2017年03月20日

騎士団長殺し 第1部・第2部 村上春樹

騎士団長殺し 第1部・第2部 村上春樹

 話題の本です。書店では山積みです。売れ残るのではなかろうかと勝手な心配をしています。1冊も置いてない書店もあります。大規模書店が買い占め、または置き占めたのだろうか。

第1部「顕れるイデア編:あらわれるイデア(プラトン哲学。見る、知るの動詞。時空を超越した物体ではないもの)

 103ページまで読みました。「騎士団長殺し」とは、絵画の名称で、描いたのは、現在老人施設に入っている認知症の日本画家雨田具彦(あまだ・ともひこ)92歳です。第二次世界大戦前(1936-39)と飛鳥時代がヒントです。

 冒頭付近に、顔のない男の肖像画を描く・描かないが登場します。いまのところ、その顔のない男はさきほどの雨田と思われますが確証はありません。
本作品主人公の名前はまだ出ていませんが、以前、肖像画画家で生計を維持していました。彼の主人公の1人称で、淡々と過去を語る文章で始まりました。顔のない男は、さらに顔の上部(額あたり)が消えて見えるのですが、それは、人の二重人格を表しているのではないかと推察しました。だれしもふたりの人格がひとつのからだに宿っています。男女の浮気話が関連している気がします。貞操を守る気持ちもあるし、本能の赴くままにという気持ちも同居している。(第2部では、顔の右と左で人格が異なるというような記述が現れます。)
主人公は、妻の顔に12歳で病死した妹の目をみつけます。今、主人公は、36歳、妻は33歳です。彼女の名前が「柚(ゆず)」

 舞台は、最初読みながら、鹿児島県屋久島をイメージしましたが、その後、伊豆半島が思い浮かび、物語の中では、小田原という地名に落ち着きました。
 登場人物たちは美術大学の関係者が多い。絵を描く人たちの世界です。

 本を読みながら、感想文を継ぎ足していきます。

(つづく)

 住んでいる家から見て、右手のはすむかいに大きなモダンな家があった。そこの住人とこれから深くからんでいくようです。ドミノ倒しのような記述が出てきました。
 画家なのに、家に絵が1枚もない。ただし、屋根裏に1枚だけあった。意味が深そうです。

(つづく)

 第1部を読み終わりました。
 自問自答を繰り返す哲学書を読んでいるようです。
 後半から面白くなってきました。それまでは、何が書いてあるのかわからない。

 イデア(魂たましいと言うような意味。自己とか、自意識、自分で自分の存在を確認する意識。それは目には見えないが、なにかに宿ることはできる)というように理解と解釈をしました。

 最後のほうの章から、第1章に戻ります。第1章を「現在」として、第2章以下は、9か月間の過去をふりかえります。同一人物との離婚、そして再婚までの期間です。何年か前にあったことの回想記です。

 家庭とか、家族の匂いがない作品です。車、男女の交渉、お金持ちの世界、精神世界、ちょっと、世離れした時空間です。ヨーロッパ、第二次世界大戦前のドイツ、オーストリア、暗殺(最近の事件を思い出します)、ユダヤ人大虐殺など。日本人には身近ではありません。モーツアルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」は知りません。

 自分や他人のひとつひとつの行動に意味を求める書き方です。理解すると言い換えてもいい。ひとりひとりの個性をこれはこうと考えていきます。
、、、の部分がそうです。

 途中、なんだかなという気持ちになりました。さかりのついた男と女の物語にしか見えない時期がありました。三角関係でもあるのだろうかと邪推したページもありました。
 そして、だんだん、恐怖と混乱が近づいてきます。ホラーの面があります。

 346ページからがぜんおもしろくなります。そういう展開がアリか。タブー(禁止)なしです。騎士団長は死んでいない。

 第1部が終わっても主人公の氏名は明らかではありません。この男は、もしかしたら過去に殺人を犯しているのかもしれない。

重要部分らしき文章に「、、、(てんてんてん)」が付きます。追いかけてみます。
「気をちらすもの」、「(行為だけの浮気相手は)親密さは求めていない」、「(生活のためだけに無機質な肖像画を描くことは)心ならずも」、「いわゆる(肖像画)」、てんてんに規則性がみられません。「(本人からの聞き取り作業ののち本人の肖像画を描くのは)立体的なたたずまいとしての記憶」、「(肖像画を描くときの金銭的なとか創作意欲とかの欲望が)ただのひとかけらもない」、「(妻が離婚したい理由の原因が夫には)直接的にはない」、「(眠っているときにみた夢は、妻の側からした離婚願望の)引き金に過ぎない」、「(妻の浮気は離婚原因の)ひとつにすぎない」、「ぼくがここを出ていく」、「(荷物の引き取りは)あとでって、どれくらいあと」、「(妻の浮気に)どうして思いあたらなかったのだろう」、「おれはいったいどこにきてしまったのだろう」、「ぼくはむかしからだいたい同じようなことをしてきた」、このあたりと絵画「騎士団長殺し」の絵の中身で、この男は、タイムトラベラーではなかろうかと思い浮かびました。「何かを描きたい」、「時間をわたしの側につけなくてはならない」、「造形の面白み」、「彼にしか描けないなにか」、「心の目でそれを見た」、「(彼の絵の素晴らしいところは)描かれていない部分にあった」、「はぐれがらす」、「この絵にはなにか特別なものがある」、「(洋画を日本画に翻訳する)必然性」、「何かの理由があるはずだ」、「血が流されるわけじゃない」、てんてんてんの部分があまりにもたくさんなので、これ以降は、省略しながらいきます。「その時点の記憶。現在の記憶」、「この絵は、生身の彼を必要としている」、「わたしに向けてならされている音、何かをしなくてはならない」、「だれとも結婚するつもりはない」、「もっと普通に近い男」、「根拠のようなもの」、「こうしなければよかった。そうしなければならなかった」、「これが正しい色だ」、「考えないことが大事」、「たまたまのこと」、「いくつかの大きな疑問」、「今ここで」、「何かの始まり」、「受け取るはずのものを受け取っていない」
ここらあたりで追いかけるのはやめます。

タイトルの絵のレイアウトです。
騎士団長が、若者に剣で刺されて殺されかけている。
若者と騎士団長は、果たし合いをしている。
ひとりの若い女性が、二人の決闘を見ている。上品なまっ白な着物を着た女で、髪を上に上げ、大きな髪飾りを付けている。美しい大きな目。片手を口にやって、大きな悲鳴を出しそう。
ひとりの若い男が見ている。小柄でずんぐり。召使のよう。99ページ。急速な展開で果たし合いが行われることになったことを示唆する衣服と姿勢をしている。
画面の左下に男の顔あり。ふたをあけて穴から首をのぞかせている。まがったなすのような細長い顔をしている。顔じゅうが黒い髭だらけ。眼光鋭く狂気あり。(顔ながと命名)
モーツアルトオペラドンジョバンニが関係しているらしい。騎士団長は、ドン・ジョバンニに殺される。

 伏線は、「みみずく(だろうか)」、「ゴッホの郵便配達夫(どうかな?)」、「石室のミイラ(即身仏)」、「わたしの娘かもしれない」

 車の車種とかメーカーに関する記述があいかわらず多い。趣味なのでしょう。
 「香川県」の登場は、「海辺のカフカ」を思い出させる。カフカ君が香川県の図書館で暮らし始めた。ちなみにボクは、ナカタさんのふるまい、個性が好きです。

 セックスフレンドの記述は読んでいてけっこうつらかった。小説全体が、家庭を捨てた人、家庭があっても家庭の機能の中にいられない人のお話です。日本人の大多数はそうではありません。家族愛のなかに包まれていたいと思うのが大多数の日本人です。
 記述の中身から察すると、すでに大金もちで、そのお金を株や為替として、インターネットで取引して、差額を儲ける。そういう人たちの生態を描いているに過ぎないとまで極言できます。

 10分程度で読める文章の固まりに項目が付けられて連続していく形式です。
 ときおり、( )かっこの中に登場人物の主観が書いてあることが特徴です。

 182ページから話が動き出します。

 複数の登場人はいますが、自問自答のような感覚、雰囲気はぬぐいきれません。

 自分で自分を理解する。それはなかなかできない。そんなところで、第1部は終わっています。
 ほかに、読みたい本があるので、間をあけて、第2部を読んでみます。

(第2部 遷ろうメタファー編 うつろうめたふぁーへん 意味不明?)

 1週間ぶりぐらい。つづきを読み始めました。
 うつろうメタファーってなんだろう。ぱっとみて理解できないことに不満あり。
 移動する、心変わりする。
 「なになにだ」という表現

 長文で、少々読み疲れました。長い時間を無駄にしているような気になってきました。(その後の展開で、目覚めます)
 58ページあたりの主人公「わたし」と秋川まりえとの会話表現がうまい。

 南京のことは書いて良かったのだろうか。その事柄自体を否定する見解があります。

 なんだか、幻想ポルノ哲学信仰小説です。人間の必要悪とも思える性欲という本能を素材にして、人間のどろどろとした部分を文章で描き出すのですが、とても、他人と読書感想の意見交換をできる内容ではありません。
書店で売れ残って大量に山積みされているこの本をみると、もう、彼の時代は通り過ぎた感があります。次の新人作家群に期待です。

 主人公が住む家には八百万(やおよろず)の神がいる。家の持ち主である今は老いて施設入所している90代の男雨野具彦は神に囲まれながら日本画を描いていた。
 テーマは、ヨーロッパで体験した自身の暗殺未遂事件。思いはかなわず、ナチスの逆襲にあって、拷問を受けた彼は生きる希望を失った。
 そんなふうに読めます。

 登場人物男性の免色(めんしき)は、経済犯罪で疑いをかけられ長期間独房で拘留されて閉所恐怖症になっていますが、その彼が、深い井戸のような穴の中で長時間を過ごしたという事実が、さきほどの特性と矛盾します。

 現実離れした話で、身近ではありません。義務感で読まされているような気になっていた頃、興味を引く事柄が起こります。
 
 作者の志向ですが、発達した電子機器に対する反発があります。レトロ偏重志向があります。

 宮城ナンバーのスバル車フォレスターになんの意味があるのだろうか。

 「諸君」とは、単数なのか複数なのか。ここでは、単数です。


 戦争と平和の思考のようです。犠牲と試練に耐えて平和を得る。

(つづく)

 ようやく読み終えました。長かった。読んでいる間中、気分は夜でした。
 非科学的なことを「善し(よし。肯定する)」とする作品でした。あとは、読み手の「判断」です。とくに、出産の原因は、扱いがむずかしい。輪廻というよりも「関連」でしょう。要は、「信じること」が大事という結論に達します。そして、わたしたちは、何者かに、生かされている。
 「現実」は、あらかじめ「想定」されているものである。
 その幹があって、枝に、「(人はだれしも)二重人格(本物と本物ではないけれどやっぱり本物のふたつ。作中では、二重メタファー)」がある。それが、哲学的なのかそうでないのかはわかりません。
 しばらくあいだをおいて、再読すると、なにか見えてくるかもしれません。

 ペンギンの人形は、ついに返してもらえなかった。

 妹の名前は、「コミチ(愛称コミ)」だった。雄の黒猫の名前が、「こやす」
 主人公の名前は、出てこなかった。暮らしぶりも含めて、作者自身ということになるような気がします。

 後半は、「幸福感」へ前進していきます。好感をもちました。
「別れ」と「再会」は一対になっている。感じがいい。

 なぜ、ここに、東日本大震災という出来事がからんでくるか、疑問・思いが湧きます。現場に霊がただよっているとして、仕上げた作品という部分があります。

 「秘密」というものは、若い頃には神経質になって存在しますが、歳をとってくるとどうでもよくなって、生活から秘密がなくなっていくということはあります。

印象に残った文節、「肖像画界の高級娼婦」、「顔のない依頼人」、「絵の中に囚われて(とらわれて)しまった」、「(肖像画という絵には)描き手とモデルのパーソナリティ(個性、生い立ち、未来)が身を潜めている」、「すばしっこいヤドカリ」、「開かずの部屋」、「白さも色のうち」、「人には知らないでいたほうがいいこともある」、「現実ではないし夢でもない」、「ここで、無制限の孤独が必要」、「1938年3月ドイツがオーストリアを併合」、「まずしっかりと観る。判断はそのあとでする」、「水にザルを浮かべる」、「時間をかせぐ」、「言外の気持ち:げんがい。言葉に出さない部分の気持ち。あわせて、行間を読む。書いていないことを推察する」、「人は生まれもったものに左右される」、「雨の匂い」、「作業は立ち往生していた」、「タマシイというよりも気合」、「人には生まれつきのウツワがある」、「人間界は、「時間」、「空間」、「蓋然性:がいぜんせい。確からしさ」、「役目であるのかないのか」、「目の奥の光源」、「断固として殺されなければならない」、「作品を開くことによって、それがものごとのはじまりになり、環が(わが)開かれた」、「コミチ」、「免色くんであると同時に免色くんではないもの」、「精神(サイキ)」

意味がわからなかった。「シンク:台所の洗う部分」、「フォルム:姿、形」、「管忽奪胎:かんこつだったい。古い作品を創意工夫・転化して、自分独自の作品に変化させること」、「プラハ:チェコの首都」、「ジャングル通信:主婦たちの情報網」、「唯物的:精神的よりも打算的」、「スツール:背もたれのない一人用のいす」、「ポカホンタス:ネイティブアメリカの首長の娘」、「ワードローブ:個人の持ち衣装」、「呻き:うめき。読めませんでした」、「不思議の国のアリスのチェシャネコ:架空のネコ」、「カフカ:フランツ・カフカ。小説家。変身。チェコ出身ドイツ語作家、オーストリアのプラハ、ユダヤ人、実存主義(哲学。本質に対する現実的な考え)」、「アンシュルス:1938年3月13日ドイツによるオーストリア併合」、「宿痾:しゅくあ。治しようがない病気。持病」
「リインカーネーションの研究:転生、輪廻りんね」、「韜晦:とうかい。自分の本心、地位、才能をつつみ隠す」


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