくいかない話を、猫のお告げが幸せに導いてくれるのです。

 父40歳はクサイというところから始まります。(父の思い違いで、父親自体がクサイのではなくて、父の食べる納豆キムチがクサイのでした)。
 父親の名前を最後に出す手法が、斬新(ざんしん。めったにない)で、うまいなあと感心しました。
 父は、小さなガラスメーカーで営業をしている。父が、出張先にあった細い道をゆくと、神社の鳥居が見えて、お告げをする猫『ミクジ』に出会います。
 神社では、『(中2の娘である)さつきと、うまいこと、やれますように』と祈ります。
 タラヨウの葉っぱに、『チケット』の文字があります。(この文字は、父親だけにしか見えないそうです。奥さんには見えませんでした。おもしろい)

さつき:ひとり娘。中学2年生。父親を嫌う時期を迎えている。アイドルグループ、『キュービック』のたっちん(葛原達彦)のファン

妻美枝子:38歳。さつきの母

 タイトルのチケットは、CD購入とか、コンサートを観るための『チケット』です。
 チケットのゲットは、スマホじゃないと申し込めないのです。QRコードがいるのです。(わたしもよく利用しています。最初の頃は緊張しましたが、今は操作に慣れました。便利です)
 この家庭では、父親しかスマホをもっていないのです。母の携帯は、ガラケーです。
 まあ、猫のお告げのあといろいろあります。対立もありますが、心温まるシーンも多い。
 なかなかの良作です。娘のいる父親が読むとほろりとくる部分もあります。
 わたしにも娘がいます。ふり返って、けっこういろいろ反省しています。

 相手が若いからといって、嫌ってはいけない。中年男は、ついつい若者を下に見てしまいます。
 『誰に対しても彼は同じように人あたりよく接することができるんだろう……』と父親が、若い男子のいいところに気づきます。

 いいなと思ったフレーズです。
 『家族って、電車に乗り合わせたようなもんだ。最初は一緒に乗っていたって、いつか乗り継ぎの駅がきて、子どもは違う場所へといってしまう……』

 なんというか、お話の中で、父と娘が、『気持ち』でつながります。感動するシーンがあります。 かなり、練られている(ねられている)作品です。

 いい話でした。本当に、ドラマにでもなるといいのに。


『三枚目 ポイント』
 就職活動がうまくいかない大学生の話です。

竜三:25歳フリーター。バンドマン。アマチュアのロックバンドを組んでいる。ボーカル担当。作詞作曲をしている。ふだんは、CDショップの店員。三男だから、親に将来を期待されていなかった。

田島慎:S大学経済学部の大学生。就活生。主人公。竜三の店でバイトをしている。無気力人間、『僕は、「欲しいもの」が欲しい。』と書いてあります。夢も希望ももっていない男です。
 父親につぶしがきくからと勧められて経済学部に入った。
 なんでもだれかに決めてもらって、運ばれるように生きてきた。
 求職活動面接では不採用が続いている。
 自分の人生を自分ではなく、だれかが(父とか母とか)が決めている。就職先もだれかに決めてほしい。
 見た目はいいらしく、女が寄ってくるが、中身がないので、女は離れていく。『あたしたち、なんか合わないかも』と言われる。
 給料が良くて、楽で、休みが多くて、残業が少なくて、転勤がなくて、定年までいられる仕事に就きたい。(こういう動機の人は採用できません。こういう人がさきざき、会社や組織、人のお金を自分のポケットに入れます。まずは、世のため人のために働くという強い意思をもつことが重要です)
 そんな彼が、お告げ猫、『ミクジ』に出会います。ミクジは、神社にあるタラヨウの木のまわりをグルグル回って、彼に、『ポイント』と書かれた葉っぱをプレゼントしたのです。

(つづく)

 最後まで読みました。なかなか良かった。

 ギターの話が出てきます。ギターの弾き方を知っている人が読んだら、より味わいが深まることでしょう。コードとして、C、G、D7、B7が出てきます。コード:左手の指でギターの弦を押さえて和音(わおん。たいてい3つの音)を出す。

 タイトルにある、『ポイント』は、『ポイントカードのポイント』、そして、『位置のポイント』につながっていきます。

 田島慎の心の中にある、『対立』がじょうずに書いてあります。人がうらやましい。人がうらめしい。人が成功することがねたましい。田島慎の心の中に、『偽善(悪意がある善意)』が存在します。田島慎の心は汚れて(よごれて)います。
 田島慎は、就職活動がうまくいきません。対して竜三は、音楽バンドがデビューに向けて着々と話が進んでいます。
 田島慎は、竜三に怒り(いかり)をぶつけます。『あなたはいいな!(わたしはだめだ。くやしい)』

 竜三の田島慎に対する問いです。『大学って、どんなとこ?』(竜三は、家庭の事情で大学へ進学できなかった。家族ともめた。仲良しこよしの家族は少ない。家族なんてそんなもの。そんなこんなが書いてあります)

 いいなあ。NHKの夜ドラ(22時45分~23時)でやればいいのに。この本を読んでいたころは、『バニラな毎日』をやっていました。蓮佛美沙子さんと永作博美さんが出ていました。
 この本をこれまで読んできて、その時間帯の15分間連続ドラマ月曜から木曜で一話完結方式にのせるとちょうどいいのになあと思いました。

 ツイッターのリプとは:返事をする。答える。リプレイ

 わたしが思うに、人がこの世に生まれてくるときは、人それぞれに、この世での、『役割』を与えられて生まれてきていると思っています。
 その、『この世での自分の役割』を探すことが、各自の人生のありようだと思うのです。
 
 田島慎の行動があります。これまでの彼の人生は、ほぼ、両親が決めて来た。言われたとおりに生きてきた。親に世話をしてもらうことが当たり前だった。(それでいいのか。主体性がありません)
 田島慎は、わからないことがあるとすぐに対応のしかたをスマホに聞いていた。
 スマホに聞くのではなくて、自分で考える。スマホに聞き続けていると、最後に、『闇バイト』にあたる。人生がだいなしになる。
 結論(答え)よりも経過の中に人生がある。

 TAB譜(ふ):たぶふ。タブラチュアふ。弦楽器の譜面(ふめん)

 終活において、マニュアルを見ながらのエントリーシート記入をやめる。
 自分の現在地を見つけて、自分はどうしたらいいのかを自分で考えて、決断して、実行する。
 
 『ありがとう』という気持ちを忘れない。
 
 田島慎について、32社目の就職採用面接が始まりました。

 いい話でした。


『四枚目 タネマキ』
主人公 木下哲(きのした・てつ):68歳。やっかい者のジジイ。老いぼれ(おいぼれ)。息子の嫁と孫と三世代同居をしている。
 3年前まで、プラモデル屋をしていた。『木下プラモデル』。今は年金生活者
 『神』なんていないと思っている。いても、ワシを見てくれてはいないと思っている。
 元気で、ぽっくり死が希望です。

木下繁子:木下哲の妻。3年前に離婚届を置いて家を出ていなくなった。
 看護師をしていた。無口だった。こどもを保育園に預けながら看護師として働いていた。

木下夫婦の息子 木下弘人(きのした・ひろと):大阪へ転勤。単身赴任をしている。

息子の嫁 木下君枝:義父木下哲と同居。30歳そこそこ。こどもがいる。ざっくばらんな人柄
 義父にもずけずけと言いたいことを言う。
 こどもを保育園に預けて、近所の雑貨屋で働いている。
 旧姓、『水沢』。両親と兄夫婦がいる。

木下哲の孫 未央(みお):2歳児。木下君枝が母親

曽根:ご近所さん。骨折で入院中

杉田のばあさん:息子三人は独立した。木下哲宅のお隣さん

ヨシ坊(現在の宮司(ぐうじ)宮司の前は、中華料理屋をしていた)←喜助(昔の宮司。木下哲の三つ年上の幼なじみ。ヨシ坊は喜助のひとり息子。喜助は三年前に他界した)

 猫からのお告げのシーンがワンパターンですが、それはそれでいい。
 『かつてワシのすぐそばにいつもあった、あの白い星のマーク……』(なんのことだろう。伏線です。プラモデルと関係あるのか)

 お告げとなる葉っぱの文字は、『タネマキ』です。

(つづく)
 
 読み終えて、こちらもまたいい話でした。
 今年読んで良かった一冊になりました。

 店をたたんだプラモデル店での出来事昔話、離婚届を置いて出て行った看護師を定年退職した奥さんの話、いつも仕事のことばかりを優先して、妻子に冷たかったご主人の話、いずれもありがちな、昭和時代の男の話です。
 ご主人は、こどもです。自分の好きなことはやって、そうでないことはやらずに来ました。その結果、人が離れていきました。
 やりたくないことでも、やるべきことは、がまんしてやるのが、おとなです。ご主人はこどもでした。

 されど、捨てる神があれば、拾う神ありです。いい話でした。胸にじ~んと広がる幸福感があって、お話は終了しました。泣けてくるようないい話です。

まちコン:男女の出会いの機会をつくるイベント。街ぐるみで開催される合同コンパ


『五枚目 マンナカ』
 小学4年生の転校生男児が学校でいじめられています。かわいそうな話です。
 暗い雰囲気で始まりましたが、この短編集では、最後は、幸せな状態になりますから、安心して読めます。健全なお話集です。

深見和也:転校生。4年3組しゃべらない根暗なやつ。コケ(苔)が好き。父親の会社がだめになって、転校してきた。一戸建ての家から、アパートになった。父親はガラス工場の工員、母親はスーパでレジ打ちをしている。ひとりっこ。

岡崎:いじめっこ。柔道を習っている。体が大きい。とりまきがいる。学級委員長。優等生を装っている(よそおっている)。

楠田:学級副委員長

日下部(くさかべ):クラスメート男子

手塚:深見和也の隣の席に座っている男子

牧村由紀先生:4年3組深谷和也のいるクラスの担任。児童40人のクラス。新卒後3年目の女教師。頼りない。クラスで起きているいじめを認識していない。逆に、いじめっ子といじめられている子がいるのに、ふたりが仲良くしていると勘違いしている。先生として、あてにならない。頼れない。

山根正先生:4年2組の担任。牧村由紀先生と同じぐらいの年齢。男性だけど、ひょろひょろで色白、朝礼のときに倒れた。いつもおどおどしていて、ガリガリの体をしている。

姫野さゆり:小学校養護の先生。パワフルな体格。児童からはきらわれている。太っている。チリチリの髪の毛、腕も足も太い。

 『ぼくにとって最高に美しいものが誰かにとっては気味の悪いもので(苔(こけ)のこと)……』から始まりました。

 まあ、今どきの小学生は、プレステ(ソニーのゲーム機)とかウィー(任天堂のゲーム機)とか、ゲーム遊びばっかりですな。外で体を動かす遊びもしましょう。

 深見和也は、悩んでいます。でも、相談相手はいません。
 今は幸せじゃないけれど、神社で、猫の『ミクジ』に会うと幸せになれるよ!(わたしの声です)

 深見和也は、おとなしいいい子だけれど、もっと正直に、イヤなことはイヤと言ったほうがいい。がまんしないほうがいい。

 いじめがない学校なんてないんじゃないかな。社会に出てからだっていじめはあります。負けちゃだめです。

 深見和也は学校だけでなく、学習塾でも、いじめっ子の岡崎に出会ってしまいます。
 最悪ですな。

 神社です。
 『学校に行くのが、つらくなくなりますように』
 人は、自力で、願いを達成できそうもないときになると、神さまや仏さまを頼ります。
 深見和也が、クラスメートを自宅に呼んで、家にあった、『エゾスナゴケ』、『ナミガタタチゴケ』をかわいいだろと言ったら、気持ち悪い奴(やつ)という反応があった。
神社に行ったら、『ホンモンジゴケ』があった。
『……学校に行くのが、つらいんだ』
 
 猫のミクジが出てきました。
 葉っぱにかかれたメッセージは、『マンナカ』です。
 はて? どういう意味だろう。どういうことだろう。

(つづく)

 合唱コンクールの指揮者とピアノ演奏者を決める。
 指揮者:岡崎(学級委員長)
 ピアノ演奏者:もめる。松坂(腱鞘炎でできませんとの申立てあり)、遠藤(やりたくないと言ったのに、岡崎の誘導でなんとなく遠藤に決まる。担任牧村由紀も岡崎の後押しをした。無理やりです。形だけ整えばそれでいいといういいかげんな仕事です。無伴奏で歌えばいいだけのことです)

 養護の先生姫野さゆりが、深見和也に言います。
 『(君の居場所があるよという意味で。保健室に)机と椅子があるよ』

 親は無力です。とくに父親が無力です。こどもを怒るだけです。
 教師は悪の味方です。こういう教師の人っています。地元の有力者や権力者のほうに顔が向いているのです。彼らの関係者がいじめっ子ということもあります。
 
 つらく当たる人もいれば、優しく包んでくれる人もいます。それが、人間界です。

 『マンナカ』は、中心という意味以外にも意味がある。『中立(ちゅうりつ。どちらにも属しない』。物語では、さらに解釈が発展していきます。まんなかとか、はしっこというのは、人間が勝手に判断しているだけだと。自分で自分が自分としてまんなかにいると思えば、自分はまんなかにいるのだと。(なるほど。ステキな解釈です)

 なんというか、相手のことが怖い(こわい)と思っていても、いざ対決してみたら、自分のほうが強かったということはあります。
 わたしは、小学二年生のときに、いつもわたしをいじめてくる男の子ふたりと女の子ひとりと、体育のすもうの授業でそれぞれと戦って、三人とも土俵の外へ投げとばしてやったことがあります。なんだ、弱いじゃんか。お~れは、あんがい強いじゃんか。自信がつきました。


『六枚目 スペース』
芝浦千咲(ちさき):悠(ゆう。5歳)の母親。35歳。日に当たっての頬骨付近の小さなシミ複数が気になる年齢。外出時は、サングラスに長そでシャツで完全防備。
 十代のころから漫画家志望だったが、あきらめた。
 幼稚園の広報班で、『ひまわりだより』をつくっている。マンガ絵がじょうずなことに周囲が気づいた。

孝:千咲の夫

里帆(りほ):きららの母親。25歳。半そでTシャツに、クロップドパンツ(クロップドは、切り取られた。袖丈(そでたけ)が短い。6分から8分のパンツ)

添島(そえじま):幼稚園における広報班の班長
『ひまわりだより』を班員たちとつくっている。こどもの名前は、瑠々(るる)

輝也パパ:『ひまわり』のコラムを書く人。拓海くん(5歳)の父親。主夫をしている。妻が働き手の大黒柱。(輝也パパは、実は、トリックアートのアーティスト)。
 すっきりとして感じがいい男性。保護者ママたちに人気がある。女ばかりの集団の中で、男の華となっている。
 妻は広告代理店で働くキャリアウーマン。スーツとバーキンのバッグ姿。バーキン:エルメスが発表した高級ブランドバッグ

露吹ひかる(つゆぶき・ひかる):漫画家。アシスタントを募集している。53歳女性。ヒューマニズム系の漫画を描く人

ネーム:漫画をおおまかに表したもの。
漫画を描く時の道具:ケント紙、インク、ホワイト、スクリーントーン(半透明の粘着性のあるシート)、ペン先、ペン軸

女性の厄年(やくどし):33歳、37歳が本厄。その前後が、前厄と後厄、三十代はほとんどが厄年

 『ちゃんと夢をあきらめますように(漫画家になりたい夢です)』

 猫からのメッセージが、『スペース』です。範囲とか、領域とか、場所、区域だろうか……

 コンビニの雑誌購入から、『断捨離』へ。
 2LDKの自宅マンションです。
 だんなの書斎はあるけれど、妻やこどもの部屋がありません。
 ついでに、だんなの妻に対する興味もありません。

 『ぽかーんとする』、『神様が入るスペースを作るんです』(なるほど)
 神様は、自分の外にいるのではなく、自分の心の中にいるのです。ときおり、神様が自分にメッセージをくれるのです。

 柴崎千咲は、もんもんと悩みます。漫画家になりたい夢にきっぱりと別れを告げたいけれど、それができない35歳です。

 新しいものを入れるためには、まず、今あるものを外に出さねばならぬ。出せば、新しいものが入る、『スペース』ができる。(なるほど)

 読み終えて、ほろりとくるいい話でした。なかなかいい。光っています。


『七枚目 タマタマ』
 最後のお話になりました。

 占い師の彗星ジュリア(すいせいジュリア。ジュリアは、チェッカーズの歌からきている。『ジュリアに傷心(ハートブレイク))。派手なかっこうをしてテレビに出ている。メイクを落とすと、ジュリアだとは、わからない。
 本当の名前は、『笑子(えみこ)』で、同級生からは、『ニコ』と呼ばれている。45歳。バツイチ。ひとり暮らし。居住地は東京。25歳で結婚して、36歳で離婚した。こどもはできなかった。

ともちゃん:彗星ジュリアの高校の同級生(岐阜県)。友谷茂(ともや・しげる)。税理士。自分の税理士事務所をもっている。
 仕事以外のときは、リーゼントでかっこをつけている。
 居住地は、東京。名古屋の大学を卒業した。眼光鋭い奥二重の目、キリッとした太い眉(まゆ)、鼻筋が通っている。美形だが、ヤバい人に見える。ただ、見た目と中身は違う。優しい人である。高校野球の球児だった。

 以上のふたりは、偶然東京で1年前に再会した。

清水:彗星ジュリアが出版した本の出版社で編集を担当している。トークイベント担当でもある。

玉木たまき:83歳。高級老人ホームの入居者。息子が東京に、娘が海外にいる。5年前にホームに入った。

中川:老人ホームの施設長。ショートカットの小柄な女性

 占いの実態として、『自分はうまくいっていない』というお客さんが多い。話を聞くと、そうではなくて、『うまくいかないと(自分で)思っている人』が多いのが実態である。

スガキヤのクリームぜんざい:名古屋の人だとわかります。地元のラーメン屋です。こどもさんから高校生向け、家族連れ向けです。うちの孫たちも大好きで、たまにいっしょにお店でラーメンやチャーハンを食べます。まだ、小学校低学年の孫はいつも、ちいさい体のくせに、『チャーハン大盛り!』と注文します。

 神社のネコからのお告げは、『タマタマ』です。
 
ワンオラクル:タロットカード占いの用語。シャフルしてカードを1枚引く。カードのメッセージが書かれている。

 玉木たまきは、大切な小箱の鍵をなくして困っている。(小箱は、父のフランスみやげ。たまきが7歳のときに父からもらった)
 玉木たまきは、その小箱の鍵がどこにあるか、彗星ジュニアに占ってほしい。
 さて、どうなる。

 それからなんだかんだあります。

ラベリング:この人は、〇〇な人と、決めつける。評価する。あるいは、自分は、役に立たないと自分で自分を評価する。
ホロスコープ:天体図

 オチです。(話の締め(しめ))
 そうか…… すごいなあ。そういうことか。(ここには書きません。本を買って読んでください)
 人が生きるヒントがあります。ヒント:手がかり

 人の縁(えん)のことが書いてあります。
 出会いです。つながりです。

 なかなか良かった。


『ここだけの話』
 巻末に、この文章が加えられています。
 掲載されている短編に出ていた人たちのその後のことが書いてあります。
 それから、猫のことが書いてあります。

 単行本は、2018年(平成30年)に発行されています。
 文庫本は、2020年(令和2年)に発行されて、2024年で14刷発行されています。
 よく売れている本です。
 いい本でした。  

Posted by 熊太郎 at 07:23Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2025年03月24日

日本銀行本店を見学に行く。

日本銀行本店を見学に行く。

 この記事は、すでに先日、カテゴリ、『株式投資』に掲載しましたが、カテゴリ、『東京』にも掲載したいので、同じ内容でカテゴリ、『東京』に掲載します。

(次の記述は、2024年12月中旬に書きました)
 定期預金の利息が低いことに嫌気がさして、3年半ぐらい前から株式投資を始めました。当時の日経平均株価(日本経済新聞社が算出・公表している日本の株式市場の代表的な株価指数のひとつ)は、2万6000円~2万8000円ぐらいでした。その後、4万円を超えたときはびっくりしました。
 株取引を始めた時期が良かったのでしょう。幸いに(さいわいに)、今のところ損失はありません。
 株式投資の参考にしようと思って、これまでに、東京証券取引所と日本銀行貨幣博物館を見学しました。
 去年の今頃、日本銀行本店を見学できることを知り、見学に行ってみようと思い立ちましたが、都合がつかなくて先延ばしにしていました。
 自分の感覚だと、1月~3月は見学予約がとりやすそうだけれど、4月以降になるとなかなか予約が取れないような雰囲気を感じました。
 今回ネットで、日銀本店見学予約のページを開いたら、3月に予約できる日が数日あったので、夫婦で見学ということで、2名で予約を入れて予約がとれました。来年の楽しみのひとつになりました。
 見学時間は1時間ぐらいで、20名のかたまりです。職員の引率による説明とビデオでの説明があります。

(その後:2025年3月のとある日に日銀本店を見学してきました)
 20人ぐらい、申し込みをされた一般の方たちといっしょに、職員の付き添い案内で回りました。参加者は、わたしたちのような年配の夫婦、お年寄り夫婦と息子さんとか娘さんとか、おだやかそうな人たちでした。
 次の建物写真は、見学場所である日銀本店内で展示してあった掲示物を撮影したものです。この建物の中を案内してもらいました。
 じっさいの日銀業務は、古い建物の向こう側に立っている白いビルディングの中でやられているそうです。
 見学は、古い建物内の周遊で、2階を見て、1階を見て、地下フロアーを見ました。(説明はありませんでしたが、3階部分があるようです)



 門を入って、中庭になっている空間で撮った写真です。屋根の上は、ドーム型になっていました。



 2階は、会議室などになっていました。2階は、撮影はだめよの区域でした。
 役付きの人たちが、円形にまあるくなって座って会議をするテーブルと椅子がセットしてありました。
 ドーム型の天井が東京駅の天井(てんじょう)みたいできれいでした。
 2階通路となっている廊下の壁には、歴代総裁の肖像画が飾られていました。時代が新しくなってきて、肖像画は途中から上半身を写した写真に変わりました。
 2階の廊下や部屋などの照明が暗いなあと感じましたが、明治時代とか大正時代ぐらい、昔の照明はあれぐらいだったのでしょう。まあ、今の日本の照明が明るすぎるということも感覚が違う理由としてあるのでしょう。(2階の照明は電球を使用してあるような電灯色でした。1階の照明はたぶんLED(発光ダイオード)の白い色でした)

 以下の写真は1階部分です。まんなかの広い空間が、銀行でお客さんたちが動いたり、椅子に座る待合場所にしていたりしたスペースだそうです。
 突き当りにある茶色のしきりの部分が、接客用のカウンターで、カウンターの向こう側に銀行員がいたそうです。



















 地下フロアーに大きくてがっちりした金庫のパネル写真とか、現金を積んだ小型トロッコが部屋をぐるりととりまく廊下部分を周回するように走っていた線路跡などがありました。
 立派な建物の基礎部分(地面の下)が、透けて(すけて)見えるようにしてありました。建物を支える基礎部分はかなり深くて、地震の揺れる動きに合わせて建物全体が揺れるという耐震化もなされていました。
 なんというか、明治時代、大正時代、昭和初期の時代の人たちの知恵とか職人技(しょくにんわざ)の能力の高さが伝わってくる建物でした。たいしたものです。関東大震災とか、第二次世界大戦のときの空襲などの災害・戦災を乗り越えてきています。

 わたしのブログの契約上のことですが、ブログに掲載できる記事や写真の容量があまりないので、地下部分の写真の掲載はやめておきます。  

Posted by 熊太郎 at 19:17Comments(0)TrackBack(0)東京

2025年03月24日

我が家の問題 奥田英朗

我が家の問題 奥田英朗(おくだ・ひでお) 集英社文庫

 昨年のいつだったかに読んだ、子どもさん向けの両親の離婚話に対応する本で少し紹介されていたこちらの本だと思います。
 とある女子高生は、自宅の加入電話で祖父母からの電話をとったときに、偶然、自分の両親に離婚話があるという情報を得てしまった。さてどうしようというような書き方が離婚関係の本にしてあった記憶です。

 こちらの本は、短編が6本あります。
 小説、『すばる』に2010年(平成22年)から翌年にかけて発表された作品群です。
 単行本は、2011年夏の発行で、文庫本は、2014年の発行で、2019年で、7刷されています。よく読まれている本です。


『甘い生活?』
 新婚夫婦がうまくいっていないお話です。

田中淳一 32歳 広告代理店勤務。18歳のときに上京した。結婚して2か月がたった。
田中昌美 30歳 田中淳一の妻。結婚して、大手ゼネコンを退職した。総務部勤務だった。夫の淳一は、共働きのつもりだったが、昌美はさっさと辞めてしまった。そういう会社の慣例らしい。寿退社(ことぶきたいしゃ)。昌美は、30歳になる前に結婚したかった。20代で結婚したかった。現在、専業主婦をしている。

 ひとり暮らしをしていると、早く結婚したいな~と思います。家に帰っても話し相手がいないとさびしいのです。
 でもじっさいに結婚すると、やっぱりひとりのときのほうが気楽で良かったな~と思います。ひとりのほうがさびしいけれど自由なのです。人間はいつも、ないものねだりです。

 淳一は、家に帰りたくない。帰りたくないから、残業と称して、同僚たちとマージャンをやる。ありがちなことです。
 
 夫婦というのは、こどもができると、こどもを介在して、生活を続けていけるということはあります。ふたりだけでというのは、けっこうきつい。

 お気楽な男たちの職場での会話があります。各自、奥さんのことを話します。
 
 田中昌美さんはまじめだし、田中さんのご親族もまじめです。田中昌美さんは、客観的に見て非の打ち所がないいい奥さんです。心も優しい。妻として何の落ち度もありません。
 だけど、田中淳一さんは、家に帰りたくないのです。奥さんのまじめなところがイヤで、家でふたりきりになると息が詰まりそうなのです。妻のがんばりが、夫にとっては負担なのです。
 ああ、家に帰りたくない人って、じっさい、昔職場にいたなあと思い出しました。『帰宅恐怖症』です。まあ、いろいろあります。

 田中雅美さんは、人生のスケジュールをもっているのです。
 何歳で妊娠して出産してから始まって、こどもの幼稚園はここにして、戸建ては、どこそこに建てて(世田谷区内。埼玉や千葉じゃだめなんだそうです)と、延々と安全で安定した人生を送るための計画ができあがっているのです。
 それが、夫にとっては苦痛です。

 文章表現がうまい。
 こちらの作家さんの作品にはハズレがありません。
 
 田中昌美さんの欠点みたいなところが出てきました。
 占い好きなのです。こういう人は、宗教に流れやすい。スピリチュアルです。ヤバイ。人を信じて人にだまされて不幸になるタイプです。

奥村敦子(おくむら・あつこ):田中淳一と同期の女性社員。田中淳一に、『ひとりになる時間をつくりなさい』とアドバイスします。

 続けて読んでいます。うまいなあ。文章が生きています。おもしろい!

 フィッツジェラルド:アメリカの小説家。1940年(昭和15年)44歳没。代表作『グレートギャツビー』(1925年の作品。日本では大正14年)

 いい文章が次々と出てきます。
 『……(昔は)見合い結婚が主流で、お互いをろくに知ることなく夫婦になったのだ……』
 『学歴は保険』
 『旦那の、家事を手伝ってやってるんだという態度が我慢ならなくて、半年で破局したそうです(離婚した)』
 マージャンプレイ中のようすがらみの文章がとてもおもしろい。(マージャンがわかる人なら理解できます)
 『……あんた冷血漢だね。爬虫類(はちゅうるい)でももう少しやさしいんじゃない』
 『じゃあ奥さんに従うのが一番でしょう(昔、太川陽介さんの路線バス乗り継ぎの旅で、ルートどりで太川さんが女性のゲストと対立したことがあります(結果として、女性のほうが正しかった)。そのときに、太川さんの相棒のえびすよしかずさんが、「女性の言うことはきいておいたほうがいいよ」とアドバイスしたことを思い出しました。仕事場でも、女性を敵に回したら仕事が前に進んでいかなくなるということはあります)』
 
 読んでいると、(相性とか価値観とか性格とかが不一致で)このふたりはいっしょになってはいけなかったのではなかろうかという気分になってきます。
 まだ妊娠もしていないのに、こどもが生まれる前からこどもの教育方法・手法で対立している不思議な夫婦です。
 なんというか、人生は、思っている通りにならないのが常(つね。普通)です。そこを気持ちに折り合いをつけてやっていくのが長い人生をのりきるコツです。

 スノビズム:見え張りの気取り屋

 田中淳一は、仕事が終わったあと、まっすぐ家には帰らずに、30分ぐらい同じ喫茶店で過ごして気分転換をはかるようになりました。それで、気持ちが落ち着くのです。奥さんには内緒です。(でも、ばれます。奥さんに怒られます)

 ふたりいれば、ふたつの考えがある。
 『理想』と、『現実』の間で、妥協(だきょう。互いに譲りあって、これならがまんできる)できるところを探す(さがす)。
 あきらめる(妥協する)ことで、こどもは、おとなになるという成長過程を通過するということはあります。
 
 このあとの短編も、読んで安心できる作品群となるでしょう。
 今年読んで良かった一冊になりそうです。

 お互いの本音をぶつけあう激しい夫婦ゲンカ(口論)が始まりました。
 お互いを理解するための猛烈な夫婦ゲンカです。
 そうやって、夫婦は、夫婦になっていくのです。
 人生の長い道のりを歩んでいくのです。理解したあとは、協力しあうのです。
 歳をとっても仲がいい夫婦というのはいます。お互いがお互いに気をつかっているから仲がいいのです。
 いいお話でした。


『ハズバンド(英語で、夫とか、旦那(だんな)という意味)』
 『どうやら夫は仕事ができないらしい』から始まります。(そういうことってあるだろうなあ)
 仕事場でいちばん嫌われる人は、仕事をしない人です。仕事をしない人の仕事は、別の人がすることになります。別の人の仕事量が増えますが、給料は増えません。だから、仕事では、自分に割り当てられた分の仕事は、なんとしても自分でやらねばなりません。分担作業です。やらなければ、人に嫌われます。いじめられることもあります。

井上めぐみ:妻。妊娠中。30歳目前に結婚した。2LDKの中古マンションを買って住んでいる。専業主婦。生まれてくるこどもの名前の候補のひとつが、『公平』。マタニティ教室に通っている。

井上秀一(いのうえ・しゅういち):夫。妻より2歳年上

井上秀一の義父:大手自動車メーカーを定年退職して、関連会社の総務部に再就職している。

山田:スーパーの配送サービス担当者(そういうサービスがあるのか。初めて知りました)。40歳ぐらいの男性

山下:井上夫婦宅の下のフロアーに住む人

 妻は夫をバリバリ働く優秀な社員だと思っていた。職場のソフトボール大会に行ったときに、夫は周囲からバカにされている社員だということがわかった。夫は職場のお荷物だった。
 夫は、家で上司の悪口を言っていたが、それは、夫が、仕事ができないから叱られてばかりいることが原因だった。
 これからこどもも生まれてくる。夫は仕事を続けられるのだろうかという不安が妻を襲います。

コーエン兄弟:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン。アメリカ合衆国の映画監督

 なかなかリアルです。
 『…… 家のローンを組むと、男っておとなしくなるのよ』
 『…… 男と会社の関係って、永遠の片思いなのよね』
 
 お荷物社員の種類が提示されています。
 マザコン社員:母親から欠勤の電話が入る。
 重役クン:上司をさしおいて、上座(かみざ)に座る。
 若手宇宙人:独身のお局様(おつぼねさま)に、『結婚しないんですか?』とみんなの前で聞く。
 不思議クン:職場に風水(ふうすい。占い(うらない))を持ち込む。
 イケメンくん:見た目だけ良い。中身はからっぽ。
 おもしろい。じっさいにそういう社員がいそうです。

 ご主人は、ちゃんと会社に行っているのだろうか。不安が募ります(つのります)。
 ご主人は、バッティングセンター通いを始めました。
 
 ご主人の会社で、人員削減の話が出ます。グループ全体で800人の削減です。ご主人も削減の対象になるのではないか。妻は不安です。夫に、あなたは、会社で役立たずだと思われているんじゃないの?と聞きたいけれど、聞けないもどかしさがあります。

 ご主人は、段取りをしない人間だそうです。(準備をしない)。『最初の一歩がとにかく遅い』という評価が、ご主人の妹からあります。
 
 奥さんは、同じお弁当をふたつつくります。ひとつは夫に持たせて、もうひとつは、ご自身のお昼ご飯にします。そうやって、お弁当の出来栄えをチェックします。いい奥さんです。心優しい。
 
 夫には昇進とか昇給の夢は望めないようです。

 それでも、奥さんが毎日つくるお弁当が、職場のOLさんたちに好評です。
 奥さんは、夫に期待するレベルを下げることにしました。なんとか、勤めてくれていればいい。
 ご主人のお弁当づくりをしながら、『自分の大好きな時間の中にいた』という感想をもたれます。


『絵里のエイプリル』
浜田絵里 高校三年生。私立の女子高生。ぽっちゃり女子
『どうやらうちの両親は離婚したがっているらしい。』から始まりました。
 高校生の娘は、両親が離婚するなら、こどもふたりの親権者は母で、父には家を出てって欲しいと思っている。家族は戸建てに住んでいるそうです。

母方の祖母:名古屋に住んでいる。浜田絵里を自分の娘だと勘違いして、孫の絵里に、両親の離婚話を電話で話してしまった。絵里は、両親に離婚話があることを知った。(されど、ふだんの生活でその気配は感じられなかった。父親とは長期間話らしい話をしていない。同居していても顔を合わせる時間帯がない。なお、父親は銀行員をしている)

浜田博:浜田絵里の父親。銀行員。休日は家にはいない。ゴルフ場にいる。浮気をするようなタイプではない。小太りでかっこ悪い50代である。家事はできない。

浜田修平:浜田家の長男。絵里の弟。高校一年生。バスケットボール部に入っている。おかあさん子。短足王子

母親:浮気をするようなタイプではない。毎日家にいて、お弁当をつくっている。専業主婦

以下、女子高生の友人たちで、仲良し4人組です。いつも4人でお弁当を食べています。
絵里(主人公):両親は、別々のベッドで寝ている。
奈緒:両親は和室でふたつのふとんに寝ている。
翔子:作家志望。両親はダブルベッドに寝ている。
朝美:家で、家族新聞が発行されている。両親は、ふたつのシングルベッドに寝ている。

内藤さんたち:母の属する婦人会のメンバー。活動として、バザーをしている。

小林:数学教師。むっつりスケベ

石川:物理教師。ひとつのベッドに夫婦で寝ている。

 最後の家族旅行は、愛知万博だった。(2005年(平成17年))絵里が中1で、修平が小5だった。5年前のことになる。(時代設定は、2010年(平成22年))

 「冷え切った夫婦」

 絵里の父親は、平日は、家で夕食を食べない。土日だけ家で食べる。平日は残業をしている。あるいは、居酒屋に寄るか、マージャンをしてから帰宅する。
 奈緒の父親は、会社から7時に帰宅して、毎日家で夕食を食べる。
 翔子の父親は、9時過ぎに帰宅して、ひとりで夕食を食べる。
 朝美の父親は、税理士としている。帰宅時間はバラバラ。週の半分ぐらいは自宅で夕食を食べる。

佐々木:クラスメート女子。美人。両親が離婚している。小2の時、おとうさんが家を出て行った。弟がいる。離婚原因は父親の浮気だった。
 1組の神田さんと2組の中川さんも親が離婚している。5組の安藤さん宅は、離婚はしていないがずっと別居している。(佐々木情報です。なんか、すごいなあ、女子高生の情報網って)
 
橋本:英語教師。30代前半。離婚している。母子家庭。(なんだか、すごいなあ、女子高生たちは、橋本先生に離婚に関するインタビューのようなことをしています。ほかの教師も離婚しているそうです)

 「今はがまんして、おとうさんの退職金が出るときを待つ」

 (読んでいて、うすうす感じるものがあります。これは、離婚話でない。絵里の誤解ではなかろうかと)(結果:違っていました。本気の離婚話でした)

佐藤雄一(さとう・ゆういち):東高校の生徒。親は医者だが、医者になる気はない。2歳下の弟浩二が医業を継ぐ予定。親は離婚している。弟は母親に引き取られた。自分は父親と暮らしている。父親は弟を引き取れば良かったと言っている。以前佐藤は絵里と付き合いがあった。その後、絵里は関係をうやむやにしている。絵里は佐藤を大好きというわけではない。

『…… 子供の人生が親のものじゃないのと同じで、親の人生も子供のものじゃないんだよな』

 こどもたちから、離婚してもいいよと言われたら、親はつらい……

 『きょうだいがいてよかった。』

 人生の正念場です。


『夫とUFO』
 『夫がUFOを見たと言い出した。』から始まります。UFO:空飛ぶ円盤

高木達夫:夫。42歳。課長職。不器用。一本気(いっぽんぎ。純粋でいちず)。正直。うそはつかない。浮気はしない。無骨(ぶこつ。洗練されていない)

高木美奈子:妻。40歳。専業主婦。ふたりは、16年前、26歳と24歳で付き合い始めて結婚した。

高木美咲:長女。私立女子中学1年生

高木大樹:小学5年生。サッカーが好き。

山下部長:創業者の甥(おい)

 夫は、仕事のストレスで心が壊れたのか…… 精神、メンタル病でしょう。
 
 交信周波数が合った人間には、UFOが見えるそうです。
 アダムスキー型:円盤の下部に、おわん型のでっぱりが3個ある未確認飛行物体(UFO)

 夫の言動がおかしい。
 住宅ローンがまだあと28年間残っている。下の子が大学を出るまであと11年ある。
 夫の頭の中がおかしい。さて、どうする。そんな話です。

 家族とか、親族とか、身内とか、タイヘンです。

 夫は元気です。でも、おかしいのです。頭の中が、おかしい。
 妄想があります。もうそう:誤った判断
 だけど、おもしろい! 真っ正直なご主人です。

 「家族にはマニュアルがない」

 プロパーの営業幹部:正社員

 ご主人は、職場でがんばって、がんばって、ついに、頭がおかしくなってしまった。

 奥さんが、ご主人の救出に向かいます。(いい奥さんです)

 なかなか良かった。奥さんの心もちがステキです。


『里帰り』
 盆正月の帰省、里帰りの話題です。結婚すると、とくに、ちびっこが生まれると、悩ましい義務的旅行になります。こどもが大きくなると、忙しく、里帰りも回数が減ります。
 夫の実家と妻の実家があります。最初は夫婦そろってですが、たいへんなので、そのうち、それぞれ自分の実家へこどもを連れて帰ることになるのが一般的だとわたしは思います。
 親世代が高齢化すると、そういった里帰りがらみの悩みは薄くなります。会いたい人は単独でも会いに来るし、そうでもない人はだんだん疎遠になります。
 ゆえに、人生においての一時的なお悩みだと、わたしはとらえています。

 短編では、結婚後、初めてお盆を迎える時期です。夫婦は東京住まいです。
 それぞれの実家へ帰ることになりますが、夫の実家は北海道、妻の実家は名古屋市です。
 作者は、岐阜県出身の方なので、名古屋市の記述はリアルです。身近に感じました。

岸本幸一:夫。30歳。会社員。忠犬IT企業技術職。実家は、北海道札幌市。妹が結婚している。妹の夫は公務員。妹夫婦には、生後6ヶ月の男児勇樹がいる。
 祖母は、幸一が知らない間に認知症で老人ホームに入所していた。遠いから死んでも葬儀には来なくていいと言われる。親族には、幸一が知らない間に離婚した女性もいれば、出産した女性もいる。

岸本紗代:妻。29歳。大手デパートを結婚退職後、専業主婦。実家は、愛知県名古屋市

 8月15日に北海道へ行き夫の実家で2泊して、新千歳空港から飛行機で、愛知県にある中部国際空港へ移動して、名古屋市内の妻の実家で2泊します。東京へ戻って、骨休めの休日が1日あります。なかなか強行軍です。(時間、体力、精神的に無理があるプラン)
 
ディーネセン:デンマークの小説家。女性。1962年(昭和37年)77歳没。SF小説、ホラー小説の源流となる小説を書いた。

 この短編群の特徴として、悩み事が発生した時に、当事者たちは、周囲の人たちに正直に状態を話して、情報を集めたり、アドバイスを受けたりします。なかなかこのパターンはありません。話が広がって、へんなふうになるのが、世間のありようですが、この小説の中では、うまく解決に導かれていきます。良心的な響きが感じられる短編群です。

 札幌では、親族が久しぶりに集まって昼食会です。全員の記念撮影もします。記念写真は残しておいたほうがいい。もう二度とそのメンバーで写真におさまることはないのが、世の常(つね。普通のこと)です。

 慶弔儀礼について考えました。
 コロナ禍があって、冠婚葬祭の儀式がさびしくなりました。家族葬とか、親族のみの結婚式などです。コロナ禍前は、冠婚葬祭の儀式が、親族をつなぎとめる役割を果たしていました。『家族』が、だんだん、『個(個人)』の世界へと移っています。

 たいへんな帰省旅行ですが、若い夫婦が、お互いに気をつかいあっています。ステキです。
 夫婦は、こうして、夫婦になるのです。
 
 身内の人たちがふたりに優しい。
 ほっとするものがあります。
 みんなそれぞれ苦労をかかえています。
 みんないい親戚です。
 両親の心もちもいい。
 お互いに、うちの息子をよろしく、うちの娘をよろしくと、ひそかに頭を下げてお願いされています。
 心を洗われました。


『妻とマラソン』
 『妻がランニングにはまった。』から始まります。

大塚康夫:夫。46歳。小説家。ベストセラー作品あり。自宅の書斎で、パソコンを使って創作をする。

大塚里美:妻。45歳。専業主婦。夫の小説による大きな印税収入を銀行員に勧められて投資信託に投資して手痛い含み損をつくってしまった。おろしたくてもおろせない状態になっている。そんな状況にあって、ランニングに目覚め、1日に1時間以上走る。

大塚恵介:ふたごの長男。中学三年生受験生。サッカー部員

大塚陽介:ふたごの次男。同じく受験生。サッカー部員

フレディ:大塚家の愛犬

 奥さんがランニングに出かけて、帰ってきません。交通事故を心配する3人家族です。(奥さんはただ、何時間も往復を繰りかえす緑道コースで、16kmを走っただけでした)

 奥さんの言葉です。
 『ただ、走りたいから走っている』
 
 ベストセラー作家の妻にもそれなりのストレスがあるそうです。
 ともだちがいない。高収入世帯・高額納税者世帯なので、同世代の女性が近づかない、遠慮する、住んでいる世界が違うという扱いをうけるそうです。ご近所の主婦から、誘われないのです。女たちの節約話には入れないのです。投資信託の失敗を話したら、『いい気味だ(ざまあみろ。人の不幸を喜ぶ)』の大合唱だったそうです。
 もうひとつが、ベストセラー作家のだんなさんに先を越されているというあせりがある。人間の能力としてです。妻が、おいてきぼりなのです。

 「友だち夫婦」
 対等な関係があります。
 でも、奥さんはぽつりと言います。あなたは、今なら、女優さんとでも結婚できる。(わたしなんかを結婚相手には選ばないだろう)

 妻はすることがない。出かけるところもない。夫に気を使って、別々の時間帯に食事を食べることもある。妻は、孤独です。

 2月27日東京マラソン開催日です。
 奥さんは、悩んだ末に東京マラソンへの出場を決断しました。こどもたちの応援がためらう気持ちを後押ししてくれました。
 走るからには、きちんと走りたいと思う奥さんです。歩けばいいやとは考えていません。
 
 東京マラソン参加者の数が、3万5000人です。すごい。多い。

 ふたごのこどもたちが応援する声が沿道で響いています。
 『おかあさん! こっち! こっち!』
 いいお話でした。  

Posted by 熊太郎 at 06:46Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2025年03月22日

皇居東御苑(ひがしぎょえん) 江戸城跡

皇居東御苑(ひがしぎょえん) 江戸城跡

 昨秋テレビで放送された、『出没!アド街ック天国』を参考にして回ってみました。番組では、『竹橋』という地名で紹介されていました。

 番組で紹介されていた竹橋駅そばに建っている、毎日新聞社のビルに見えたのですが、『パレスサイドビル』というビルの中にある飲食店で昼食を食べました。とくに、写真はありません。

 江戸城跡で驚いたのは、まわりは、世界各国から訪れているらしき外国の人ばかりで、日本人は、わたしたち夫婦だけでした。
 欧米の人たちはにぎやかで、大きな声で雑談をしておられました。
 ほかに、東南アジアから来たらしきファミリーや団体さんを見かけました。みなさん仲良しです。
 日本のまんなか、皇居の中、江戸城跡の石垣まわりなのですが、いろんな外国語が飛びかい、まるで、外国にいるような感じでした。
 次の写真は江戸城の天守台となっている石垣です。



 次の写真は、江戸城の天守台である石垣を上って(のぼって)、上にあがったところです。
 それほど広くはありません。
 小雨もようだったので、景色が残念です。
 また、来てもいいかなと思いました。
 晴れていれば、高層ビル群がきれいに見えると思います。



 次の写真は、さきほどの江戸城石垣の上から見えるそばに建つ建物です。
 『桃華楽堂(とうかがくどう)』という名称の音楽堂だそうです。和風なつくりです。



 珍しいなあと思ったので次の写真を撮りました。
 梅の木ですが、ピンクとホワイトと、二種類の色の花が1本の樹木に咲いていました。
 ほかにも、たくさん梅の木があって、満開のように花が咲いていました。
 早咲きの桜(河津桜みたいな種類)もあって、外国人観光客の人たちが、それぞれ花々の前に並んで写真撮影を楽しんでおられました。



 次の写真は、『二の丸庭園』の区域です。日本庭園になっていました。







 次の写真の鯉は、番組、『出没!アド街ック天国』で紹介されていたのですが、上皇陛下の発案と研究で(かけ合わせで)生まれた、新種の鯉だそうです。ヒレが立派で長い。
 日本産のニシキゴイとインドネシア産のヒレナガゴイをかけあわせてあると放送では説明がありました。



 そのときは、黄金色のヒレナガニシキゴイが三匹いました。
 外国人観光客たちが来ると、小さな橋の下あたりへと遠くからゆっくりと近寄ってきます。
 人慣れしていて、観光客に近くで姿を見てくれという観光サービスみたいでした。
 とてもきれいな体をしています。



 滝のようになっている部分もあって、外国人観光客の人たちが、滝の前で記念写真を撮っておられました。



 あとは、大奥があった場所とか、忠臣蔵の松の廊下があった場所などを見ましたが、今となっては、広っぱであり、小道になっていて、実感は湧きませんでした。
 お天気が小雨で、傘をさしての観光でした。散策がしにくく、いまいちの状況だったので、お天気がいいときにまた訪れてみたい。  

Posted by 熊太郎 at 07:40Comments(0)TrackBack(0)東京

2025年03月21日

東野&岡村の旅猿26 フィリピン満喫の旅

東野&岡村の旅猿26 ~プライベートでごめんなさい~ 『フィリピン満喫の旅』 ゲスト 出川哲朗さん TVer(ティーバー)とかhulu(フールー)とかBS日テレ火曜23時とか。

 冒頭でショッキングな話が出ます。
 旅の始まりについて打ち合わせをする、いつもの東京銀座にある喫茶店で、岡村さんと東野さんが、マスターにバイトで雇ってもらえないかと声をかけます。
 東野さんが、(自分が担当する番組が)指の間からこぼれおちるように仕事がなくなっていくと嘆きます。(なげきます)。そして、なんと、この番組、『旅猿』も3月で終わるそうです。びっくりしました。そして、がっかりしました。
 今回のフィリピンへの旅が、最後だそうです。(なんで?)
 なんだか、有名タレントの男女間トラブル不祥事が発端(ほったん)となって、テレビ局地上波の世界で、これまであった秩序が総崩れ状態です。(もう地上波の時代は終わりなのか)

 まあ、終わりならしかたがありません。
 始まりがあれば、終わりがくるのは世の常(よのつね。宿命。あたりまえのこと)です。
 番組、『旅猿』では、もう17年ぐらい前、出演者も若かったころのインドへの旅が、強烈におもしろかった。
 インドに初めて行って、夜の地元の路線バスに乗って、車内はインド人乗客が満員で、おおぜいのインド人に車内で囲まれて、まるで宇宙人を見るような、強くて、驚異をもっているようなたくさんの瞳で凝視されて、岡村さんたちが、もしかしたら襲われて、丸裸にされるんじゃないかという緊張感がありました。
 泊まる宿泊場所も、夜の治安が悪そうな、汚くて狭い部屋で、一晩中外はどんちゃん騒ぎで、眠れるはずもなく、だいじょうぶだろうかと心配するような映像でした。
 ところが、インド人の人たちは、心優しかった。明るく元気で陽気でした。多少のずるさはあるものの、それはおおざっぱさで、根っから親切でした。
 そのころから、出川哲朗さんもゲストで旅猿の番組に参加していて、たしか、出川哲朗さんは、路上で、牛のうんこを踏んでしまい、一日中、うんこつきの靴をはいて、ガラガラと引っ張る旅行ケースを引きながら歩いてがんばっていました。くさいくさいと言われながらもがんばっていました。
 いい旅でした。(このあと、この番組の2回目の放送で、ここに書いた、『うんこ』にまつわる話がいっぱい出ました(犬のうんこを踏んだとか、牛のうんこを踏んだとか、ゾウのうんこまみれになったとか(覚えています。観ながら爆笑しました))

 出川哲朗さんが、旅猿が終わりなら、東野さんと岡村さんに、自分の番組、『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』に出てくれないかみたいな話になって、おふたりとも快諾されました。そのうちおふたりが電動バイクに乗っている姿を見ることができるでしょう。

 東野さんが、どこかでこの内容で引き続き放送してほしいと要望を言われました。テレビ東京さんぐらいが受けるといいのになと思いました。あるいは、動画配信サービスのところというのもありでしょう。

 さて、最終回となる今回のフィリピンへの旅です。
 穴場のダイビングスポットへ行くそうです。『スービック』というところです。
 グーグルマップで見ると、首都マニラから150kmぐらいに見えます。マニラから、アンヘルスという街までバスで2時間乗って、そこからスービックまでが、車で1時間半ぐらいだそうです。
 
 こんな形で番組が終了するなんて、そんな気持ちをいだきながら映像を見続けました。

 番組が始まって17年ぐらいがたって、3人とも歳をとりました。
 3人ともおしっこが近いのです。加齢による老化現象です。わたしもそうです。自分の旅先ではトイレの確保がだいじな要件になりました。
 バスの中で、だれかが、『おしっこしたい』と言いました。『(バスの終点到着まで)あと5分』という答えが返ってきました。なにせ、バスの乗車時間が2時間でした。

(つづく)

 盛り上がらない、戦闘機が置かれた公園ロケでした。とくに書くこともありませんが、昔外国で、『ヒガシノコール』で、こどもたちを中心に盛り上がった回があって、その回の再現をしようとしましたが、失敗でした。まわりにいた人たちのノリがよくなかった。なんだかつまらなかった。

 現地ガイドが、ジョイさんという若い女性です。
 スキューバダイビングをするためにビーチに到着しましたが、鉛色の海です。不信感がわきました。海にもぐりましたが、濁っていて、3人とも、何も見えなかったという感想でした。『わからへん』の連発です。
 移動して、別のビーチに行きました。透明度が高く、とてもいいコンディションだったそうです。よかった。
 ジャックフィッシュという魚群が現れました。きれいなエンゼルフィッシュの映像も出ました。別世界です。海底には、静寂(せいじゃく)があったそうです。
 次回は、バナナボートに乗るそうです。

(つづく)

 なんだか、こんな形で、この番組の最終回を迎えることになったのかと、少々残念な気持ちになりました。
 まるで、打ち切りのような終わり方です。2008年(平成20年)インドへの旅から始まって、17年、本来ならもっと祝福されてもいいのに……

 さて、番組映像は、フィリピンのビーチです。三人さんが盛り上がっています。
 バナナボートにも女の子たち3人と乗ります。
 なんというか、三人とも少年です。
 ふつうの五十代以上の日本人労働者はできない遊びです。
 これでいいのだろうかとも思えるようすですが、されど、かれらにとってはお仕事です。タイトルどおり、プライベートでごめんなさい。三人ともお金持ちです。すごいなあ。

 人生で大切なもののひとつ。
 『意味のない時間を過ごす(人生においては、そういうときもある)』

 生活雑貨のお店でおみやげを買う。ナレーターの奥貫薫さんにピンクの透けたアウター(上着)を買いました。民族衣装で、『バロン』というそうです。(調べたら、男性用の正装だそうです)

 ステーキを食べに行く。食べるのは、大きなステーキです。食べ出があります。(食べごたえ。満腹になる)。メキシコ料理だそうです。
 乱暴な言葉が飛び交います。
 出川さんは、岡村さんを何度も、『おまえ』と呼びます。相当くだけた関係です。
 ワクワクしながら食べる。おいしいそうです。

(つづく)

 なんというか、今回の映像を見ていて、まあ、この番組は終わってもしかたがないかなあという感想をもってしまいました。

 今回は、スパへ行って、マッサージを受けて、そのあと、ホテルへ向かうという内容でした。

 こんな50代・60代の男性はいないなあという感想をもちました。一般人にこんな50代・60代の男性はいません。なんだか3人とも、芸能人なのだなあ。
 パンツを下げておしりをたたいて、小学生の行為みたいでした。
 ジャンケンによるベッド争奪戦もいい歳をしてばかみたいです。
 フィリピンの民族衣装(バロンという正装)を着用してのドタバタ騒ぎを地元の人が見たら怒るでしょう。はだかのおしりペンペンシーンです。

 ロケの途中、以前の旅猿のときに、アメリカ合衆国へ行って、ラスベガスでカジノをした話が出ましたが、近ごろ、芸能界ではオンラインカジノによる不祥事が問題になっている時期であり、先日の京都天橋立に向かう車中での不祥事タレントをもちあげる会話もあり、番組として、ヤバい雰囲気がただよっていました。
 まあ、この番組は終わってもいいか……
 海外まで行って、こんなふざけた映像か……
 (もういいか)

 次回は、マニラへ向かう途中、ホワイトタイガーと写真を撮れる動物園に寄るそうです。

(つづく)

 動物園に行きましたが、ホワイトタイガーは体調不良だそうで、ふつうのタイガーと三人さんの記念撮影となりました。
 動物がいっぱいです。ヒクイドリ、カンムリワシ、ジャガー、ベアキャット、リクガメと続きます。
 出川さんがリアクション芸で、昔、狂暴な動物たちといっしょにふれあい映像を撮った思い出話をします。たいしたものです。危険なことをよくやられました。苦労話が続きます。おかげで、今の芸人としてのポジションがあります。たいしたものです。

 移動中の車の中で、仕事の内輪話が続きます。Tシャツの柄とか、ディレクターの趣向とかです。

 フィリピンマニラ市に戻って、サンチャゴ要塞というところを見学しました。お城のようなところでした。

(つづく)

 第6話の今回は、なつかしい雰囲気の映像でした。
 旅猿初期のころの、スラム街を歩くみたいな内容でした。
 出川さんがアピールします。『これぞ、「旅猿」の真骨頂(しんこっちょう。真実の姿、本当のありかた)でしょ!』(たしかに。次回の放送では、車の下で、死体のようになって寝ている人が出てきました)
 以前は、そこらあたりは、コワイ地域だったそうですが、今はだいぶ良くなったと現地ガイドの若い女性が案内役です。親戚の家や店を回る内容で、自信満々の彼女にひっぱられて、最初はイヤイヤそうにしていた三人も、カラオケで、テレサテンさんや、長渕剛さんのとんぼを合唱するように歌って、いい感じで盛り上がりました。

 自宅にカラオケ機材があったり、屋外で歌う人たちがいたり、なんだか、昭和時代の日本の宴会を思い出しました。

 最後は、キリスト教会のようなところが黒山の人だかりでした。
 宗教が民衆をコントロールしていると見える光景でした。
 人民は、カリスマ型のヒーローを熱望している。
 政治でも文化でもスポーツでも、民衆はヒーローを望んでいて、ヒーローである彼あるいは、彼女についていく。
 ヒーローにやらせて、仕事の出来栄えが悪い時はヒーローを叩く。
 人間って何だろうと思う。
 人間ってコワイなあと思う。
 映像を見ていてそんなことを考えました。

(最終話です)
 これで、番組、『旅猿』は終わりです。17年間ぐらい、長く続いた番組でした。

 バーバー通り(理髪店が並んでいる)で、理髪店に入って、東野さんが髪をカットしてもらいます。
 ルパン三世みたいな髪型です。
 ヘルメットみたいですが、きれいです。すっきりした57歳です。
 
 マニラのビーチ(世界三大夕景だそうです)へ行きます。
 夕日を楽しむのですが、すんなりいきません。
 太陽がでかい。
 偶然、日本人の旅猿ファンと出会います。
 東野さんがファンに声をかけます。『(番組旅猿は)3月でおわんのよ(終わるのよ)』
 驚くファンです。ファンの男性は、旅猿に影響されて、バックパッカーとして、東南アジアを巡り始めたところで、フィリピンからこのあとベトナムへ行くそうです。旅猿Tシャツも持参されています。
 (このあと、無駄話が続いて、肝心の夕日が沈むシーンを見逃がしました。残念。なんか、『オアシス』というイギリスのロックバンドのコンサートの話でした)。車でレストランへ移動中に太陽が海の向こうへ沈んでしまいました。

 港が見えるレストランでエンディングの撮影です。
 夕日の話が続きますが、わたしは、まあ、夕日のことはいいですよという気分です。毎日、日は沈むのですから見飽きます。夕日や朝日にこだわる気持ちはありません。

 出川さんは気持ちが熱い。
 いっぽう、東野、岡村のおふたりは、わりとそっけない。情に流される人たちではありません。
 岡村さんは陰気なところがあって、つまらないことでぐちぐちとしつこくこだわります。場が冷えるようなことを平気で口にされます。

 番組がなくなるとさみしくなります。
 あっけなく、番組が終わってしまいました。
 次回は、これまでの振り返りの番組があるそうです。

 そういえば、日曜日朝6時半からやっている番組、『はやく起きた朝は…(磯野貴理子、森尾由美、松居直美)』も終了して、別の枠に移ると聞きました。なにかと、長寿番組が終わってしまう今どきの地上波テレビ局放送の実情です。  

2025年03月21日

東京駒場公園(旧前田家本邸、日本近代文学館)と日本民藝館

東京駒場公園(旧前田家本邸、日本近代文学館)と日本民藝館の見学

 東京大学駒場キャンパスのそばにある公園です。
 昨秋テレ東の番組、『出没!アド街ック天国』で紹介されていました。
 建物は、加賀百万石16代当主だった前田家の前田利為(まえだ・としなり。1942年(昭和17年)57歳ボルネオで戦死)侯爵の居宅跡で、洋館と和館(わかん)が立っていました。
 あいにく、洋館は休館日でしたが、和館は見学可能でした。
 『出没!アド街ック天国』では、出演者の山田五郎さんが、昔よくこちらの洋館に来ていたが、たいてい見学者は自分ひとりだけで、自分の家みたいな感覚があったとお話をされていました。
 パンフレットの写真を見ていると、内部は、わたしが昨年秋に訪れた福岡市にある、『旧福岡県公会堂貴賓館』みたいな感じだと思いました。
 
 ちょっとびっくりしたのは、以前鎌倉市にある、『鎌倉文学館』を見学したことがありますが、そちらは、前田家の別荘だったそうです。パンフレットにそう書いてありました。











 次の写真は、洋館のお隣の敷地に建っている和館(わかん)です。
 館内は静かでした。数人の見学者がおられました。年配の方たちでした。



 部屋に入ると、なんとなく、武家屋敷の中にいるような雰囲気でした。



 『欄間(らんま。部屋と部屋の間にある。天井の下。彫刻板になっている。採光と通風のためのもの)』がきれいでした。直線的な模様が珍しい。



 和館のお庭には、石川県金沢兼六園にあるような、『雪づり』があり、いい雰囲気でした。
 また、お庭には、青森の奥入瀬渓流を思わせるような、渓流部分がありました。福岡市にある東公園にも似たようなつくりの清流部分があります。



 次の写真は、『日本近代文学館』です。
 こちらの施設については、次の本で知りました。
 『昔日の客(せきじつのきゃく) 関口良雄 夏葉社(なつはしゃ)』
 210ページに、『「日本近代文学館」の地下室にて』という項目があります。
 64ページあたり、146ページ、170ページにも日本近代文学館の記事があります。
 1966年(昭和41年)開館です。
 わたしが訪れたときには、2階にある展示室で、東日本大震災にちなんだ、『海、山、人、黙す(もだす。沈黙という意味)-震災と言葉』展という展示をしてありました。
 1階にある閲覧室は、図書館みたいに事前登録が必要と聞いたので、観光客であるわたしたちは時間もそれほどなかったので見学はやめておきました。



 駒場公園の南にある出口を出てしばらく西方向へ歩くと、『日本民藝館』がありました。
 こちらの施設は次の本を読んで知りました。
 『板上に咲く 原田マハ 幻冬舎』159ページに、日本民藝館の最初の収蔵品として、棟方志功氏の作品<大和し美し>を購入したいという話が出てきます。
 木版画家棟方志功さんの作品を見たくて訪問しました。
 棟方志功さんの妻チヤコさんの絵とか、ゴッホが描いたような棟方志功さん自身の自画像の絵、鯉・狐・カワウソの絵がありました。あと、眼鏡があったような気がするのですが、ちょっと記憶に自信がありません。
棟方志功さんの自画像の絵を観ていて、『ワぁ、ゴッホになる!』という棟方志功さんが17歳のときの言葉を思い出しました。ゴッホみたいなお顔をされた絵でした。
 民藝館は、思想家の柳宗悦(やなぎ・むねよし)氏(1961年(昭和36年)72歳没)の企画で1936年(昭和11年)に開設されたとパンフレットにあります。
 本では、民藝とは:日本全国に存在する無名の職人たちの手による日常の生活道具全般の総称と書いてあります。
 鑑賞者には、外国人の方も多かった。日本文化に興味がある人たちなのでしょう。


  

Posted by 熊太郎 at 07:45Comments(0)TrackBack(0)東京