2026年04月17日
さいはての彼女 原田マハ
さいはての彼女 原田マハ 角川文庫
本のタイトルになっている「さいはての彼女」を含めて短編4本です。
2008年(平成20年)に刊行された単行本が文庫化されています。
2024年(令和6年)で53版が発行されています。人気の本です。
さて、読み始めましょう。
「さいはての彼女」
13ページまで読んで、なかなかおもしろい!
著者の知識、体験、能力の水準が高い。
作者はきっと、一日24時間、一年365日、小説創作のことを考え続けているのでしょう。アイデアが浮かぶたびに、ネタ帳にアイデアを書き留めているのでしょう。
「さいはて」は、沖縄かと思って読み始めたら、なんと北海道でした。びっくり。
鈴木涼香(すずき・すずか):主人公。リックキャットインターナショナルの社長です。
本日付で退職する女性秘書(高見沢諒子。たかみざわ・りょうこ)にうらまれている。
夏の休日を楽しむバカンスで羽田空港から沖縄へ行くのですが、クビを切られるようにして退職する彼女からのいやがらせで、北海道女満別空港行き(めまんべつ空港行き)のチケットを手渡されていて、空港搭乗口に入ってから気づいて、おおあわてです。
わたしは女満別空港を二度利用したことがあるので土地勘がありますが、鈴木涼香さんは、女満別空港が日本のどこにあるのかを知らない様子です。(網走の近くにある空港です)
鈴木涼香(すずき・すずか)についての詳細:父親は浮気を繰り返す人だった。
鈴木涼香(すずき・すずか)が中学三年生のときに、父は愛人と家を出て行方はわからない。
母はふぬけになった。鈴木涼香(すずき・すずか)はグレた。
その後、気を入れなおし、国立大学に入り、奨学金で海外留学をして、25歳のときに下着の通信販売会社を起業した。
そして、鈴木涼香(すずき・すずか)は恋をした。日本アントレプレナー協会会員で、ITで起業した若いイケメン社長が好きになった。
しかたなく、北海道女満別空港に着陸した鈴木涼香(すずき・すずか)です。
そのあと、山梨ナンバーのハーレーダビッドソンという大型バイクを運転する若い女性と出会います。
彼女の名前は、「凪(なぎ)」といいます。バイクに付けた名前が、「サイハテ」です。おもしろくなってきました。彼女は、耳が聞こえない人だそうです。
24ページに「鈴鹿サーキット」という文字が出てきました。三重県にあります。わたしはまだ二十歳前後の若い頃2回遊びに行きました。なつかしい。
大きなログハウスの管理者らしきおじさんも出てきました。
女満別空港の近くに網走があります。
渚が運転するハーレーダビッドソンの後部座席には、鈴木涼香(すずき・すずか)が乗っています。バイクの後席には、わたしも高校生の時に何度か乗ったことがあります。走行中は、気持ちいいです。
カスタムビルダー:このお話の場合は、オートバイをつくる人
凪(なぎさ)は、耳が聞こえないというハンディキャップを背負いながらも強く生きる若い女性です。
彼女には応援団がいます。
彼女は、ハーレーダビッドソンの心臓音をちゃんと聞いて、バイクの調子がわかる。エンジンの振動がバイクの心臓音です。
北海道の雄大な景色と人々の気配りが、わがままごうまんな主人公女性鈴木涼香(すずき・すずか)の気持ちを変えていきます。
海に沈む夕日を見て、がんばってきてよかった。生きてきてよかったと思う。
タンデムシート:バイクの後部座席
マンガのようでもある。
かっこいいなあ。
「旅をあきらめた友と、その母への手紙」
女性の話です。
この短編は女性が読む物語です。お化粧とかファッションの話が出ます。
自分なりに計画を立てて、就職して出世して、男性とお付き合いをして結婚して出産してという人生を描いていたが、出世まではいったけれど、そんな(なんでも自分が決めた計画どおりにやろうとする)きみがイヤになったと男が離れていきました。
男が言います。
「おれは君の成功のアイテム(品目、項目)じゃないから」
彼女は、40歳近くになって仕事は退職に追い込まれてという経過をたどるなかで、同年齢の女ともだちとふたり旅を楽しむようになります。
しかし、その女友だちも親が倒れて、親の介護をする必要になります。
だから、彼女は、ひとりで旅をします。
そんなこんなのなかで、人生とはと考える物語に仕上がっています。
旅先は、伊豆の修善寺です。わたしも何度も訪れました。新幹線と電車で行ったこともあるし、自宅から車で行ったこともあります。土地勘があるので、読んでいて実感がわききます。
主人公の女友だちは香川県小豆島(しょうどしま)の出身です。わたしは小豆島を訪れたことがあるのでやはり実感がわきます。いろいろ作者と行ったところがある場所が重なります。親しみを感じました。
主人公の女性は、人生のやり直しを始めました。
いったんは、自分が決めたレールから逸脱したのですが、再起を図ります。
今どきの、勉強の競争を勝ち抜いている女子たちのイメージがあります。
女のひとり旅は、周囲から変な目で見られて、宿の食事場所では、人目につかない席を案内されるそうです。
それがイヤだと主人公は心の中で主張します。
自分は、母親をほったらかしにして、自分のことだけを中心に生活してきたという気づきが生まれます。
盆と正月にしか実家に顔を見せない主人公女性です。
読み終えて思ったことです。
あちこちへ、旅をしておいて良かった。
人生は思い出づくりなのでしょう。
いい思い出も、そうでない思い出も、(体が動けなくて旅に出ることができない)年寄りになったときに、ああ、あのときはあんなことがあったと思い出にひたれる人生が、いい人生だと思った次第(しだい)です。
「冬空のクレーン」
大卒後就職して13年、現在35歳で、順調に出世して今は役職に就いている(ついている)陣野志保という独身女性です。プライドは高く、ときにパワハラ的で、これぐらいの仕事もできないのかと男の部下を侮辱(ぶじょく)します。
そんな彼女が、職場で干されました。(ほされました)
いきりたった彼女は、長期の休暇届を出して冬の北海道へひとり旅に出ました。
東京の職場の連中が困り果てるだろうと予想しましたが、同僚・上司・部下たちは困ることなく、むしろ彼女がいないことで伸び伸びと働ける環境になりました。
読んでいるわたしのコメントとして、『あなたが思うほど、会社にとってあなたの価値はない』
さて、彼女は、職場復帰できるのでしょうか?というお話でした。
北海道は釧路空港です。雪の中です。
彼女は、鶴居村(つるい村。実在します)で困難におちいった人生を助けてもらいます。
鶴井村には、タンチョウヅルたちが群生でいます。
この短編のタイトル「クレーン」は、タンチョウヅルをさします。
事故でケガをして傷ついたタンチョウヅルと、職場で孤立した陣野志保が重ねてあります。
困難を克服する物語でした。
人間はなんとしても、働いて生活していかねばならないのです。
助け合いは大事(だいじ)です。
「風を止めないで」
第一話「「さいはての彼女」で出ていた人物、「山梨ナンバーのハーレーダビッドソンという大型バイクを運転する若い女性と出会います。彼女の名前は、「凪(なぎ)」といいます。バイクに付けた名前が、「サイハテ」です」の母親が出てきます。
お名前は、佐々木道代で、彼女の恋話があります。ご主人はすでに事故で8年前ぐらいに他界されています。
線(せん):聴覚障害者である娘の凪(なぎさ)が小学生のころに感じていた健常者との境目をさします。
この世にはいろいろな「線」があるけれど、それは、自分自身がつくったものであるから、自分で克服していくのです。それが、この短編のテーマ(主題)でした。
母親の佐々木道代にも、「線」があるのです。
オートバイ、「ハーレーダビッドソン」の愛好家向けの短編に仕上がっています。
五木寛之作品「青春の門」で、登場人物が、ハーレーダビッドソンに乗っていたことを思い出しました。塙竜五郎(はなわ・りゅうごろう。演者:小林旭(こばやし・あきらさん))が乗っていました。
「線」を超えるための乗り物として、ハーレーダビッドソンの存在があります。
一分一生(いちぶんいっしょう):短い時間の積み重ねが、人生の価値や結果を決める。瞬間に集中して全力を注ぐ気持ちがだいじである。
この短編部分は、かなり現実離れしていて、わたしはついていけそうにありません。
良かった文節として、
「ナギのメールには、いつも「今日」と「明日」がある。「きのう」は、ない。
邦画「ALWAYS 三丁目の夕日」のラストシーンを思い出しました。
心に残った小学4年生鈴木一平の言葉です。
ろくさんを上野駅まで三輪自動車ミゼットで送るときに「ほいきた!」。
ろくさんを送ったあとに、「あしたもあさっても、50年後だってずっと夕日はきれいだ。」
未来に、夢をもて!ですな。
本のタイトルになっている「さいはての彼女」を含めて短編4本です。
2008年(平成20年)に刊行された単行本が文庫化されています。
2024年(令和6年)で53版が発行されています。人気の本です。
さて、読み始めましょう。
「さいはての彼女」
13ページまで読んで、なかなかおもしろい!
著者の知識、体験、能力の水準が高い。
作者はきっと、一日24時間、一年365日、小説創作のことを考え続けているのでしょう。アイデアが浮かぶたびに、ネタ帳にアイデアを書き留めているのでしょう。
「さいはて」は、沖縄かと思って読み始めたら、なんと北海道でした。びっくり。
鈴木涼香(すずき・すずか):主人公。リックキャットインターナショナルの社長です。
本日付で退職する女性秘書(高見沢諒子。たかみざわ・りょうこ)にうらまれている。
夏の休日を楽しむバカンスで羽田空港から沖縄へ行くのですが、クビを切られるようにして退職する彼女からのいやがらせで、北海道女満別空港行き(めまんべつ空港行き)のチケットを手渡されていて、空港搭乗口に入ってから気づいて、おおあわてです。
わたしは女満別空港を二度利用したことがあるので土地勘がありますが、鈴木涼香さんは、女満別空港が日本のどこにあるのかを知らない様子です。(網走の近くにある空港です)
鈴木涼香(すずき・すずか)についての詳細:父親は浮気を繰り返す人だった。
鈴木涼香(すずき・すずか)が中学三年生のときに、父は愛人と家を出て行方はわからない。
母はふぬけになった。鈴木涼香(すずき・すずか)はグレた。
その後、気を入れなおし、国立大学に入り、奨学金で海外留学をして、25歳のときに下着の通信販売会社を起業した。
そして、鈴木涼香(すずき・すずか)は恋をした。日本アントレプレナー協会会員で、ITで起業した若いイケメン社長が好きになった。
しかたなく、北海道女満別空港に着陸した鈴木涼香(すずき・すずか)です。
そのあと、山梨ナンバーのハーレーダビッドソンという大型バイクを運転する若い女性と出会います。
彼女の名前は、「凪(なぎ)」といいます。バイクに付けた名前が、「サイハテ」です。おもしろくなってきました。彼女は、耳が聞こえない人だそうです。
24ページに「鈴鹿サーキット」という文字が出てきました。三重県にあります。わたしはまだ二十歳前後の若い頃2回遊びに行きました。なつかしい。
大きなログハウスの管理者らしきおじさんも出てきました。
女満別空港の近くに網走があります。
渚が運転するハーレーダビッドソンの後部座席には、鈴木涼香(すずき・すずか)が乗っています。バイクの後席には、わたしも高校生の時に何度か乗ったことがあります。走行中は、気持ちいいです。
カスタムビルダー:このお話の場合は、オートバイをつくる人
凪(なぎさ)は、耳が聞こえないというハンディキャップを背負いながらも強く生きる若い女性です。
彼女には応援団がいます。
彼女は、ハーレーダビッドソンの心臓音をちゃんと聞いて、バイクの調子がわかる。エンジンの振動がバイクの心臓音です。
北海道の雄大な景色と人々の気配りが、わがままごうまんな主人公女性鈴木涼香(すずき・すずか)の気持ちを変えていきます。
海に沈む夕日を見て、がんばってきてよかった。生きてきてよかったと思う。
タンデムシート:バイクの後部座席
マンガのようでもある。
かっこいいなあ。
「旅をあきらめた友と、その母への手紙」
女性の話です。
この短編は女性が読む物語です。お化粧とかファッションの話が出ます。
自分なりに計画を立てて、就職して出世して、男性とお付き合いをして結婚して出産してという人生を描いていたが、出世まではいったけれど、そんな(なんでも自分が決めた計画どおりにやろうとする)きみがイヤになったと男が離れていきました。
男が言います。
「おれは君の成功のアイテム(品目、項目)じゃないから」
彼女は、40歳近くになって仕事は退職に追い込まれてという経過をたどるなかで、同年齢の女ともだちとふたり旅を楽しむようになります。
しかし、その女友だちも親が倒れて、親の介護をする必要になります。
だから、彼女は、ひとりで旅をします。
そんなこんなのなかで、人生とはと考える物語に仕上がっています。
旅先は、伊豆の修善寺です。わたしも何度も訪れました。新幹線と電車で行ったこともあるし、自宅から車で行ったこともあります。土地勘があるので、読んでいて実感がわききます。
主人公の女友だちは香川県小豆島(しょうどしま)の出身です。わたしは小豆島を訪れたことがあるのでやはり実感がわきます。いろいろ作者と行ったところがある場所が重なります。親しみを感じました。
主人公の女性は、人生のやり直しを始めました。
いったんは、自分が決めたレールから逸脱したのですが、再起を図ります。
今どきの、勉強の競争を勝ち抜いている女子たちのイメージがあります。
女のひとり旅は、周囲から変な目で見られて、宿の食事場所では、人目につかない席を案内されるそうです。
それがイヤだと主人公は心の中で主張します。
自分は、母親をほったらかしにして、自分のことだけを中心に生活してきたという気づきが生まれます。
盆と正月にしか実家に顔を見せない主人公女性です。
読み終えて思ったことです。
あちこちへ、旅をしておいて良かった。
人生は思い出づくりなのでしょう。
いい思い出も、そうでない思い出も、(体が動けなくて旅に出ることができない)年寄りになったときに、ああ、あのときはあんなことがあったと思い出にひたれる人生が、いい人生だと思った次第(しだい)です。
「冬空のクレーン」
大卒後就職して13年、現在35歳で、順調に出世して今は役職に就いている(ついている)陣野志保という独身女性です。プライドは高く、ときにパワハラ的で、これぐらいの仕事もできないのかと男の部下を侮辱(ぶじょく)します。
そんな彼女が、職場で干されました。(ほされました)
いきりたった彼女は、長期の休暇届を出して冬の北海道へひとり旅に出ました。
東京の職場の連中が困り果てるだろうと予想しましたが、同僚・上司・部下たちは困ることなく、むしろ彼女がいないことで伸び伸びと働ける環境になりました。
読んでいるわたしのコメントとして、『あなたが思うほど、会社にとってあなたの価値はない』
さて、彼女は、職場復帰できるのでしょうか?というお話でした。
北海道は釧路空港です。雪の中です。
彼女は、鶴居村(つるい村。実在します)で困難におちいった人生を助けてもらいます。
鶴井村には、タンチョウヅルたちが群生でいます。
この短編のタイトル「クレーン」は、タンチョウヅルをさします。
事故でケガをして傷ついたタンチョウヅルと、職場で孤立した陣野志保が重ねてあります。
困難を克服する物語でした。
人間はなんとしても、働いて生活していかねばならないのです。
助け合いは大事(だいじ)です。
「風を止めないで」
第一話「「さいはての彼女」で出ていた人物、「山梨ナンバーのハーレーダビッドソンという大型バイクを運転する若い女性と出会います。彼女の名前は、「凪(なぎ)」といいます。バイクに付けた名前が、「サイハテ」です」の母親が出てきます。
お名前は、佐々木道代で、彼女の恋話があります。ご主人はすでに事故で8年前ぐらいに他界されています。
線(せん):聴覚障害者である娘の凪(なぎさ)が小学生のころに感じていた健常者との境目をさします。
この世にはいろいろな「線」があるけれど、それは、自分自身がつくったものであるから、自分で克服していくのです。それが、この短編のテーマ(主題)でした。
母親の佐々木道代にも、「線」があるのです。
オートバイ、「ハーレーダビッドソン」の愛好家向けの短編に仕上がっています。
五木寛之作品「青春の門」で、登場人物が、ハーレーダビッドソンに乗っていたことを思い出しました。塙竜五郎(はなわ・りゅうごろう。演者:小林旭(こばやし・あきらさん))が乗っていました。
「線」を超えるための乗り物として、ハーレーダビッドソンの存在があります。
一分一生(いちぶんいっしょう):短い時間の積み重ねが、人生の価値や結果を決める。瞬間に集中して全力を注ぐ気持ちがだいじである。
この短編部分は、かなり現実離れしていて、わたしはついていけそうにありません。
良かった文節として、
「ナギのメールには、いつも「今日」と「明日」がある。「きのう」は、ない。
邦画「ALWAYS 三丁目の夕日」のラストシーンを思い出しました。
心に残った小学4年生鈴木一平の言葉です。
ろくさんを上野駅まで三輪自動車ミゼットで送るときに「ほいきた!」。
ろくさんを送ったあとに、「あしたもあさっても、50年後だってずっと夕日はきれいだ。」
未来に、夢をもて!ですな。



