2026年01月04日

わすれていいから 大森裕子

わすれていいから 大森裕子 KADOKAWA

 絵本です。
 どちらかといえば、こどもさん向けというよりも、おとな向けです。
 味わいがあります。

 いい絵本です。
 素敵です。
 猫目線で人間のあかちゃんの成長(男児)を見守ります。
 あたたかい。

 飼い猫が語ります。オス猫でしょう。

 同じような時期に生まれた飼い猫とあかちゃんですが、猫のほうが早く生まれたらしい。
 いっしょに成長していったけれど、人間の男の子は成人するぐらいに大きくなって、家にいることが少なくなるのです。猫のことは、「わすれていいから」という、ちょっぴりさびしくなるお話です。
 猫からしたら、ほんとうは、「わすれないでね」とか、「たまにはぼくのことを思い出してね」なのでしょう。

 鍵を握る言葉が、『なわばり』です。なわばりという言葉が、伏線になって、最後のページまでいきます。

 絵が柔らかくて感じがいい。

 ページの初めは、ちっちゃな猫のあかちゃんです。まだあどけない。(むじゃきでかわいい)
 
 比較がおもしろい。
 猫はどんどん大きくなっていって、対して、あかちゃんは、ゆっくり大きくなった。
 言葉選びがうまい。

 そのころ、家の中に、ふたりにとっての、『なわばり』があった。
 
 男児が小学生になると、猫はさびしい。
 男児は、小学校に行っている時間が長くなりました。家にいません。

 ふたりは、話し相手同士であり、遊び相手同士です。
 なんとなく、祖父母と孫の関係にも似ています。

 猫のほうが人間よりも寿命が短い。
 猫のほうが早く老いていきます。
 
 文章は、『詩』です。
 猫のさみしさがただよう絵があります。
 男児は成長して、『新しいなわばり』を見つけた。男児は、家にはいないことが多い。
 『げんきでな。おれのことは わすれていいから(ほんとうは、わすれちゃイヤだ)』
 
 いい絵本です。

 『時間』について考えました。
 この世で生きている者のそれぞれに、天から与えられた、『時間』があります。
 各自がその『時間』をどう使うかが、人生のテーマでもあります。

(もう一度読んでみました)
 絵と文章がマッチしていていい感じです。
 リアル(現実感)がありました。
 ていねいで、ち密な絵です。
 男児は成長して、成人して家を出た(18歳になった)。
 猫にとっての、『別れ』があります。
 自分は(猫は)ペットでしかないというさみしさがただよいます。
 じょうずにできあがっている絵本でした。


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