2015年03月19日

君がいる時はいつも雨 山田悠介

君がいる時はいつも雨 山田悠介 文芸社文庫

 子どもさん向けの文章でした。
 タイトルに惹かれて読みました。
 両親と弟を交通事故で亡くして、叔父・叔母に引き取られた少年、小学校6年生坂本孝広くんのお話です。
 15ページ付近から涙がにじみます。自分ではどうすることもできない子どもであり、せつない。大きく広い視野で見て、自らが、結婚して、家族をもつことを夢にしてほしい。
 4歳年下の弟孝介くんが天国から兄孝弘くんに会いに来ました。いい設定です。あとの展開が楽しみです。そして、弟くんが来るときは、いつも雨なのです。幻想的です。
 最初から最後まで、よく出てくるのは、「責任転嫁(せきにんてんか)」です。良くないことがあると、人のせいにするのです。卑怯(ひきょう)です。総じて、雨のせいにするのです。
 兄孝弘は、もっと弟孝介を素直に受け入れて喜べばいいのに、ひねくれています。
兄弟のやりとりは、兄の自問自答なのかな。
 自分自身が子どもだった頃の弟との関係をひさかたぶりに思い出しました。もう、45年ぐらい前のことです。強権を振るえる兄の立場としては懺悔(ざんげ、悔いる)したくなりました。こうすればよかった。こうあるべきであったなどと、悔(く)いるのです。
 傘が物語をつないでいきます。盗品のことは、こだわらなくてもよかった。
 兄孝弘は、野球の試合でも弟孝介に負けた責任を転嫁します。勝つこともあれば、負けることもある。それが、勝負です。
 火災のシーンでは、救出されなかったという選択肢もありました。そこからつなげるとファンタジーの世界が広がります。
 エピローグはないほうがよかった。それから、最後に1行に「つづく」とありますが、つづかないほうがいい。完結のほうがいいです。

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